遍路27日目

(内子、大瀬、三嶋神社、下坂場峠、鴇田峠 、久万高原)

石仏

 

遍路27日目
2008.3.31(月) 曇り時々雨

0600 新町荘本店
0800〜0815 大瀬休憩所
0940 吉野川トンネル
1100〜1120 田渡小学校
1220〜1230 三嶋神社
1310 下坂場峠
1420〜1435 鴇田峠
1515 久万高原
1530 やすらぎの里 
でんこ
   
今日の歩行距離
56,352歩
35.8km
総歩行距離
1219,522歩
775.9km

道迷い

朝4時頃はまだ雨が降っていたが出発間際に止み、お遍路姿で宿を出る。
内子の町を通って379号線に出るのだが、「四国の道」の案内石柱に従って歩いて行くと国道56号線に入っている。
「四国の道」の標識は峠越えを指示しているが、遍路地図には載っていない。
出だしで間違えては元も子もないと、国道を道の駅まで戻ろうと引き返しながら通行中の地元の方に訊ねると、新しく出来たトンネルを使ってショートカット出来るそうで、さしてロスにならずに済んだ。
よく道を尋ねる時は複数の人に聞けと言われる通り、この時も最初に訊ねた女性は「次に橋を左に曲がるとトンネルが見える」と教えてくれたが最初の橋からトンネルは見えず、次に訊ねた男性は「橋を渡って広場を斜めに突っ切り細い道を上がって行け」と言う、橋を渡ってから最後に訊ねた犬の散歩中の男性は「この道なりに行くとすぐにトンネルがある」と言う。
皆さん正しく教えて下さっているのだが、言い方や説明の仕方が微妙に異なり、相手に正確に伝えるのが難しいのだ。

道迷いをした時は正確を期して何人もの人に聞き確認することが必要だと痛感すると同時に、自分が教える時は正しくのみ理解される説明をしなくてはと思った。
また、後から「四国の道」が指示していた峠を越えても379号線に出ることも解った。

 

ふさわしい場所

379号線を小田川の流れと見上げるように作られた段々畑を眺めながら大瀬に向かって歩く。

段々畑段々畑が続く

どんな所、場所がお寺にはふさわしいのか? そんな話をしながら歩く。
神聖な雰囲気を感じる所、参拝し易い所、開基する方が霊気などを感じられた所、檀家が多く得られる所・・・などなど。
でもやはりお寺らしく、ありがたい気持ちでお参りできる環境が大事だろうと言うのが私達のまとまった意見で、そうするとこれまでお参りして来た四国の霊場は何所も程度の差こそあれ素晴らしい所に建っていたねと納得した。

次いで環境と言う話から、教育や子育てに環境が及ぼす影響などについて何時もの通りあれこれと会話は弾んだ。
丁度部活があるのか、中学生が三々五々登校していて元気に挨拶してくれる。
都会に住み、遊ぶのも友達付き合いも何をするのもお金・お金中心の生き方しか知らない子供と、この大瀬のような所に住む、お金を使いたくても使う場所が日常にはない中で遊び、友達と付き合う子供、どちらが幸せなのだろう、どちらが健全なのだろうと思う。
勉学を中心に考えれば都会の近い程色々な機会は多いしチャンスも多い、一長一短があり容易に結論を出すことは出来ないが、私は親の働く背中を直に見ながら育つ地方の子供の生き方に共感を覚える。
そうであれば、私も子育てを考えて東京生まれ東京育ちであるにも関らず北海道に家を建てたのだが、あながち間違ってはいなかったのではないか・・・などなど話しながら歩いていると大瀬の中学校まで来ていた。

大瀬の町並み大瀬の町

 

居づらい

大瀬の休憩所に立ち寄ると犬を連れた一人の男性がドラム缶でゴミを燃やしていた。
休ませて下さいと声をかけたが一瞥しただけで無視され、何となく不穏な白々した雰囲気、早々に退散した。
この休憩所にはお遍路さんのマナーに関する新聞記事などが何枚も貼ってあった。
もしかしたら、彼はマナー違反のお遍路が汚く残したゴミを掃除し燃やしていたのではないか、汚されて機嫌が悪かったのではないかと勝手に想像し、少なくとも私達はそのようなことがないよう留意して歩こうと話し合った。

 

しゅう雨

吉野川トンネルを抜け鴇田峠への道に入る。田渡小学校前の休憩所で早お昼にした。
どんより曇って今にも降り出しそうなお天気に花桃の紅色が映えている。

花桃花桃の花

積雲が山を覆い暗くなって来たと思ったら、落合トンネル手前でとうとう降り出した。
積雲の固まりが通過してしまえば止むとは思うが、結構強い雨脚となりたまらず雨着を引っ張りだす。

しゅう雨に見舞われる雨

雨は三嶋神社を過ぎても降り続き、その後も断続的に降り一時霰も混じった。
三島神社はとても立派な神社、端正な佇まいで静かに建っていた。

三島神社三嶋神社

 

鴇田峠

これから越える鴇田峠はネットなどで見る限り大変だったと言う内容の記述が多く、私達が通るのは疲れてくる午後になるので、要注意箇所としてマークしていた。
午後1時に標高400mの鴇田峠遍路道入り口、僅か10分登ると舗装道路に出た。
少し下がってしばらく歩き大きな道路を横切り、緩やかに登る道を行くと道はそのまま山道へと続いている。
付近は別荘地、1軒だけ住んでいて鶏を放し飼いにしていた。
畑仕事をしていた男性に大きな声で挨拶すると「雨が降って大変だったね〜、久万へは後1時間、頑張って!」と大きな声援を頂いた。

鴇田峠への道鴇田峠への道

ここからが大変なのかとゆっくり20分ほど登って行くと平らになり、鴇田峠とある。
あまりにもあっけなく拍子抜けの感であった。
ネットなどで言われている大変さは、歩く距離が長く大変と言う意味であったかも知れない。

鴇田峠鴇田峠

峠からは滑りそうな下り坂を注意しながら降りれば久万高原の中心部へ出た。
丁度、郵便局があったのでお金を下ろし、宿へと向かった。

 

 

体調は良好、鴇田峠への道を軽やかに進む。お大師様の数々の逸話が書かれたプレートが目につき、歩き遍路用の道の整備に力が入れられていることを知って有り難い。
何しろ、遍路マークを繋いで繋いでここまで来た。
常にそのマークを探して歩いているので、似たようなものを見つけるとそちらに行ってしまいそう。
そんな時、おもむろに地図を出して現在地点を確かめている主人、覗き込んでもほとんど理解していない私、御陰様でここまでくることが出来た。
感謝しているのですよ、本当は・・・。

 

青空に 霧 山肌をかけ登り
    現れし 山桜(はな) 淡く美し

 

 

 

 

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