遍路18日目

(土佐久礼、七子峠、仁井田、37番岩本寺、拳の川)

 

ツツジ

 

遍路18日目
2008.3.22.(土) 晴れ

0700 大谷旅館
0820 七子峠入り口
0850〜0900 七子峠
0945〜0955 影野休憩小屋
1045〜1100 仁井田
1210〜1245 37番 岩本寺
1405 市野
1445 佐賀温泉
   
今日の歩行距離
46,838歩
33.1km
総歩行距離
745,470歩
478.2km

高速道路

7時に宿を出発。
土佐久礼の美術館脇を通り、大坂谷川沿いを歩いて大坂遍路道へと向かう。

土佐久礼美術館
土佐久礼美術館

土佐久礼から七子峠へは三本のルートがある。
一つはそえみみず遍路道、もう一つは大坂遍路道、そして国道56号線である。
そえみみず遍路道は高速道路建設工事の関係で2008.12まで通行止めとなっていて通行不能、とても良い遍路道と聞いていたので通れないのは残念だが仕方ない。
なので私達は大坂遍路道を選択した。

 

大坂谷川沿いを行く大坂遍路道へ

途中、高速道路の架橋工事が大々的に行われていた。

高速道路が出来れば、これまで須坂に出るのも大変だったこの付近の人々も30分程度で高知市へ行けるようになるのと思う。
大きな生活の変化、改善に繋がるのではないだろうか。
よく都会の人達が、一日何台しか通らないような高速道路を田舎に造ってどうするのか、税金の無駄遣いだと言っている。でも私は必ずしもそう思わない。
今回の遍路旅でこれまで四国の色々な町を通って来た。
地方や田舎程、図書館も美術館も映画館もショッピングモールも無い、地方の人達が都会の人が当然のように享受している文化レベルに触れる機会が多くなり、仕事の幅や量も多くなる、そういうチャンスが高速道路により得られるようになると思うのだ。
費用対効果一点張りでは地方切り捨てになってしまう。
そうなれば日本は片ちんばな国となってしまうと心配するのである。

 

喝!

土佐久礼から1時間半ほどで七子峠への登り口。

七子峠入り口七子峠登り口付近

遍路道は短いジグを切りながらどんどん高度を上げて行く。
途中、小さな滝が落ちている所もあり静かで手入れされた良い道だ。

小滝が流れ落ちていた七子峠遍路道

ただ残念なのは、焼山寺への遍路道でも、鶴林寺・太龍寺への山道でもそうであったが、ティッシュ、飴の包み紙、ペットボトルなどが目につく事だ。
この遍路道の性格上、通っているのは歩き遍路の人が大部分だろう。
遍路旅をし、口では「お大師様に近づきたい」だの、「その教えを身につけたい」とか、「何事もありがたく感謝です」など一様に言う人が、この遍路道を整備して下さっている人への感謝を忘れ、後に歩く人が嫌な気分になる事に配慮すら出来ず、自分の事しか考えずにしゃぶった飴の紙を捨て、糞・しょんべんを拭いたティッシュを恥ずかしげも無くその場に残し、タバコの吸い殻を捨て、ペットボトルを捨てて行く。

おへんろさん! それで良いのですか?
人様に迷惑をかけない。これが守るべき最低のルールなのではないですか?

 

お接待

七子峠へは登り口から約30分。国道と合流する。
幸い遍路道は国道から離れ、山の麓沿いに延びている。
山陰の風は涼しく気持ちが良い。
小さな集落を通り、出会う人達と挨拶を交わしながら行くと「おへんろさん、待って〜」とおばあさんが走り出て来た。
飴とお金(100円)、高野山法徳寺の「救済」と言う小冊子のお接待である。
なんでも娘時代に難病にかかり余命幾ばくも無いと告げられたが、お参りしたらすっかり回復し元気に生きている。という内容のお話を伺った。
ゆっくりしていると、1時間でも話をされるような雰囲気であったので記念写真を撮ったのを機にお別れさせて頂いた。
これまで頂いて来たお接待とは少し性格が違うお接待であったような気がした。

お接待お接待を頂く

カミさんと、頂いたお金は次のお寺でおばあさんのお賽銭として代わりに入れようと話し合った。

 

休憩

やがて遍路道は国道に出て車の風圧を受けながら歩き、影野にある遍路小屋で一休み。
この付近は仁井田米と言うブランド米の産地でもあるらしく、PR看板があちこちに出ている。
今日も日差しが強く、暑くなって来た。

11時前、「ゆういんぐ四万十」と言う物産センターで大休憩。
少し早いが、おはぎとお赤飯を買い、分け合って早お昼。
もち米がズシン・ズシンとお腹に納まってゆく。

食事をしていると以前にも同じ事を聞かれたが、バス巡礼の人が「バスで廻っていてもお寺とお寺の間隔が長くて退屈してしまう。良く歩くね!」と
「歩いていると色々なものが目に入って感動したり、逆に残念に思ったり、考え事をしたりで、もう二週間以上経ってしまったのかと言う感じですよ」と答え、しばらく雑談に花を咲かせた。
どうやら、バスで時間的には早くお参りできるのに皆さん結構退屈しているようだ。
気持ちの持ちようだとは思うけれど、その人の置かれている立場、環境によって違ってくるのだろう。

 

岩本寺

高原にある窪川の町に入り分かりにくいクネクネした道を遍路マークに導かれ12時過ぎに岩本寺へ到着した。
窪川の町外れにあるお寺、立派な山門を潜り石段を上ってお参りする。

岩本寺岩本寺

境内には観音様や子安地蔵など沢山の像が立ち並んでいた。
札所では安産や子育ての願いが多いのか、多くのお寺にはその願いを叶える仏様や柄杓などが置かれている。
本堂にお参りすると、お葬式が執り行われようとしていた。
見ず知らずの方だが、成仏されるよう併せお参りした。

岩本寺岩本寺

納経所では見習い(?)か、若いお坊さんが真剣な表情で納経してくれ、とても微笑ましかったとカミさんが喜んでいた。

岩本寺周辺は道が細いため大型バスは近くに駐車し参拝者達は少し歩く事になる。
それを見込んでか、お土産物店も多い。
「芋ケンピ」というのが名物らしく沢山売っていた。

 

叱咤!

岩本寺からは国道を一路南下、歩道があるからまだ良いが大型車の風圧で傘が飛ばされそうになる。
道は徐々にではあるが着実に登りとなり、結構きつい。
今日のカミさんは元気だ。
朝から呼吸の乱れが無い、昨夜風邪気味だと薬を飲んで早く寝て、汗を沢山かいたのが良かったのかも知れない。

「お父さん、疲れているんじゃないの!」
「なんで?」
「ちょっと、反っくり返って歩いているわよ」
そうか、そんな風に歩いていたんだ。気合いを入れて格好よく歩かなくちゃ。
気持ち重心を前がかりにして歩く、脚がスムースにでるようだ。

やがて遍路道は国道を大きくショートカットする市野瀬遍路道へ、最初こそ清掃工場の中を一部通過するが静かで美しい竹林の中を通る良い道だ。

窪川付近の風景窪川

再び国道に戻りしばらくすると「拳の川」、確かここは「無医村に医者が来た」と全国放送で紹介された町だと思う。
ここに今日の宿「佐賀温泉」はあった。
嬉しい温泉だ。
到着直後と夜と二回も入ってしまった。あ〜、気持ちよかった!

 

 

野山は春色に輝き、遍路日和。
岩本寺の後は、ただ南に向かって歩くのみ。
脚が疲れてくると歩き方が解らなくなる。
右足の親指が痛いのは、固まった歩き方をしているせいだろうか。
頭の中はいつしかそのことばかり。
左足に重心をかけてみる。
足首の内側が靴にぶつかる、これはまずい。
普通に歩くとは、どんな風だったろうか。
ただそればかりで今日も歩き終え、さあ温泉だぁ〜!

 

どの指も テーピングされ それぞれを
     いたわるごとく 靴下で包む

 

 

 

 

 

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