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寄り合いのお寺
大
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大興寺本堂
地元の人達から親しまれ、気さくに集まる場になっているようだ。
その人達の横でお参り、小さなお寺だが暖かさを感じるお寺である。
納経し、出発しようとすると奥様からバナナと紅葉まんじゅうのお接待を頂いた。
ありがとうございました。
次に神恵院を目指すが雨と低くたれ込めた雲。
遠景は見えず遍路マークを頼りに歩くのだが方向感覚がおかしくなり、どこをどう歩いているのか見当もつかない。
観音寺市内に入ってようやく位置が判り安心する。68番神恵院と69番観音寺は同じ敷地にあり、よく見ないとどちらがどちらか判らない。
納経所も共通で、いわば同居のお寺である。
神恵院
神恵院は山門を入って観音寺の境内を通り過ぎ、階段を上がった所にある。
神恵院への階段
本堂、大師堂が寄り合って建っていて観音寺に気を使いながら遠慮しているようにも見える。
神恵院から観音寺を見る
観音寺は朱塗りの本堂が目立ち美しい。
観音寺本堂
納経所で両方の納経をして頂く、何だか徳をしたような気分だ。
雨は強弱をくり返しながら降り止まない。
観音寺からは川の堤防沿いをのんびり歩く。
河川敷には菜の花が咲き乱れとても美しい。
しばらく歩けば前方に雨に煙る本山寺の五重塔が見えて来た。
堤防の桜とマッチして絵のようだ。
雨に煙る五重塔
本山寺は平地にありながら風格を感じさせるお寺。
建立当時の姿を保っている珍しいお寺の一つでもあるという。
本山寺五重塔
国宝に指定されている本堂は実に立派、古い五重塔とよく似合っている。
このお寺は建設当時の姿を守りながら、一人静かに佇む孤高の人の感じがした。
本山寺
ゆっくりお参りし、雨の境内でおにぎりとバナナで早めのお昼を食べた。
次の弥谷寺へ向かう。
雨が本降りになって、騒音と水しぶきで話も出来ない国道を歩くのは辛い。
幸い、1時間程で国道から外れ遍路道へ入る。
孫の話、この冬に死んだ愛犬の思い出話などで気を紛らわせながら歩く。
篠突くような雨、景色も楽しめずひたすら歩くしかない。
足を交互に出しさえすれば、そのうち着く。やがて前方に山の気配、真っすぐそちらに向かって道は続いている。
雨雲が低く、小山はすっぽり覆われている。弥谷寺の山門は霧と言うより雲の中、神秘的・幻想的な雰囲気が漂っている。
弥谷寺山門
山門からうっそうとした木々の道を登り仁王門石段を上って行く。
さらに108段の階段を上がって本堂と大師堂の分岐点に出た。お腹もすいたのでお参りの前に満たそうとベンチに座り、雨の中おにぎりや紅葉まんじゅう、みかんなどを食べる。
1・2度、カミさんが咳き込んだ。
あれ!と思ったら、これが引き金になり喘息症状・・・。
急いで吸入薬を取り出し吸入しようとするが、呼吸が苦しくて吸入できない。
気管が狭まって呼吸が出来ないのだから、どうすることも出来ないのだ。
とても苦しそう、雨をさえぎってやることも出来ない私はただ背中をさするだけだ。
2・3分して息が僅かに出来るようになってきたので、吸入薬を渡す。
何度か試みるがタイミングが合わず上手く吸入できない。
どうやら成功、とたんに呼吸がそれまでとは比べものにならない程、整い始める。
5分も待つと気管が開いて嘘のように平常に戻った。
薬の威力の凄さである。ありがたい。大丈夫と言うので、ゆっくり本堂へ登る。
右手の岩壁には石仏が彫られ、それが霧と雨で数m先が霞んで幻想的かつ神秘的である。
写真と撮ろうとしたが、フラッシュを使うと霧が反射して真っ白になっていまい、フラッシュを使わないと露光不足で写真にならなかった。本堂をお参りし一旦下り大師堂へ、ここは靴を脱いでお参りするようになっている。
雨でずぶ濡れの歩き遍路にとっては辛い要求だ。
タオルで体を拭き、廊下などを汚さないようにするには10分位の時間を要した。
大師堂ではいつもに加えて、先ほどの緊急事態が大事に至らなかったお礼を心から申し上げた。
霧に佇むお大師様
弥谷寺は岩場にある数少ないお寺。
岩山を工夫してお堂が建ち、独特の雰囲気を有していて是非晴れた日にお参りしたいものだと思った。
高台から見渡す景観も素晴らしいのではないだろうか。本来は弥谷寺のそばにある温泉施設を今日の宿として予定していた。
あいにく満室とのことで今日はもう少し頑張ることになった。
弥谷寺からは山の中の遍路道を下って行く。
山道には雨が小川のように流れ、やや歩きにくかったが距離的には僅か。
40分ほどで73番出釈迦寺、山の中腹にある小さなお寺だ。
出釈迦寺
本来であればこのお寺の奥の院である捨身が嶽にお参りするのであるが、この日は雨で奥の院は雲の中、残念ながら諦めた。
出釈迦寺
72番曼陀羅寺へ戻り、お参りする。
曼陀羅寺
こちらも小さいお寺ながら風情を感じる中々良いお寺である。
曼陀羅寺鐘楼
納経所におられた老女から「雨で大変だったね、今日のお参りはここまでかい? ゆっくり休んで頑張りなさい」と言われ、疲れた心がその一言で癒されたような気がした。
人柄というか、威厳というか、これまでの人生を感じさせる尊敬していまいそうな老女であった。
今日の宿は曼陀羅寺の門前、門先旅館。
純朴でおっとりした女将が色々面倒見てくれる。
大きなお風呂にゆっくり入ると、疲れが飛んでゆくようだった。
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