ピンネシリ (1100m) マチネシリ (1002m) (樺戸山地)   2007.5.21(月) 晴れ



5.21(月)
一番川登山口 0640
林道分岐 0730
C700m 0750
コル 0830
ピンネシリ山頂 0850
0945
マチネシリ山頂 1010
1100
林道出合い 1135
一番川登山口 1230
小説「新十津川物語」の中で、北国の厳しさ美しさ、辛苦の思い・望郷の思いなどの背景として何度も登場する山「ピンネシリ」。

ピンネシリがある樺戸山地は増毛山地の南東、滝川市の南西に位置する小さな山塊ですが、独特の山容が見る者の目を惹き付けます。

樺戸三山と呼ばれるピンネシリ、神居尻山、隈根尻山、これまで何故か歩く機会が無かったピンネシリと隣のマチネシリに花と大景観を期待して訪れました。

道民の森一番川地区のキャンプ場奥(約4.5km)が登山口、駐車場も整備され、奇麗なトイレも設置してありました。

登山口の直ぐ先で沢を渡ると、ピンネシリと隈根尻山への登山道分岐です。
林道を左に取り、沢沿いの道をのんびり進んでいくと道端にはオオバキスミレやオオタチツボスミレ、ノウゴウイチゴが迎えてくれます。

写真を撮ったり、葉っぱをひっくり返したり、カミさんと二人のミニ観察会、ちっとも前に進みません。


オオバキスミレ

オオタチツボスミレ

林道は2回徒渉をしながら緩やかに登っていきます。
徒渉は靴を濡らすほどではありませんが、この時期午後は雪解けで増水しますので注意が必要です。


徒渉は2回ある、石は滑らない

小一時間歩くと、林道と分かれ尾根に取り付いていきます。
道民の森地区にある為か、登山道も案内標識もよく整備され迷うことはありません。

道の両側にはカタクリが絨毯のように咲いていますし、ザゼンソウ、エゾノリュウキンカも沢筋に咲いていて目を楽しませてくれます。


ザゼンソウ

エゾノリュウキンカ

C650m付近から残雪が出始めました。
歩き始めは曇っていた空も青くなり出し、期待が膨らみます。


やわらかい膨らみのピンネシリ

周囲の木々からは鴬をはじめ鳥達のさえずりが賑やかです。
上手でお手本のようなのも居れば、中々上手く鳴けなくてもどかしいのまで様々、思わず声援。
フクロウの低く野太い声や、トラツグミの物悲しい声も聞こえています。


コル、左にピンネシリ

C800mを越え、ピンネシリとマチネシリのコルが間近に見えてきました。
この付近にはショウジョウバカマが多く咲いています。


ショウジョウバカマ

花や景色を眺めながらゆっくり歩いているせいか汗もかかず、時間もたっぷりあるとおしゃべりしながらルンルン気分で歩きます。

コルに出ました。
抜けるような青空にピンネシリが大きく全容を現しています。


コルからのピンネシリ

西には厚田の山々や日本海も見え、東には滝川市や音江山なども見えています。
山頂はもうすぐです。


山頂直下を行く

これまで見えなかった大きな気象レーダーのドームが立ちはだかるように建っているのが目に飛び込んできました。
カミさんが「凄い・凄いわ〜!」と叫んでいます。


山頂の先には何が・・・?

「ウォ〜・やったね〜、こりゃスゴイや!」
増毛山地の山々が神々しい白き姿でズラリと並んでお出迎えです。


山頂から増毛山地

GWに訪れて雲と風で気力を喪失し戻った浜益御殿や群別岳、奥徳富岳、暑寒別岳、南暑寒別岳、雨竜沼湿原が惜しげも無く姿を現しています。

ピンネシリの山頂は快晴ですが風が強い上、気温も低く指先がかじかんできます。
パーカーを着込み、風を避けられる所を探し、増毛山地の山座同定です。
ああだ、こうだ。あの時は、この時は。自慢話や失敗談に笑い声が響きます。


左から群別岳、奥徳富岳、ホンジャマ平、暑寒別岳、南暑寒別岳

暖かいコーヒーやグレープフルーツが美味しい。
山頂からは一部しか見えない神居尻山をしっかり見ておこうと神居尻寄りの斜面まで行ってみます。


ピンネシリと稜線続きの神居尻山

南にはマチネシリ(左)と隈根尻山がドッシリと見えています。


隣のマチネシリと隈根尻山

東側には滝川や奈井江、砂川などの町並と音江山や美唄山、その向こうに大雪や夕張連山が霞みながら見えていました。


滝川方面を見る

素晴らしい大景観に寒さも忘れ一時間近く山頂で過してしまいました。
楽に登れた山、景色に見とれながらのたわい無いおしゃべり、厳しさや困難を乗り越えての山頂とは一味違った楽しみです。

少し寒くなってきました、名残惜しいけれどもう一度大景観を目に焼き付けてマチネシリに向かうこととしました。


大満足のピンネシリ山頂で

樺戸山地の山は道民の森に続いている為か大変よく整備されていて、登山道の一部は丸太の階段が付けられています。
この階段、歩くというより土砂崩落防止の意味合いが強いらしく、歩幅が合わず多くの人から不評をかっています。
特に下りは景色などを見ていると足を踏み外し転がり落ちる危険があり、注意する必要があります。

ピンネシリからマチネシリへの稜線はカタクリとネギの畑。
カタクリのピンクの姿とネギの匂いが香る道を進みます。


カタクリとアイヌネギの道を行く

マチネシリへは途中で十津川からの道を合わせ、呆気ないくらいの距離です。
マチネシリの山頂からは隈根尻山への稜線がハッキリ見通せました。


隈根尻山、左奥は樺戸山・浦臼山への稜線

振り返るとピンネシリが一際高く聳えています。


暑寒別岳を従えているかのようなピンネシリ

夕張岳や芦別岳、余市岳・無意根山、遠く積丹の山々もかすかに見え始めました。

カミさんが突然クシャミ十連発、始めは誰かが噂をしているのではと笑っていましたが、鼻水も止まらないようです。
ピンネシリで風に吹かれ風邪を引いたのでしょうか。
もちろん、予定していた隈根尻山への縦走は取り止めです。

寒くないように重ね着をして、山頂の風のない暖かい草原でゆったりした時間を過すことにしました。
周囲はカタクリやネギの他にもエゾイチゲも可憐な花を沢山付けています。


エゾイチゲとネギそして隈根尻山

マチネシリ山頂でも約一時間マッタリした時間を過しました、することも無くなり下山することに。
コルへ降りる道からはピンネシリが優雅な姿を見せています。


優雅な姿のピンネシリ

コルからは残雪の道を下ります。
雪の上は足に優しく気持良い、登山口まで雪が続いてくれないかと思うほど。

道の両側に咲く花々を楽しみながら降りますが、ネギやコゴミ、ウドなどを見ると黙って通り過ぎられないのが人情です。
「今晩のおかずに」「晩酌のつまみに」とザックは山の恵みで次第に膨らんでいき、登山口に戻った時には登る時より重くなっていたのでした・・・(笑)。

ピンネシリは本当に手軽に登れ、展望も第一級ですし花も楽しめます。そしてお土産も付いてきます。
春のこの時期は虫も少ないですし、お勧めの山だと思います。

GPSトラック
Homeへ Page Topへ 次に進む

inserted by FC2 system