石狩岳(1966m) 音更山(1932m)

東大雪 2008.6.18(水) 晴れ

石狩岳

 

2008.6.18(水)

十石峠登山口

0415
水場 0515
十石峠 0625〜40
ブヨ沼 0735〜45
音更山 0910〜35
石狩岳 1055〜1115
シュナイダー分岐 1145
シュナイダー登山口 1400
十石峠登山口 1425

イントロ

雄大な景観と花々で名を馳せている表大雪の山々、その陰にひっそり静かに佇んでいる東大雪の山。
なだらかな表大雪の山とは異なり、深い谷と切り立った岩肌は男性的にも映る。

そんな東大雪の石狩岳に十石峠コースから登り、音更山・石狩岳を回り、シュナイダー・コースを降りる周回ルートを歩いて来た。

山頂テントでゆっくりのんびり楽しむ1泊か、日帰り強行軍か、少し悩んだが64歳の爺パワーを試してみるのも悪くないと、日帰りでチャレンジして来た。
その結末は、年々衰えて行く体力を改めて実感。
年相応の山歩きを楽しんでいかなくてはと痛感したのである。

寂しいと言えばそれまでだが、独りよがりで強がっているうちはまだ良いが、遭難でもしたら人様にご迷惑をかける。
爺婆にはジジババなりの楽しみ方があることを見つけていこう・・・。

 

笹被り

前日の昼過ぎ、千歳の自宅を出て十勝三股を経て十石峠コース登山口に着いたのは17時過ぎ。
簡単な夕食をとり、そのまま車中泊。
鹿の鳴き声に何度か目を覚ましたものの、気付くと鳥がさえずり始めた午前3時半。
朝食の支度をしながら出発準備、十石峠コースは笹被りとの情報があり、朝露よけに雨衣のズボンを身につける。

十石峠コースの道は明瞭なものの基本的には終止、笹被り。濃淡をくり返す笹薮が続いている。
視界の利かない笹道を約1時間で沢音も爽やかな水場横を通過、さらに頑張りが要求される急坂が約1時間続く。
C1500m付近 から煩かった笹も少なくなり、岳樺・とど松・えぞ松の樹林の中を気持ち良く登って行く。

尾根への登り気持ちの良い山道へ変って来た

しばらくして尾根に飛び出す、樹林の間から展望が開けて来た。

クマネシリ方面の山々ニペソツ

笹に邪魔されていたのだろう、この付近から花の姿が見られるようになってきた。
ミヤマカタバミ、ミツバオウレン、ゴゼンタチバナ、ムラサキヤシオ・・・。

ミネザクラの花の向こうには、ニペソツの鋭峰が屹立している。

ニペソツニペソツ山とミネザクラ

 

ブヨ

ニペソツとウペペサンケなどの展望を楽しみつつ少し登ると、十石峠。
開けた峠の北側にはユニ石狩岳がすぐ傍に立っていて1時間もあれば登れそうだが、今回は先も長いのでパスすることに。
西側には音更山へと続く稜線がすっきり見えていて、登頂意欲が否が応でも高まってくる。

十石峠とユニ石狩岳十国峠

十石峠からはハイマツの中を延びる道だが漕ぐ程ではない。
所々にあるハンノキの花が満開、触ると黄褐色の花粉が飛び散り・舞い上がり咳き込む程だ、花粉症の目や鼻が辛い。

1685mPから進む音更山への稜線がしっかり見えている。どっしりした重厚な山の印象だ。

音更山1685mPからの音更山

稜線上の登山道には雪は全く無かったが、ブヨ沼付近には僅かに残っていた。
静かなキャンプサイト、水場も近くにある良い所だが、その名の通りブヨが多い。
ブヨにとっては久々の餌だったのだろう、虫除けスプレーなど何のその、長袖シャツの上から何カ所も噛み付かれ痛がゆくて仕方ない。勘弁してよ〜!

ブヨ沼ブヨ沼

 

音更山

這々の体でブヨの襲撃から逃れ、音更山の肩へ約300mの登りに挑む。
結構辛い登りだが、所々ミネズオウ、エゾノツガザクラ、ショウジョウバカマ、コケモモ、イワウメ、キバナシャクナゲ、コヨウラクツツジなどが可憐な姿で励ましてくれる。

ミネズオウミネズオウ

肩まで登れば、平らなゆったりした稜線を音更山へと辿るだけだ。
この辺りにはコマクサもかなり見られるが、花には少々早過ぎた。
大きな台地状の山頂部の西端に音更山の山頂はあり、さらに西側に位置する表大雪との間に妨げるものは何も無い。
大雪独特の雪模様と大景観に思わず息をのみ、次いで息が感嘆の声になって出る。

表大雪の山々大雪

旭岳、白雲岳、凌雲岳などお馴染みの北大雪の山々、雪型が美しい。

トムラウシトムラウシ

何と言っても圧倒的な存在感を見せつけているのは、トムラウシだ。
表大雪の一角と言うより、トムラウシ山塊と言った方がしっくりする感じだ。

音更山から石狩岳石狩岳

そして音更山の南には石狩岳がどっしりと勇姿を横たえている。
いなり寿司やみかんで小腹を満たしながら、まさに大景観に酔いしれる。

 

至福の一時

音更山から稜線伝いに石狩岳に向かう。
音更山からの下りはゴロゴロ石の斜面を下って行く、踏み跡が幾つもあり方向を失い易い。
視界の悪い時には要注意の所だと思う。

キバナシャクナゲやイソツツジの稜線を下り切った所がシュナイダー・コースの分岐、ここから標高差200mの痩せた岩尾根の急な登りである。
左前方には秀峰ニペソツが聳え立ち、山頂を踏んだ時の感激が甦ってくるようだ。

ニペソツニペソツとキバナシャクナゲ

岩尾根には僅かに雪が残り、ほてった体を冷やしてくれる。
切り立つような岩を登ると平らな稜線が南に続く石狩岳の山頂の飛び出た。ヤッタぞ〜!

石狩岳山頂から音更山石狩岳

石狩岳山頂は両側がかなりの斜度で切れ落ち、沢が深く刻み込まれている。
南は川上岳やニペの耳を経て表大雪まで稜線が長々と続いている。

表大雪大雪〜十勝

黒岳から白雲岳、忠別岳、化雲岳、トムラウシ、オプタレシケ、十勝岳へと延々と続く山並みと雪模様に心を奪われる。

独り占めの石狩岳山頂で大展望も独り占めだ、こんな贅沢良いのだろうか?
ゆっくり食事を楽しみながら、いつまで見ていても飽きることが無い。

石狩岳からのトムラウシトムラウシ

 

地獄坂

いつまでも立ち去りたくない気分だが、石狩岳の下りは長い。
気合いを入れ、もう一度周囲を眺め回して下山にかかる。
途中、雪の溶けた所にユキワリコザクラ、ハクサンイチゲ、エゾイチゲの群落を見つけ、その姿を楽しむ。

ユキワリコザクラユキワリコザクラ

シュナイダー・コースを下る。
噂には聞いていたが、ただ事では無い急斜面である。
木の根を掴み、岩角を頼りに降りる。と言うよりずり落ちるイメージだ。
それが標高差550m以上続いている。
良くこんな道を作ったものだと感心してしまう。

シュナイダー・コース 途中からの石狩岳石狩岳

C1250m付近から斜度は幾分緩むが、今度は延々と長い。
いい加減嫌気がさして来た頃、沢へと降りて来た。
やれやれと思ったが、この先シュナイダー・コース登山口へは約1時間必要で、私の場合は車を置いてある十石峠登山口まで2km、30分をさらに頑張らなくてはならなかった。

 

自覚

今回の山旅、日帰りはかなりキツイだろうと覚悟していた。
計画していた12時間よりやや短い時間で歩けたが、それは素晴らしいお天気と大展望による所大だったと思う。
下りのシュナイダー・コース途中からは楽しむ余裕はなく、ひたすら怪我の無いよう降りたいと思うだけだった。
そして沢の出合いからの長く感じたこと、誰かが通りがかり車に乗せてくれないだろうかなど馬鹿な妄想に耽ったりもした。

2年前まで12時間は頑張れた、今年は春に四国歩き遍路旅で1200kmを歩いたので大丈夫かと内心思っていたがとんでもない、体力は確実に落ちて来ている。
それを実感した山旅でもあった。

そうなのだと認めるしかない、しっかり自覚しよう。
そして自分にあったコース・方法で山を楽しんで行こう。

人様に迷惑をかけず、楽しむ。これに徹する、寂しいなんて思わずに・・・。

 

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