遍路21日目

(大岐、窪津、38番金剛福寺、中浜、清水、三崎、竜串)

朝日
朝陽を浴びて

 

遍路21日目
2008.3.25(火) 晴れ

0630 民宿「星空」
0725 窪津
0920〜0950 38番 金剛福寺
1115〜1145 白碆公園
1240 中浜
1330〜1345 土佐清水
1430〜1445 海の駅 あしずり
1625〜1640 道の駅 土佐清水
1710 民宿「竜串苑」
   
今日の歩行距離

61,897歩
37.7km

総歩行距離
895,248歩
574.2km

命の恩人

民宿「星空」の奥さんの笑顔と無事でと言う見送りの挨拶に、どうぞお元気でと返し出発。
すぐに遍路道となり県道をショートカットして進んで行く。
椿と竹、松の混成林の中を気分良く歩く。
朝に空気は新鮮で美味しい。

椿の林椿の林

約1時間で窪津の港を過ぎ県道を行くと、岬の方から神峯寺でカミさんを助けてもらった命の恩人であるアメリカ女性Helenさんが歩いてくるのに出会った。
カミさんと彼女は手を取り合って再会を喜び合っている。

命の恩人と命の恩人と再会

本当にあの時彼女に会わなかったらと思うとぞっとする。
私達は打ち戻らず月山回りで行くので、もうお会いすることは無いはずだ。
カミさんと一緒の写真を撮らせてもらいお別れした。
Helenさん、どうぞお元気で、そして本当に有り難うございました。

 

何と言う・・・

足摺岬まで後4kmの所までやってきた。
急に車が止まり民宿「星空」のご主人が降りてきた。
忘れ物でもしたかと思ったら、見送りも挨拶も出来なかったのでお礼を言いにやって来たと丁寧な挨拶をされる。
恐縮し、お世話になったお礼を言い少しお話ししてお別れする。
こんなことは始めての経験だ。

歩き始めてしばらくすると、後ろからクシュクシュ鼻をすする音がする。
ああ、カミさん感激のあまり泣いているんだな。そっとしておこう、振り返らずにゆっくり歩く。
人の心を動かす、掴むとはこうゆうことなんだ、こうゆう気持ち・行動なんだとしみじみ思う。
ここから足摺岬に着くまでこの話題の尽きることは無かった。
このような経験を何回かすると、四国病に罹ってしまうのだろうか?

足摺岬への道岬への道

歩く左手には黒潮踊る太平洋、茫洋として広がっている。
何隻かの漁船が集団で漁をしているのが見え、道路脇には鰹節工場が点在していた。

 

金剛福寺

無人販売所でいつものブンタンではなく、オレンジ色の少し小さいみかんを売っていたので買い求めた。
どんな味か楽しみにしていたら、何とダイダイの完熟したもので酸っぱいことの強烈さとても食べられたものではなく、寿司酢用に販売していたものだった。大失敗!

岬まで1kmになると椿のトンネルとも言える道が続き何とも良い感じ。
灯台や展望台の標識が出てくるが、3日かけて歩いて来た目的の場所、金剛福寺へ直行する。
9時半に38番金剛福寺へ到着した。

金剛福寺金剛福寺

山寺かと思っていたが道路からそのまま境内に入れる。
広大な境内に池や岩が配置された庭園を囲むように本堂、大師堂、愛染院、鐘楼などがあり、とても風情があるお寺である。

多宝塔金剛福寺

3日間お参りする為に歩いて来た気持ちを込めて心を込めてお参りした。
金剛頂寺のお坊さんから、四国中の悪霊が大師様のお力で足摺岬に追いやられ出て来られないように常に見張っておられると言う話を聞いていたので暗い雰囲気があるのかなと思っていたが、美しく明るい環境の中、風格のあるとても素晴らしいお寺である。

金剛福寺美しい庭園

一説には足摺岬は観音様の住む山とされ、皇室からの信仰も厚かったと言う話もある、こちらの方がこのお寺には似合っているような印象を受けた。

愛染院金剛福寺

納経をお願いすると歩きの方にはと、お守りのストラップと金剛福寺の手ぬぐいをお接待して頂いた。
札所も都会から離れる程、そして別格や番外のお寺程、参拝者に対する対応が丁寧で優しい感じがするのは私達だけだろうか。

大きな目標でもあった足摺岬の金剛福寺をお参りした後、多くの人達はここから打ち戻るのに対して私達は月山神社をお参りする為、足摺岬の西岸を歩き土佐清水へと向かう。
その前に足摺岬を覗いてくる。

足摺岬足摺岬

西岸は東側に比べて断崖絶壁の連続、スパッ!と切れ落ちている所などは覗き込むのも怖い位だ。
白山洞門という浸食で開いた洞門を見て足摺遍路小屋で休憩。

白山洞門白山洞門

遍路道に入り、県道を横断してすぐに再び遍路道に入る所で標識を見逃し、県道を歩いてしまい遠回りをしてしまった。
途中にあった小さなお店で昼食用のパンなどを買い、白碆公園で昼食。

足摺岬西岸西岸の風景


結構歩きでのある、大浜、中浜を通り、土佐清水に入ったのは午後1時半であった。

土佐清水の港を見て土佐清水

 

強行軍

当初の計画では今日は土佐清水で泊まり、明日は短くなるが叶崎まで、そして明後日宿毛市と考えていた。
それを話すとカミさんが、ここ数日は体調も良く30kmは楽に歩けていて後10km位なら歩けると思う。そうすれば効率的に歩けるでしょう?と言う。
そこで計画を変更し、今日は竜串まで、そして明日は出来れば宿毛まで頑張ることにしたのである。

足摺西岸険しい海岸線

土佐清水で冷たいシュースやトマトを食べ、元気を出して再び歩き出す。
海の駅あしずりに寄り休憩。
その先の海岸は宮崎の鬼の洗濯岩を連想させるような岩の海岸が続いていた。

川津桜、彼岸桜は満開、染井吉野も咲き出し数輪が花をつけていて可愛い。
この辺りまで二人とも比較的元気、しかし道は次第に海からはなれ予想もしていなかった峠に登って行くのだ、正直この緩やかな登りは思ってもいなかっただけに精神的に辛くとてもきつかった。
二人とも無口になり、写真を撮る余裕すら無くなっていた。
午後4時過ぎ、道の駅「めじかの里」に到着。
グッタリつかれ、見えも外聞も無くベンチに座り込む。
休むと楽だが、休んでいては一歩も進まない。
後2km、とにかく進もうとノロノロ歩き出す。
やっと、本当にやっと今日の宿のある竜串に着いたのは午後5時を過ぎていた。


竜串の海中展望台竜串の海

今日の宿、民宿「竜串苑」は全体に雑な感じで余り清潔ではなかったが、料理は最高レベル。
アジやカツオのたたき、トコブシの煮物、エビのボイル、茶碗蒸し、酢の物、蛤のお吸い物など、全てが新鮮で活きているものが調理され目を見張るものがあった。
特に北海道では望むべくも無い、活きたアジのたたきは食べたかったものの一つであっただけに感動ものであった。

 

 

はるばる来ました四国最南端、足摺岬。
台風情報でおなじみのこの地はヤシの木が生い茂り、自然の中にくわず芋、ホンコンカポック、ブーゲンビリアなどが育っている。
北海道なら観葉植物として花屋さんに並んでいる。花の色まで鮮やか!

気持ちまで明るく浮き立つ、金剛福寺はその明るさの中にあった。
補陀洛(観音様の住む山で、観音浄土として崇拝されている理想の世界)に最も近い所とされ、多くの人の信仰を集めたというのが伺い知れた。
心に残るお寺であった。

 

いつの間に足はなじみて ともに行く
     靴に感謝の 足摺岬

 

 

 

 

 

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