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痛みと優しさ
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歩き始めて1時間程で伊与喜、国道から離れて旧道へ入る。
旧道には熊井トンネルと言う上半分がレンガで造られている古いトンネルがあり、雨の中しっとりとたたずんでいた。
熊井トンネル
土佐佐賀の町も国道と平行に走る旧道を通り土佐佐賀港へ。
風も強く、雨に煙る海は荒れている。
土佐佐賀公園という大変良く整備された大きな公園があり、雨宿りできる東屋で休憩。
残しておいた朝食のおにぎり一人分を分け合って食べる。
夏みかんが美味しい。
雨に煙る山々
ここからしばらくは海沿い、大波が岩にあたって大きなしぶきを上げている、波の花が舞い薄黄色に汚れ潮溜まりに集まっている。
風の雨も強く、海は大荒れだ。
ハマエンドウの花が風に揺れ、飛ばされそうになっている。
咲き出した桜もかわいそう。国道歩きは風と雨、そして車のはねるしぶきと騒音で会話もままならないし考え事もとても出来ない。
ついつい無口になって下を向いて只只歩く。
それでも花が咲いていたり、犬がいたりするとひとしきり話が弾む。
お天気も良く、田舎道や山道を歩いていると、気持ちも良く会話もはずむ。
環境って、人の言動に大きな影響を及ぼすことを実感させられる。
荒れる海
井の岬トンネルは歩道もあり、歩行者用の照明もあり比較的安心して通れる。
トンネルを過ぎると、チラホラ民宿などが出てくるが、お店は無い。
何か食べるものが欲しかったが、飴をしゃぶって我慢、淡々と歩く。
昼頃、道の駅「大方」に着く。
やれやれとお寿司とイチゴを買い求め、昼食とした。
雨に濡れた体が、外のベンチに座っていると寒い位だ。
風も納まって来た
早々に歩き出すと、そこは入野の松原。
遍路道は松原の中に続いていて、とても良い感じの道だ。
入野松原と行く
海鳴りと松の騒ぐ音が混じり合う中、ゆっくり歩く。
雨も小降りになって来た。
ホテル前の海岸で
30分も歩いたら、今日の宿であるリゾートホテル「ネスト・ウエスト・ガーデン土佐」はあった。
まだ午後1時と早いので迷惑かなと思ったが、雨の中待つ所も無いのでホテルへ向かう。
徳島の海南町のホテルの時も雨だった、あの時の嫌な思いが甦る。
しかし心配は杞憂であった。
フロントの女性が「まあ、雨の中大変だったでしょう。どうぞどうぞ」と招き入れてくれる。
部屋は掃除も終わっていて何時でも入れるし、お風呂も何時でもどうぞと言う。部屋で濡れた衣服を着替え、お風呂に入る。
海を眺めながら入れる展望浴場、大きなお風呂を独り占めでゆっくり暖まる。ホテルでは丁度結婚式が行われている最中、ガラス張りの向こうに華やかな式場の様子が垣間見え、参列者の小さなお子さんが館内で遊んでいて微笑ましい。
部屋で寛いでいると、係の女性が私達がお遍路と知って、明日歩く四万十川までの写真入り手作り地図と長いトンネルがあるからとマスクをプレゼントですと持って来てくれた。
遍路の気持ち、いや宿泊者のニーズを的確に把握し、臨機応変なサービスを展開していてとても好ましい。
どこやらのソムリエ・ホテルとは全てが大違いだ。夕食、魚中心の和食は正直食傷気味だったので洋食とした。
お肉、パスタ、ピザ、久しぶりで堪能したし、カミさんはさらにケーキを2つも頂いてご機嫌であった。このホテル、お勧めの宿の一つである。
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