入野海岸の日の出
|
続、痛みと優しさ
|
9時頃、憧れの一つであった四万十川に出た。
大きく立派な四万十大橋を渡る。
昨日かなりの雨が降ったのに水は青々とし、滔々と流れている大河だ。
四万十川上流を見る
上流側には四万十市の町並み、下流側には河口付近が見え、広々したたおやかな風景だ。
下流側を見る
右岸側から別の大きな川が合流しているがこちらの川の水は茶色、混ざり合わず2色で流れているのが面白い。
手前は合流している川
河原で四万十川を眺めながら休憩、暖かくみかんがおいしい。
四万十川からは321号線を歩く小さな川に沿った道、途中川海苔を干しているのを見ることが出来たがわずかな量、自家用なのであろうか。
散歩中のおばあさんから現金のお接待を頂いた。ありがとうございました。
お金は金剛福寺でお賽銭として使わせて頂こうとカミさんと話した。
道は緩やかな上り坂になり、伊豆田トンネルへ続いて行く。
10時半、伊豆田トンネルに入る。
迂回路の無い1600mの長いトンネル、マスクをしても排気ガスの臭いが凄くすぐにいがらっぽくなるが我慢するより仕方ない。
ただ、歩道がしっかり付いていたのが救いであった。トンネルを出ると間もなくドライブインがあり、休憩。
みかんやジュースで渇きを癒した。
緩やかな下り坂を歩くが歩道が無くなり白線のみの所が多くなり、車を気にしながら歩きとなる。
下の加江に近づくにつれ水田が多くなる。
すでに水が張られ苗を植えるだけになっている所も多いが、まだ田起こしすら行われていない田もあり、「上農・中農・下農」という言葉を思い出してしまった。
いや今は機械化されているから一日で出来てしまうのかも知れないし、あるいはそんな意識は無くても老人のみで人手が無くて仕方なくという所も多いのかも知れない。
下の加江へ
下の加江の郵便局でお金を下ろす。
昼時となりお腹も空いてきた。
休憩できる場所があったらお昼にしようと思ったのだが、この道路沿いには全くそのような施設は見当たらずお腹をすかしながら歩くしかない。
お腹が空くとだんだん無口になってイライラしてくる。
久百々を過ぎ午後1時ごろまで歩いたが適当な所が見つからず、道端に材木が積んである少し広い場所をお借りして昼食にした。
現金なものでお腹を満たし甘いものを口にすると、気分も穏やかに落ち着いてくる。
そんなことでイライラしてどうすると自分で思うのだが、恥ずかしいことだ。
久百々付近の海岸
321号線から離れる旧道を歩く遍路道が幾つかある。
舗装道路とそれから離れ土の道を歩くのでは、気持ち・精神状態が違ってくる。
便利さを追求することと、安らぎや不便さが人に与える作用とを考えざるを得なかった。この辺は足摺岬から打ち戻ってくるお遍路さんの姿も多い。
挨拶をしながらすれ違う。やがて大岐の海岸、実に美しい海岸である。
大岐海岸
1.6kmも続く白砂の浜、打ち寄せる白波、サーファーが何人か波と戯れている。
歩き易い波打ち際を歩く、実の気持ちが良い。
浜辺の砂模様に特徴があるのに気がついた。
風紋の一種なのか、波の力なのか、解らないが面白い文様だと感じた。
面白い砂の模様
波打ち際を歩く
大岐の浜を歩き終わり、小さな小川を渡って321号線に出る。
そこから今日の宿「星空」は間もなくであった。老夫婦でやっているこの星空、着くとすぐに風呂を沸かしてくれ洗濯物は脱ぎ捨てておけば良いと言われる。
カミさんが自分で洗いますと言っていたが、お接待だからと強く言われお願いすることに。
しばらく経って、カミさんが「あっ!」と息を飲んだ。
カミさんのパンツをご主人が干していたのだった・・・。施設・設備は決して新しくない。
トイレも遍路旅に出てから始めてのポッチャントイレである。
それなのに、何故か居心地が良い。
実家に帰ったような気さえする。ご主人と奥さん老夫婦の穏やかで優しい人柄がにじみ出ているような、心安らげる宿である。
|