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のんびり
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釘打トンネルを出て300m程の所にある釘打へんろ小屋で、休憩。
靴を脱いで足を休めていると、2人の野宿へんろさんと会う。
大きな荷物で大変そう、1人は手押し車に荷物を載せているが山越えはどうしているのだろう?時間的余裕があると気持ちにもゆとりが生まれるのか、とても楽。
釘打トンネルの次のトンネルには歩行者用の押しボタンがあり、押すと「歩行者あり」のランプが点滅してドライバーの注意喚起を促すようになっていたが、慣れてしまっているのか気にしてくれるドライバーは皆無だ。
歩いていて2人とも喉がいがらっぽく、何度もうがいをする。
宿で一緒だった人によると、杉花粉のせいではないかと言う。
黄砂かと思っていた黄色っぽいものは、杉花粉なのかとそのすごさに驚くと同時に、ますます喉がいがらっぽくなってきてしまった。
国道55号線と美波町へ行く25号線の分岐で由岐町方面に左折しようとすると、女性ドライバーが「違う違う」という感じで手を振っている。
国道55号線の方を指差して「向こうですか?」を身振り手振りで聞く、どうやら励ましに手を振っていて下さっていたのが判り苦笑い。その女性も気付いて笑っていた。由岐の駅を通過し、10時半頃由岐の浜に出る。
やや霞んでいるが、遍路に出てから始めての海、グリーンブルーが美しく浜辺に打ち寄せる波の音、潮の香りが懐かしい。
由岐の浜
由岐の海岸で
11時近くになってお腹もすいてきたが、由岐付近にはコンビニも食堂も無い。
木岐の町にもなさそうで、薬王寺のある日和佐まで我慢かなと覚悟を決めた。
ハマダイコンの花
木岐の漁港付近を歩いている時、「ワイワイ木岐」と書かれたピンクの幟が何本か立っている。
もしかしたら食堂かもしれないと港の方へ入って行く。
「ワイワイ亭 水曜日営業」と小さく書かれた小さな小屋があり、中にはおばあちゃん達が沢山いる。
どうやら木岐のお年寄り達の集会所のような所らしい。ダメ元で聞いてみる、週に一度お年寄りのために開いている場所で簡単な食事もあると言う。
私達も食べさせてもらえるかと聞けば、「お遍路さんなら良いよ。うどんとアジ寿司があるから食べていけ」と。やれ嬉しやと、うどんを外の屋根のみの所でお年寄り達とおしゃべりしながら食べさせて頂いた。
阿波踊りうどんと称したうどんは、鶏肉・わかめ・かまぼこ・大量のネギが入った温かいうどんとアジの姿寿司2個、海藻の煮付けが出てきて、お腹がすいていただけでは無く本当に美味しく頂いた。お礼を言いつつお勘定を支払うと1人僅か350円、「えっ!」と聞き直せばアジ寿司と海藻はお接待だと言う。
周りのおばあちゃん達も「いいんだ、いいんだ」と笑い顔。「しっかり歩けや〜」「えらいな〜、がんばりや〜」と励まされて、おばあちゃんの集会所を後にした。
おばあちゃん達もお元気で、ありがとうございました。
木岐の風景
木岐からへんろ道は山座峠を越え、えびす浜まではしっとりした木漏れ日の山道を通る。
ウメバガシやシイの木などに混じって椿の花の赤、キフジの花の黄緑が美しく目立つ。
気持ちよい山座峠への道
キフジの花
お天気も良く、歩くのも嬉しい山座峠越えの道であった。
山座峠を下れば、えびす浜で再び海に出る。
ここは深く入り込んでいて天然の良港だ。
浜に出来たばかりの休憩小屋があり、このまま薬王寺へ行けば早く着きすぎてしまうと、しばし休憩。
朝から相前後して歩いてきた、京都と千葉の男性とも一緒となり、おしゃべりに時間を過ごす。
足の手入れの事、食べ物の事、お寺とお坊さんの事、色々だがそこはお遍路同士、お互いの内情には踏み込まないので気が楽だ。
えびす洞
えびす浜の少し先に、えびす洞と言う岩穴があり見物したり、海岸を散策したりしながら日和佐の町に入った。
お城があり、その反対側に薬王寺が建っている城下町と門前町が合わさったような歴史を感じさせる町で、普通の港町とはひと味違う雰囲気の町であった。
日和佐の海岸
今日唯一のお寺である薬王寺。
遠目には赤い瑜祗塔が目立ち、ちょっぴり派手な印象だが境内は静かで落ち着いている。
四国で一番の厄除のお寺として知られているというだけあって、男厄坂・女厄坂の階段の端にはお願いの一円玉や十円玉が沢山置かれていた。
薬王寺本堂と瑜祗塔
本堂と大師堂でお参り、祈りながら年の数だけ棒で板を叩くと厄払いできると言う「隨求の鐘」を丁度還暦になったカミさん、結構真剣な表情でチャレンジしていた。
隨求の鐘
今日の宿は薬王寺の宿坊、山門のすぐ前にある三階建てだ。
システムは少し古いがホテルのようになっており、プライバシーも確保されている。
料金は二通りあり、夕食に1〜2品多く付くがどうかである。
私達は安い方を御願いしたが十分な量であった。お勤めは朝のみで、早立ちの人はそのまま出発してかまわないし朝食はおにぎりを用意して下さる。
薬王寺から日和佐のお城
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