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延命寺
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桜は既に散り始め所々白い花びらの絨毯が出来、山肌は新緑のグラデーションが広がり始めて美しい。
BMWの新しい車が止まり、まだ若いお兄ちゃんが大きな声で「道は分かりますか〜?」
「ありがとう、何とか分かると思いま〜す」「すぐを斜め右ですから・・」とクラクションを軽く鳴らし、右手を突き上げて走り去った。
あんなに若い人が・・・、歩き遍路をした事があるのだろうか?等と話しながらほのぼのした気分で歩く。
ツツジが咲き出す
歩き始めて2時間半、別格の延命寺に着く。
住宅地の中にある小さなお寺だが、品があり癒される。
延命寺
弘法大師が直接手植えされたという、いざり松と呼ばれた松が有名であったが枯れて根の部分のみが残っていた。
松の巨大さが想像できる太さ大きさであった。
いざり松の残った根
私達がお参りを終えると二人のお遍路さんが次々にやって来た。
その内の一人が別格霊場でのみ購入できる玉で作った数珠を見せてくれる。
中々見事なものである。
延命寺を後にして伊予土居の町中を歩いていると「今昔庵」というお遍路に1000円で宿を提供している善根宿のご主人から休んで行きなさいと声をかけられた。
折角だからとお邪魔してお茶を頂きながらお遍路に関する色々なお話を伺った。
今昔庵のご主人と
少々態度は大きいが、おっしゃる事は私が感じてきた事と共通する点もある。
曰く「札所の坊主はどいつもダメ坊主、金のことしか考えていない」
「札所の住職と話していると何時も喧嘩になりもう来るなと言われるけど、俺はご本尊に会いに来ているのでお前なんかに会いに来たんじゃないと言い返している」
「あそこの坊主は勉強が足らん、あそこの坊主は少しはマシ、あそこは・・・」などなど話が尽きる事は無い。私が「最初は札所にお参りするのことが大事と思っていたが、最近は歩く事そのものが大事でお遍路なのだと思うようになった」と言うと
「その通り。札所で怒り、歩いて癒される。それがお遍路」とそそのかす。
この方、今川今昔さんと言われ、四国霊場巡礼140回(車80回)、その他インド、中国、タイなどの巡礼をして来たと言う。
彼を信奉しているのか、若い方が手足になって働いていた。
この世界ではかなりお偉い方のように見受けたが、どうなのだろうか。
雨のため昨日は国道を歩いたが、今日は遍路道を忠実に歩く。
静かな所が多く周囲も見られ、話も弾む。
良い事ずくめなのだが、お店が無いのが欠点か。
お店特に食堂らしきは全く無い。
仕方なく国道へ出ると、すぐにうどん屋があったので、昨日に引き続きうどんで昼食。
ここはセルフではなかったが、こしがありだし汁もおいしかった。
残念なのは、種類が多過ぎて何を頼んで良いのか分からないことだ。
これからは讃岐うどんの本場に入って行く。どんなうどんと出会えるかこれも楽しみである。
遍路道の風景
12時半頃、寒川と言う所の郵便局でお金を下ろし、その裏手に遊具が数点置いてある小さな広場のベンチで休憩。
休まず進めば宿に早く着き過ぎてしまうのである。
腰掛けて話をしたり、メールを打ったりしていると、近所のおじいさんがやって来て色々話す。
どうやら私達が長い間座っているので何か困っているのではと来てくれたらしい。バスツアーで何回も回った事があるそうで、お寺に詳しい。
あすこはどうだった、こうだったと特に私達がこれから訪れる三角寺、雲辺寺について見所などを話してくれ1時間以上お付き合いして頂いた。
散歩の途中、足を止めてしまってごめんなさい。そしてありがとうございました。いや〜、暇つぶしもなかなか難しいものですね〜。
今日はどうやら小学校の入学式、先生や先輩達と一列になって下校する黒い制服と半ズボン姿に黄色い帽子、黄色のランドセルの一団は、可愛く眩しい。
道端の花
道端でカミさんが花を見つけた、花好きなのに名前は分からないと言う。
北海道では見ない花、何と言う花なのだろう。今日の宿、旅館大成荘は30分ほどの所にあった。
古い旅館で継ぎ足されたような建物はちょっぴり危なくもあるが、女将の優しさ、気配り、適当な質量の食事は心が安らぎホッとした気分にさせてくれた。
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