ヒマラヤ紀行 Part8

 

ヒマラヤ・トレックの参考

 

ヒマラヤ

 


 

ヒマラヤ・トレックを楽しむ上での参考事項は トレッキングを企画する
旅行社のパンフレットやインターネットで知る事が出来ます。

ここでは今回私が経験した事を基に、皆様の関心が強いだろう事を中心に記述します。

 

高山病

ヒマラヤやアンデスなど高地へ旅行するとき気になるのは高山病ですね。
厳しいトレーニングを積んだ登山家でさえ、高山病で意識を亡くしたり、死亡したりすると聞くと恐ろしくなります。

一般的に頭痛、顔や手のむくみ、吐き気などの症状が出ると言われ、そうなった場合には高度を上げない、暖かくして休養、深呼吸、鎮痛剤の使用などで対処する。
そしてその予防の為にはゆっくり歩き、深い呼吸をし、水分を多めに撮る、アルコールは呑まないなどが有効だと言われています。

高山病予防薬として知られる「ダイアモックス」。
日本では医師の処方が必要なお薬ですが、カトマンズでは手軽に安く手に入り、朝と晩に半錠づつ呑むのが良いとされています。
基本的には利尿剤で私個人的には利き過ぎてトイレに頻繁に通わざるを得ず、一晩で使用を止めました。

高山病は個人差も大きいとされており、私の場合はアンデスでも今回のヒマラヤでも何の症状も出ず、普段通り過し行動する事が出来ました。

ヒマラヤ・トレック中、ガイドなどから聞いた話では、
ゆっくり歩き、深い呼吸に注意していれば大体大丈夫。
吐き気がある時は要注意。
予防には何故か、ガーリック・スープが良いと教えられました。

現地会社からはパルスオキシメーターという血中酸素濃度を測定する機材を渡され、この濃度が70%以下になったら下山するようにアドバイスを受けました。
ちなみに私の場合、朝食時に測定した血中酸素濃度は次の通りでした。

高度3500m付近(ナムチェバザール、タンボチェなど) 94〜98%

高度4500m付近(ディンボチェなど)

91〜94%
高度5000m付近(ロブチェ、ゴラクシェプなど) 86〜89%

また高度順応も大切で、一日の高度変化を500m以内にする事も有効と言われています。

余り過度に怖がる必要は無いと感じましたが、レスキュー・ヘリで運ばれる人を何回か見ましたし、道で座り込みガイドが心配そうに見守っている姿も何度も見ました。
出来る限りの予防措置をとって、何か症状が出たらガイドなどに相談して対処する事が大切ではないでしょうか。

 

ヒマラヤ・トレッキングをする際に履く靴については、多くの案内書には登山靴(軽登山靴を含む)が良いと書かれています。
私も山靴で歩くつもりでした。
ですが、急遽シュラフを持参する事になり私のダッフルバッグは小さいため山靴が入りません。
履いて行こうかとも思いましたが、重くて躊躇です。

そこで「四国歩き遍路」の時に使ったウオーキング・シューズが眠っているのを思い出し、これを使う事にしました。
結果は大正解。軽いし柔らかく歩き易いのです。

考えてみれば、ヒマラヤのトレッキング道は地元の人達の生活道。
ポーターなどはサンダルの人も居る位です。
ガイドも大半は運動靴、地元の人も運動靴が主流です。
私が今回歩いた道も、チョラパスだけが山道の感覚でした。

用心して山靴で歩けばより安全でしょうが、重い思いを覚悟する必要があります。
短期間ならともかく10日以上のトレッキングとなれば軽く楽にが良いでしょう。
ゴーキョでは約20cmの積雪の中を歩きましたが、全く問題ありませんでしたよ。

子供現地の人は運動靴

 

シャワーと洗濯

トレッキング中の入浴は出来ないと思った方が良いと思います。
ロッジにはホット・シャワーの看板が出ていますが、シャワー・ヘッドを付けたバケツかポリタンクにお湯を入れて天上からぶら下げるだけのものです。
寒そうですし、利用している人を見た事はありませんでした。

3週間も入浴もシャワーも出来ない生活なんて日本では考えられませんでしたが、現地は乾燥しているせいか汗もかかず意外に気になりませんでした。
衣服の臭いも気にしましたが、慣れなのか、さほど気になりません。

結局3週間、シャワーも浴びず、洗濯もせずでトレッキングを終えました。
その代わりとても便利に使ったのが、ウエット・ティッシュ。赤ちゃんのお尻ふきでも良いと思います。
一日のトレック終了後、顔や上半身に1枚、そして下半身に1枚ですっきり。

トレックを計画している方は、ぜひ忘れずにお持ちになって下さい。

もっとも帰国後、洗濯をしてくれたカミさんからは、お湯で浸け洗いしたのに一回では奇麗にならない位汚れていたとこぼされました。

 

予備バッテリー

ヒマラヤ・トレックに出かける方の多くはカメラをお持ちになると思います。
最近のカメラ、特にデジカメはフィルムがいらないので海外旅行にはとても便利です。
しかし、機械式ではなくバッテリーで動くので充電や予備電池が必要ですね。

ヒマラヤ・トレックの途中にあるロッジは大半が太陽電池の発電装置を備えており、電気も使えバッテリーの充電も可能です。
ですが、1時間300ルピーとかなり高額な料金が必要なので、大半の人はカメラの予備バッテリーを持参する事になります。

余り知られていないのですが、リチウムイオン・バッテリーは国によって航空機への機内持ち込みが禁止されています。
日本ではバッテリーの端子部分がしっかり絶縁された物はOKですが、ネパールでは禁止です。
実際にネパール国際空港の荷物検査で引っかかり、没収されているのを目撃しました。

国によって取り扱いが異なるとの事です。
どうぞご注意ください。

 

 

少しの気遣い

何度か申し述べていますが、ヒマラヤ・トレックには世界中から大勢の人達が楽しみに訪れています。
見知らぬその人達と楽しく交流するのも愉快な事。

文化も風習も異なる人達と楽しく交流するには、ちょっぴり気遣いが必要になると思います。
いわばお互いが気持ちよく過ごせるような、配慮であり、マナーです。

なにもむずかしい事は何もありません。
その場の空気を読み、雰囲気を大事にする。
変に目立つ言動や、いやがられる行動を控えれば良いのです。

日本人が気づかずに嫌がられるのは、どうも食事マナーらしいですね。
特に食べる時の物を啜る音は、ビッックリするほど嫌がられ驚かれます。
日本でも嫌われる、お行儀の悪い食べ方にもちょっぴり注意を払いたいですね。

彼らの言動を見ていると、子供の頃から厳しくしつけられているのか、他人に対する配慮、マナーは一般的に洗練され美しく奇麗だと感じます。

世界中の人達と交わるのですから、良いな〜、奇麗だな〜と感じる事は真似をし、嫌だな〜と感じる事はこちらもしないよう注意する。それだけの事で済むのです。

ちょっとしたお互いの気遣いが、ロッジの夜を楽しく思いで深い物にしてくれる筈ですよ。

 

文化・風習への敬意

ネパールは他民族国家であるという。
構成民族の数は50以上にのぼるらしい。
カーストという私たちには理解すらむずかしい制度も現存しているそうです。

ヒマラヤ・トレックの地は概してシェルパ族の多い地域です。
その地をトレックする時に、大切なのは歩かせてもらっていると言う感覚ではないでしょうか?

自分の価値観を当たり前として、ネパールの文化・風習・常識を無視して闊歩する。
そういう人をネパールの人は認めるでしょうか、尊敬するでしょうか?

「俺はネパールの風習だとか、そんな物は知らん」と威張って居る人がいますが、それで良いのでしょうか。

「ネパールの人は物をもらってもありがとうを言わない。全く失礼な奴だ。」と怒っている人を見かけました。
ネパールの人にとって、ありがとうは宗教上の大変深い意味があって滅多に使う事の無い言葉だそうです。
それを知っていれば、怒る事も無い筈です。

私は現地の習慣や風習を少しは勉強して、それを尊重したいと思いました。

例えば、以下の事などです。

  1. 「マニ石( 街道のあちこちにあるマニ経の経文を書いた大きな石)」はその左側を通る。(彼らの宗教を尊重した事になる)
  2. 泉や炉にに汚い物を捨ててはいけない(水の神や火の神を冒涜する事になる)
  3. 人の写真を撮る時には、礼儀正しく許可を得る。
  4. 寺では少しでも良いので喜捨をする。
  5. 挨拶をし、微笑み返すのを忘れずに

皆様もこの位は、何の雑作も無いことだと思います。
それで日本人は良い奴だと感じてもらえれば嬉しい事ではありませんか。

マニウオール
大きなマニ石と聖なる山「クーンビ・ラ」

 

 

 

 

 

 

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