竹山(940m)

道央 2009.3.21(土) 晴れ


 

竹山

 

2009.3.21(土)
農道入り口 0750
C550m尾根取り付き 0855
C700m地点 0930
竹山山頂 1010〜1045
C600m地点 1125
農道出合い 1135
農道入り口 1215

 

竹山

竹山は洞爺湖の東側にある貫気別山(993m)を主峰とする小さな山塊の第2峰。
ルスツ・スキー場のイースト・マウンテンという呼び名の方が定着している貫気別山、そのすぐ南東に位置しているなだらかな優しい姿の山が竹山で、夏には牧場・牧草地として利用されている為、積雪期は斜面一杯に広大な大雪原が広がっている。

また展望も良く、特に羊蹄山と尻別山を堪能しながらのんびり歩くことができる事で最近人気を呼んでいる山でもある。

 

 

 

 

プロローグ

実は私達、この3/16(月)にも竹山を訪れていた。
その時は、晴天の予報とは裏腹に曇りと霧、途中から雨も降りだし、尾根に取り付く手前で引き返したのだった。

と言う訳で、今日は再チャレンジである。
お天気も上々、快晴に近い。
ただ風が少し強そうなのが気にかかる、途中通った山々の頂きからは雪煙が立ち上っていて、見るからに寒そうだった。

 

農免道路

札幌方面から喜茂別を通りルスツスキー場の手前の泉川から登・旭野方面へ左折、約5km程走って「登」に農免道路の大きな看板があり、除雪されていない道路が右へと延びている。
邪魔にならない所へ車を置き、農免道路を歩き出す。正面にはルスツスキー場のゲレンデが見え、ゲレンデ整備の雪上車が何台も行き来しているのが見える。

留寿都スキー場ゲレンデを正面に歩き出す

気温はかなり低く寒い、体が温まるまでとパーカーを着て歩き出す。
歩き始めて僅か50m程の所でスッテンコロリンと滑って転ぶ。雪解け水が凍り付き、その上に薄く雪が積もっている所で滑ったのだ、もんどりうって背中を打ち付けた。
幸い、ザックがクッションになってくれ大事には至らなかったのだが、後でとんだ目に遭う事に・・・。

200m程先に一軒の農家があり、そこまで除雪されていたが、その先は除雪されていない。
でも寒さの為に雪は固く締まっていて、つぼ足で問題なく歩ける。
先日はスノーシューを履いても20cm位潜ったのだから、大違い、嬉しい誤算だ。

雪の農免道路には動物の足跡が多い。兎、狐、テン、ネズミ・・・。
真っすぐ悠然と歩いているもの、ウロウロしているもの、引き返しているもの、それらを見て何をしていたのだろうと想像するのも楽しいものだ。
思わぬ想像が笑いを誘い、静かな場所に笑い声が残ってゆく。

堅雪のお陰で、先日より楽に大分早く尾根取り付き予定地点まで歩くことができた。
標高550m付近で道路から離れ、尾根に取り付き林の中をのんびり登る。

 

ひろ〜い!

林の尾根を歩くこと僅か10分、林は途切れ、目の前には一面の大雪原。
「ひゃ〜! 気持ち良いね〜! 」

林を抜けると・・・林

抜けるような青空、薄い新雪の覆われた雪原、心も体も浮き立つようだ。
少し進むと、広く裾野を広げた優雅な姿の竹山が全容を現した。

竹山竹山へ続く雪原

登山と言うより、まさにスノーハイク。
たまにはこういう山歩きも良いものだ。
心から、ゆっくりのんびり楽しもうと言う気持ちになれる風景だ。

 

親子山?

歩く雪原の右手には、蝦夷富士(羊蹄山)と尻別山が親子のように並んで私達を見守っている。
気高き姿が澄み切った青空に映えて美しい。

蝦夷富士に見守られて羊蹄山

○○富士と名が付く山は全国にあり、北海道だけでも利尻富士、北見富士など幾つもあるが、蝦夷富士(羊蹄山)はやはり北国を代表する富士山型の山である。

緩やかな斜面を景色を堪能し、お天気を喜び、他愛ないおしゃべりを楽しみつつ、のんびり歩く。
汗もかかない、呼吸も乱れない、笑顔の絶えない山歩き、至福の一時である。

登ってきた右後ろの北東には、無井根山や喜茂別岳などの山々がドッシリと座している。

無井根山無井根山、喜茂別岳

ルスツスキー場からゲレンデに流れる音楽が風に乗って小さく聞こえてくる。
いつもなら違和感を感じる場面だが、斜面と同様気持ちも穏やかに大きくなったのか自然に受け入れている。

羊蹄山に傘雲が姿・形を変えながらかかっている。

羊蹄山、尻別岳と羊蹄と私

 

見える、見える〜!

大雪原を徐々に高度を上げながら歩いて行く。
標高700m・800m・・、それに伴って、周囲の景観がどんどん広がってゆく。

東側には支笏湖の凹みを挟んで、北側に恵庭岳・小漁山・空沼岳・狭薄岳・札幌岳などが、南側に風不死岳・樽前山・白老三山が横たわっている。

風不死岳風不死岳(左)〜白老三山

こんなに景観に優れた山だとは実は思ってもいなかった。
思わぬ儲け物、の感じである。
折角のチャンス、存分に堪能し楽しもう。

緩やかな斜面を登る

「この斜面だったら、私でも滑れるかしら? スキー場より楽しいんじゃない?」スキーが苦手なカミさんも気持ち良さそうだ。

ルスツスキー場ルスツスキー場と羊蹄山

 

山頂へ

山頂も近くなってきた。
風に吹かれたのだろうか、太い枯れ木が目立つようになった。

少し寒さを感じるようになってきたが、カミさんは元気一杯、山頂手前のピークへとグイグイと登って行く。

向こうの景色は?登る

山頂に立てば、今まで見えなかった洞爺湖などが眺められる筈だ。
だからと言って、そんなに急いで行かなくても逃げはしないよ!


山頂へ山頂へ

 

ひえ〜、寒い!

山頂へ着いた、その途端。
洞爺湖側から、冷たい風が勢いよく吹き上がってくる。
「寒い〜! 今までは山が風を遮ってくれていたんだね。」
取りあえず、防寒具を着込む。景色は後回しだ。

パーカーを羽織り、フードも被って人心地。
正面には洞爺湖が静かに佇み、有珠山やサミットで有名になったウィンザーホテルもよく見えている。

山頂からの洞爺湖洞爺湖

北側にはルスツスキー場、その向こうに羊蹄山、そしてその左にニセコ連山、昆布岳などが並び、遥か遠くには駒ヶ岳など道南の山々も微かに見えている。

 

昆布岳
ルスツスキー場、羊蹄山、左遠くに昆布岳

冷たい風に吹かれながら素晴らしい景観を見渡していると、晴れ晴れしてくる。気持ちが良い。

ニセコ連山少し霞んでニセコ連山


まったり!

景観を楽しみながらコーヒーでもとザックを降ろすと「寒いわ! 風のない所にしましょう。」とカミさん。
尤もだと、風下側へ50mほど行った所の窪地に入ると嘘のように風はなく日溜まりで暖かい。

まだ10時過ぎだが、温かいコーヒーやお菓子を口に入れながら景色を楽しむ。
オロフレ山が以外に近くに見える。

オロフレ山オロフレ山

予想以上に素晴らしかった竹山。
存分に楽しんだ余韻に浸りながら、まったりした時間を過ごす。

 

アリャリャ!

そんな幸せな時間を過ごしながら、さらにバナナでも食べようかと袋を取り出して驚いた。
一緒に入れてきた半熟卵が潰れ、黄身が飛び出しグジャグジャになっている。
バナナもゼリーも黄身でオレンジ色に染まり、ベトベトだ。
「どうして?」 アッ!と思い当たった。
出発直後に転んだ時、ザックがクッションになってくれたお陰で何所も痛めたりしなかったが、その時の衝撃で卵は木っ端みじんと化していたのである。

仕方ないとそれでも諦めず、黄身で手をベトベトにしながら食べてしまったのでした。

恵庭岳恵庭岳(右)から無井根山の山並

 

ルンルン!

暖かな日溜まりで小1時間もゆっくり過し、下山する事に。
正面には恵庭岳から札幌岳、無井根山などがズラリと並んでで迎えてくれているようだ。

気持ち良く下る下山

緩やかな下り斜面はスキーだったら極め付き気持ち良い初心者用スロープだ。
羊蹄山が、また来いよと見送ってくれている。

下山羊蹄山に見送られ

右前方には徳舜瞥山とホロホロ山が並び立っている。
2月に訪れた時は地吹雪で凄まじい目に遭ったけど、その時とはまるで違う上機嫌の表情だ。

ホロホロ山(左)と徳舜瞥山ホロホロ山

あっという間に尾根を下り、農免道路へと降りてきた。
朝方は締まり雪でつぼ足で歩いてきたけれど、昼近くになりつぼ足ではズボズボ埋まってしまう。
柳の芽が白銀色に膨らんだ、春の気配が漂う道路を、のんびりと登山口へ引き返した。

林道登山口へ

 

エピローグ

「竹山」、山仲間達から「なかなか楽しいよ」と聞いていたけれど、これほど満足する山だとは思ってもいなかった。
天候、雪質、眺望、全てに恵まれたせいもあるが、開放的で気持ち良く適度な斜度で歩き易い。
厳しく困難な山も素晴らしいが、竹山のような心が優しくなるような山も良いものだ。
多くの人が楽しめる、手頃な山だと思う。

ただ、天候や視界の悪い時には広大な大雪原を歩くだけに注意が必要だ。
甘く見ず、しっかりした準備をして楽しんで頂きたい。

 

 

 

・ 竹山の彼方を雲は流れ行き陽春の丘にただ二人なり

 

・ 雪裂きて流れ始めし谷川に天を仰ぎてネコヤナギ咲く

 

 

 

 

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