遍路13日目

(安田町、安芸市、琴ヶ浜、夜須町、香南市)

 

お地蔵様

 

 

遍路13日目
2008.3.17(月) 晴れ

0630 民宿 浜吉屋
0720〜0730 道の駅 大山
0800 伊尾木海岸
0900〜0915 安芸市
1030〜1045 赤野
1130 琴ヶ浜
1300〜1320 道の駅 夜須
1410 旅館かとり(香南市)
   
今日の歩行距離
46,879歩
30.1km
総歩行距離
526,284歩
334.8km

体調を考えて

昨日のカミさんの低血糖、マメの状態、そして少し熱っぽい私。
それらを考慮して、大日寺までの予定を約5km短縮して再計画。
6時半に出発、歩く速度も抑え気味にゆっくり歩く。
歩き始めて約1時間、道の駅大山でトイレ休憩。
ここに泊まっていたお遍路さんが1人、新聞を読んでいる。
小さな漁港には漁船が数隻停泊し、静かで穏やかな表情だ。

漁港
静かな朝の漁港

 

防波堤道路

伊尾木海岸に出るとへんろ道は国道から離れ防波堤の上を歩くようになっている。
国道からわずかな距離だが離れ、海のすぐ脇を歩くのは気持ちが良い。

 

堤防の上を歩く堤防道路

堤防と国道の間には土佐鉄道が走っていて、野菜の絵や阪神タイガースの虎模様が描かれた列車が通り面白い。

9時頃、海から一旦離れ、安芸市へ入る。
阪神タイガースの春期キャンプが行われている町だけあって、タイガース応援のペイントや幟が至る所に立っていて微笑ましい。
一方、この町には古い造り酒屋や醸造工場などもあり、落ち着いた静かな町でもあった。

通りを歩いていると妙な看板を見つけた。
行政への批判看板、行政に不満を持つ人はどこにでも居るが、こうして公然と反対意見を表明する人は少なく、思わず笑ってしまった。

不満

安芸市を過ぎると道は再び堤防道路となり、海沿いや松並木の中を進んで行く。
八流山極楽寺と言う小さなお寺の横を通り赤野の休憩所で休んでいると、清掃ボランティアの地元の方が少し行くとお遍路さん用の休憩小屋があるからそこで休むと良いと教えてくれた。
1km程行くと、立派な小屋というより家がありコーヒーやお茶を頂けるようになっていて、感謝の納め札や色紙で埋め尽くされていた。

休憩所奇麗な休憩所

室内はきちんと整理され、花なども飾られていて、ゆっくり休んでもらおうと言う気持ちが熱く伝わってくる休憩所で本当に有り難い小屋であった。

そして間もなく琴ヶ浜と言う広くて長い浜、長さは5キロメール位あったと思う。
浜には漁船を引き上げる為なのだろうか、ウインチや小型のブルトーザーにワイヤーを付けた物が数百m間隔で並び、何人かの人達が待機していた。

琴ヶ浜琴ヶ浜

松林の中を通るへんろ道を歩いていると、おばちゃんに呼び止められ大きな夏みかんを2つもお接待して頂いた。
大感謝でお礼をし頂いたが、正直重くなるのは嫌、でもみかんは嬉しいと板挟みである。
妥協案で少し進んだ所で美味しくお腹の中に納めてしまった。
ありがとうございました。

松林の道松林の中を行く

 

異様な物が!

夜須の町へ入る少し前、異様な光景を目にした。
道を切断したかのような物がそのまま垂直に立っている感じなのだ。
何かと思っていたら、可動橋とのこと。
定められた時間になると開き(垂直に立つ)、船を通すのだと言う。

思いがけず珍しい物を見る事が出来て得をした気分。

 

道の駅で

午後1時頃、道の駅「夜須」へ。
結構賑わっている。
トマト、コロッケ、じゃこ天、おはぎなどを食べ、今日は低血糖対策に抜かりは無い。
食べている最中、バスで来ていた団体遍路の女性が「バスに乗って寝てても飽きてしまうのに、歩いていたら退屈で仕方ないでしょ?」と話しかけて来た。
そこで「歩いて寝たら危ないっしょや。車に乗っていては見えない物が見えて楽しいですよ。試しに次のお寺までお歩きになったら如何?」と言うと、手を横に振ってバスにさっさと戻って行った。
これって、おちょくられた訳かい?

夜須の海岸夜須の海岸

夜須から約1時間歩くと国道沿いに今日の宿「かとり」はあった。
この宿、規模は結婚式も出来る大きな旅館。
でも、おへんろにとってはお風呂や食堂に行くのに一々外に出て別館へ行かなくてなならないなど、ちょっと不便。(贅沢な願望かな?)
でもさすがは料理旅館、食事はとても美味しかったですよ。

 

妄想

長い単調な道を歩いているとフッと考え事をしている自分に気付く時がある。
国道沿いなどは車に注意を払わなければならないし、風や雨などでもボォ〜としていられない。
今日のような防波堤歩きは他に人もおらず、会話が途切れたりしたとき、1人で何か考える時間が出来る。

今日は何度か宗教って何だろうって考えていた。
今の幸せの為か、現実逃避なのか、心安らかに過ごす方策なのか、安心して死ぬ為か、来世の幸せを信ずる為か、あれこれ馬鹿な理論が頭の中でぐるぐる廻っている。
勿論、結論が出たり真実が分かる筈も無い。
怪しげな新興宗教は別として、宗教の持つ意味合いはとても大きく宗教戦争が起きる位すさまじい。
それなのに私はその意味合いを理解していない。
私が馬鹿なのか、それとも教えない教育に問題があったのだろうか。
頭の中で枝葉末節な部分が大きくなったり、本筋から外れたり、これが妄想という物か。

「お父さん、危ないわよ!」カミさんの声で我に返る。
自転車が後ろからやって来たのだ。
これを機にまたカミさんと、子供の話、四国の風景の話、道ばたに咲く花の話など、とりとめもない会話に戻るのである。

 

 

南国高知の3月は暑い。歩き遍路には真夏を思わせる。
昨日頂いた土佐ブンタンの美味しいこと!
コンビニで買ったパンの美味しいこと!
お接待の甘夏の美味しいこと!
ちょっぴり夢見ていた減量は望めそうにないが今日の活力と弁解しながら食べ続けている。

公園でボランティアの方が紙くずまで丁寧に拾って下さっている、沢山の人達の日々の努力だと思うと頭が下がる。
「休憩所があるので是非寄ってお茶を飲んで行って下さい」と声をかけて下さり自転車で走り去った。

 

うららかに 音くり返す 渚波
      ありがたき風 松原に涼し

 

 

 

 

 

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