旭岳 (2290m) (大雪)  2006.8.27(日) 晴れ



8.27(日)
姿見の池 0635
C2000m 0725
旭岳山頂 0805
0835
裏旭岳コル 0850
間宮岳 0920
中岳分岐 0945
中岳温泉 1010
1025
裾合平分岐 1055
夫婦池 1200
旭岳は大雪は勿論、北海道の最高峰、北海道の代表的な山として多くの人に愛され、登られている山です。

表大雪の西端にあり、今も噴煙を上げる活火山で中腹や麓には旭岳温泉、天人峡温泉があり、北海道を代表する観光地でもあります。

その旭岳に私達も何回か訪れているのですが、ガスや雨、雪など悪天候続き、旭岳からの大展望は見たこと無く、お預けになっていたのです。

花の時期は過ぎ、紅葉にはまだ早い、訪れる人も少ないだろう夏の終わり、久し振りに旭岳を訪れてみました。
今回は待望の大展望を心行くまで楽しみたいと、旭岳から間宮岳、裾合平をへて姿見に戻るゆっくり散策コースです。

深夜車を走らせ山を登るのは辛く感じる年となり、前日出発し東川町のキトウシ森林公園とキトウシ山(457m)で遊んだり、忠別ダムからの景観を楽しみつつ、旭岳温泉の駐車場で車中泊です。


木洩れ日の道を楽しみつつ、キトウシ山へ

忠別ダムからの旭岳(右)と愛別岳・永山岳など

旭岳温泉で過す一夜は満天の星、車にしつらえたベッドの上で寝ころびながら、たわいの無いおしゃべりと寝酒で時間を過ごし、気が付くとぐっすり眠って明るくなっています。
お天気は上々、車中泊していた他の人達も嬉しそうな表情で朝食の用意を始めています。

0600朝一番のロープウエイで姿見駅へ、駅は大きく奇麗になり立派なバイオトイレが設置されていて気持ち良く使わせてもらいました。

準備を整え歩き出すと、旭岳の右肩から朝日が顔を出し始め、清々しい気分です。


朝の姿見の池と旭岳

多くの人達が登り出しています。
軽装の人、縦走装備の人達、様々ですが、皆さん一様に嬉しそう。
素晴らしいお天気に気持が浮き立つのでしょう。

整備された登山道の周囲は一面咲き終わったチングルマの穂やイワウメの花柄で一杯です。
爆裂火口南側の広い尾根をゆっくりと歩き、ガレた道を登ると火口右側の顕著な尾根を歩くようになります。

振り返ると右後ろに十勝連山、芦別岳・夕張岳が見え、真後ろから左後ろにかけて樺戸山地や増毛の山々が少し霞んで見えています。
高度を上げるにつれて、右眼前に横たわる高根が原・忠別岳・化雲岳の向こうに、トムラウシ岳のゴツゴツした山頂が段々大きくなって見えてきますし、ニペソツや石狩岳・音更岳の姿も現れてきて、ウキウキするような気分です。


十勝連山(右)と頭を見せ始めたトムラウシ岳(左)

C2200mの金庫岩で左に進路を変えると間も無く、大展望の待つ旭岳の山頂です。
これまで見えなかった当麻岳、比布岳、北鎮岳、凌雲岳などの表大雪北側の山々がズラリとお出迎えです。

すでに登頂していた人達が感嘆し見入るように大景観の素晴らしさに浸っています。
透き通るような空気と涼しい風、あちこちから歓声やらカメラのシャッター音が響いています。


旭岳北側から東側(当麻岳から緑岳)にかけての大展望。

西側は爆裂火口を見下ろして姿見の池や夫婦池、ロープウエイの駅などが真下に見えています。


山頂から爆裂火口越しに姿見の池周辺を見る

さすが北海道の最高峰、遮る物の無い旭岳山頂にドッカと腰を下ろし、グレープフルーツを美味しく食べながら、重畳たる山並みに見入ります。
近傍の表大雪の山々は山肌や沢形までクッキリと、遠くの天塩岳、ニセカウ、武利・武華、石狩・ニペソツ、十勝連山、夕張・芦別、樺戸、増毛の山々はその輪郭をしっかり見せていて飽きる事はありません。


記念に一枚

続々と登ってくる人達にスペースを空けようと、先に進む事にしました。
東側の裏旭岳とのコル目掛けてザレた急坂を滑らぬように注意しながら降りていきます。
雪渓が残っていればグリセードには丁度良い斜面ですが、尻滑りにはちょっと怖いぐらいの急斜面、自然と腰が引けてへっぴり腰、なおさら滑ります。

コルには雪渓からの水が流れ、冷たい水で喉を潤しました。


残る雪渓と旭岳

熊が岳の峨々たる荒々しい山容を左手に見ながら間宮岳へ緩やかに歩を進めます。
振り返ると旭岳が西側から見るのと全く違った、丸く優しい山容を見せていました。


東側から見る旭岳

間宮岳に出ると驚くほど大きな火口原のお鉢平が目の前に広がり、その回りに白雲岳のゴツゴツした山頂、特徴ある赤岳や烏帽子岳の姿、鋭い姿の凌雲岳・北鎮岳、目を引く山肌の比布岳・当麻岳などが端座しています。


荒涼とした火山台地を間宮岳へ

雄大なお鉢平

間宮岳からは北に進路をとり、お花畑に囲まれた道を緩やかに下っていきます。
小泉岳・緑岳・白雲岳周辺程ではないかも知れませんが、一面御花畑。
残念ながら今の時期は花も終わっていますが、花柄の多さがその凄さを物語っているようでした。
それでも、クモマユキノシタ、チシマクモマグサ、イワツメクサなどが名残の花を咲かせていました。


中岳分岐へ緩やかに下る登山道

中岳分岐からは進路を西に取ると、旭岳の裾野と当麻岳の裾野の間に草原の広がる裾合平が見え、そこに向かって下っていきます。


前方に裾合平の草原が広がる

岩屑混じりの道を下って行き、左手に谷が深く切れ込んでいる所から沢に降りると、硫黄の匂いが強くなり登山道脇にスコップが立ててある湯船が。
中岳温泉です。


一ッ風呂、浴びたいな

湯船の底からは泡と共に温泉が噴き出しており、まさに源泉100%。
脇を流れる沢から水を引き込めるようにしてあり、手を入れてみると丁度良い湯加減、誰も居なければ入りたい温泉です。

裾合平に近くなるにつれ、秋の花達が咲き出しています。
良く整備された木道を歩きつつ、秋の花を堪能します。
アキノキリンソウ、ヤマハハコ、ツバメオモトの実が秋を感じさせます。


アキノキリンソウ

でも雪渓が溶けた近くの場所では、季節外れのエゾノリュウキンカやワタスゲ、マルバシモツケなどが咲いていてビックリでした。

ミヤマリンドウやイワギキョウの紫色が季節を物語っているかのよう。


ミヤマリンドウ

また裾合平はチングルマの群生地でもあるようで、穂が陽射しを受けてキラキラ輝いている様は見事というより言葉が無いぐらいでした。


チングルマの穂

裾合平の分岐は北に行けば愛山渓、私達は南へ向かい、姿見の池へと戻っていきます。
この辺りの道の周囲にはクロウスゴやクロマメの木が多く、今は黒紫の実を一杯付けていて、10個ほど取っては口に入れ甘酸っぱい味を楽しみながら歩きます。

何本かの沢型を跨ぎ、旭岳の山腹を巻いていくと、リンドウの群生地が幾つも出てきます。
夏の終わりの静かな旭岳を楽しもうと訪れましたが、すっかり秋の気配、装いを感じさせてもらう山旅となりました。


リンドウが咲き乱れる旭岳山腹

何回訪れてもガスや雨と機嫌の良い顔を見せてくれなかった旭岳、今回初めて美しい雄大な表情を見せてくれました。
さすがは北海道を代表する山、素晴らしく、感動しました。

その感動を手軽に味わえるのは、ロープウエイと言う機械力のお陰。
「自然を味わい、親しむのに機械力のお世話になるとは如何なものか」と言う、私なりの自分勝手な持論とは明らかに矛盾しています。
せめて下山だけでも自分達の足でと思いましたが、姿見駅で「やっぱり、これで降りようね」と言う私達でした。

GPSトラック
Homeへ Page Topへ 次に進む  

inserted by FC2 system