トドワラ、裏摩周、神の子池、標津岳

養老牛温泉、和琴半島、阿寒湖など


 

阿寒湖滝口
雄阿寒岳登山口近くの紅葉

 

旅の概要

2012.10.24(水)〜10.27(土)に出かけた、4日間の道東の山旅。
予定通り山を歩けたのは10/25の西別岳と摩周岳、そして10/27の雌阿寒岳であった。

10/24は曇り時々雨で標津山地は姿を見せず、仕方なく野付半島までドライブしてトドワラを見に行った

10/26は曇天の中、標津岳を訪れたが登り始めてすぐ雨になり、回復も期待できなさそうなことから5合目で引き返した。
養老牛温泉周辺を散策してから藻琴山なら登れるかもと向かったがやはり雨で、屈斜路湖の和琴半島の紅葉を見、次いで阿寒湖の紅葉を見て回った。

10/27の雌阿寒岳登山後には、厚岸や釧路で牡蠣など美味しい物を食べ夕日を眺めて旅を終えるつもりだったが天気は悪化の予報。
急遽、今回の旅はそこで終了と相成った。

山歩きに関しては夫々のページを見て頂くことにして、ここではそれらの合間に見聞きしたことについてご紹介したいと思う。
写真中心となりますが、御覧ください。

 

トドワラ

海に向かって鳥のクチバシのような細い半島が突き出ている野付半島。
ここの名物がトドマツが枯れ白骨化したようなトドワラと、ミズナラが立ち枯れたナラワラである。

半島に入ると間もなく、白く立ち枯れた木々が突っ立っているのが目に入ってきた。
干潮時なのか、海底が露出している。
林全体が立ち枯れているわけではなく、海水に面した部分が立ち枯れているようだ。
さらに地盤沈下して海水に浸かれば、全体が枯れてしまうのだろう。
それは、あまり見たくない光景ではある。

ナラワラ
ナラワラ 海水に浸かったミズナラなどが立ち枯れている

ナナワラを過ぎしばらく行くと、環境省のビジターセンターが建っていて野付半島の自然に関する展示・説明を見ることが出来る。
トドワラへはビジターセンターから歩いて見て回る。
強風と小雨の中何人かの人達が歩いている。私達も雨衣を着け、設置された木道を歩く。

オオハクチョウなどの渡り鳥が結構な数、羽を休めている。
ちょうど近くを一群が通りかかったのでシャッターを押してみた。

白鳥
家族だろうか? 強風に逆らって苦労しながら飛んでいた

「コォ〜」と言う独特の鳴き声を交わしながら、強い逆風に逆らって飛んでいる。
思わず、頑張れ!と声援を送りたくなる。
こういう光景に出会うと三脚や望遠レンズを持ってくれば良かったな〜と思うんだけど、私には写真家のような根性はないしダメだろうな。

白鳥

 

白鳥の他にも黒っぽい大きな鳥が飛んでいるのを見かけた、近くを飛んでいるカラスの2〜3倍の大きさ、オジロワシかと思ったがよく分からない。
トンビや鷹の飛び方とは少し違う気が・・・、何という鳥か気になった。

20分ほど木道を歩くと目的のトドワラのある場所へ。
サンゴ草と共にトドワラが白い骸を晒して横たわっていた。
本来は海の満ち干きで海水に浸ったりするのだろうが、この時は引き潮で砂地の上にあった。

トドワラ
引き潮なのか、砂の上にトドワラが白い骸となり横たわっている

腐ったり海水に侵食されたりして、木の硬い部分のみが残っているのであるがいずれは消失してしまうのだろう。
木の墓場でもあるトドワラの景観を眺めていると地球環境の変化、特に近年の温暖化が生物に与える影響の大きさを考えざるを得ない。
まあ、環境の変化に応じて進化していくのが生物の強さでもあるのだが・・・。

トドワラ
風化し白骨化したトドワラ

野付半島でのトドワラ見物を終え、ドライブしていると雲は多めながら雨は止み日も零れてきた。
昨秋訪れた武佐岳の麓にある開陽台に行ってみることに。

開陽台からは近くの広大な放牧場の景観が目を引いた。
何百頭という牛の群れが三々五々散らばって草を食んでいる。
まさに牧歌的な、のどかな広々とした光景である。

放牧
広大な放牧場に点々と牛が群れている 

展望台から武佐岳に目をやると、雲の日陰が山に陰影を付けカラマツの紅葉と相まってなかなか美しい。
武佐岳登山の思い出話をしながらしばらく佇んだ。

武佐岳
武佐岳とカラ松林の紅葉 まさに色模様である

 

裏摩周・神の子池

10/25(木)西別岳と摩周岳から下山し、裏摩周を回って弟子屈へ戻った。
「裏摩周展望台」と「神の子池」に立ち寄るためである。

裏摩周展望台からは摩周岳がすぐ近くに見え、カムイシュ島も見ることが出来る。
摩周湖第1展望台からカムイシュ島と挟んで丁度反対側になる。

カムイシュ島
裏摩周展望台から光り輝く湖面とカムイシュ島

目の前には摩周岳が聳えているが、逆光で沈んで見えるためか威圧感は無い。
紅葉の明るい色が隠されているのは少し残念だ。
ここを訪れるのは光線の状態が良い朝と夕方が良いのかもしれない。

摩周岳
湖面に浮かぶ、摩周岳

裏摩周から北に約5Kmほどの所に「神の子池」がある。
神の山であるカムイヌプリのある湖、摩周湖からの伏流水が湧き出している池、というので「神の子」なのだという。

真偽の程は分からないが、周囲200mほどの小さな池で、確かに青く透き通った水は神秘的。
水温が低いためか湖底に沈んだ木々が腐らずにそのままの姿で横たわっているのがよく見え感動ものだ。
同様の光景はオンネトーでも見られるが、遥かに透明度は高いように感じられた。
池の雰囲気は青森白神の十三湖にある青池に似ていると思った。

神の子池
池に沈んだ木がはっきりと見える青く透き通った水

ちょっぴり感動して池を眺めていると、動くものが目の端を横切る。
魚である、説明看板を見ると「オショロコマ」だそうだ。
然別湖など綺麗な湖水に住む幻の魚、お腹の赤い斑点は見えなかったけど単純にオショロコマだと信じることにした。

神の子池
神の子池

 

標津岳・養老牛温泉

10/26(金)はどんよりした曇り空、天気予報では釧路地方は晴れ、オホーツク方面は曇り時々雨だった。
どうやら標津山地はオホーツク海側気象に左右されるようだ。

晴れるかもしれないと朝、標津岳登山口へ。
そこには立派な小屋がある、なんとトイレなのだ、しかも簡易水洗トイレ。
屋根に大きな水槽と太陽電池が備え付けられている。
洒落た表示などもあり、作られた方々のお気持ちが伝わってくるようだ。

トイレ
トイレには洒落た表示が

だが今は修理中で水は出ないようだ。
見に行ったカミさんが入ったと思ったらすぐに飛び出してきた、水が流れないのに使われた結果ブツがてんこ盛りになっていてとても使えない状態という。
せっかくの素晴らしい施設が心ない使用者によって台無しにされるのは悲しいことだ。

登山する人に悪い人はいない。そう思いたい、でもそんな事はないのである。
「出物腫れ物、所嫌わず」という、切羽詰まった時は仕方ないこともある。
それでも後始末は出来るはず、それを敢えて知らん顔、すまして善人顔をする奴が許せない。
四国歩き遍路をした時も、遍路道やお寺の境内で放置された排泄物を見て何がお遍路だと怒ったことを思い出した。

一縷の望みを持って訪れた標津岳、3合目付近から雨が降り出し黒い雲が山全体を覆い、雨も強くなってきた。
残念だけど諦めようと5合目で引き返した。

下山後、養老牛温泉付近を少し散策。
ちょうど紅葉の時期、観賞用に餓えられたもみじ、自然の木々、それらの紅葉が入り交じってとても美しかった。

紅葉

風で飛ばされた落葉が重なり合っている。
落葉に埋もれた散策道もなかなかの風情、しっとりした雰囲気が漂っている。

落葉
落ち葉の道

燃え立つもみじの赤は素晴らしいが、それだけだとしつこく飽きる。
岳樺や桂の黄と松などの緑があっての美しさだ。

紅葉

落葉をアップで撮影してみた。
雨に濡れた一枚一枚にも表情があり、そんな表情を探して歩くのも面白い。

落葉
もみじの落葉

 

和琴半島・阿寒湖

10/26の午後は、晴れてくるかもしれないから藻琴山はどうだろう? と藻琴山登山口へ車を走らせた。
登山口の一つであるハイランドは残念ながら雲の中、雨も強い。
しばらく車中で待ったがすぐの回復は望めそうにないので藻琴山も諦めた。

麓の紅葉が綺麗なので屈斜路湖の湖岸沿いにドライブ。
道の並木の紅葉がまさに今が盛り、ほんとうに美しい。

和琴半島
和琴半島も紅葉が盛りで美しかった

雨とはいえ、さすが観光地。訪れている人も多い。
幸い、雨は上がり時々陽も差すようになってきた。
陽射しを受けると紅葉も一段と光り輝き美しさを増す。

和琴半島の紅葉を楽しみ、車中から沿道の紅葉を鑑賞しながら阿寒湖へとドライブ。
カミさんを雄阿寒岳の登山口でもある滝口に案内する。
そこも紅葉も真っ只中だった。

滝口
阿寒湖滝口付近の紅葉

そして登山口の近くにある太郎池まで散策する。
小さな船着場付近も紅葉が美しく、観光船がわざわざ入ってくるほどだ。

阿寒湖

阿寒湖から流れ出る水量は多く、勢いも強い。
水の流れと紅葉を期待したが、岩の上には枯れた葉しか乗っていなかった。

流れ
赤いもみじの葉を乗せたんじゃ、違反でしょ?

次いで、阿寒湖温泉へ。
温泉街のはずれから湖畔に出て、しばし散策。
釣り人の姿が紅葉した木とマッチして一幅の絵のようだ。


釣り人
湖畔の黄葉

すっかり空は晴れ上がり、明日への期待が高まる。
雄阿寒岳が雨上がりの澄んだ空気の中、キリリとした姿を見せていた。
来年はカミさんを雄阿寒岳に連れてくるかな? ちょっぴりキツイぞ。

雄阿寒岳
雄阿寒岳とカミさん

 

という訳で2012年の道東の山旅は終わりを告げた。

道東の山はたおやかで優しく私の住む支笏湖周辺の山とは少し違う雰囲気を持っていて、私は好きだ。
そして地元の山を愛おしく思い親しんでいる人が多く、山の整備をして下さる人達も多い。
お陰で私達が何時訪れても気持よく歩くことが出来る。
道東の山を歩く度に強く感じることで感謝である。本当に有難うございます。

山だけではなく、うねる地形、真っ直ぐな道路、点在する湖、数多くの温泉と私達を惹きつける所が多い。

遠いので度々という訳にはいかないが、年に一度ぐらいは訪れ遊ばせてもらいたい場所になってしまった。
時々訪れますので、道東の皆さん、よろしくお願いしますね。

 

 

オジロワシ歌壇

・秋天に真綿のような白い雲
        知床連山国後も包む

・遠近に草食む牛のあまた見ゆ
        しあわせ色の景色にとけて

・甘き香で誰を待つのか分け入れば
        桂黄葉のさやぎていたり


 

 

 

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