駒ケ岳・剣ヶ峰 左は円山
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・駒ケ岳
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この日、私達は砂原の道の駅で目覚めた。
駒ケ岳を南北2ルートから登ってみようと思ったのだ。空は快晴に近い、一筋の帯状の雲が朝日を受けて美しく輝き、今日の山行を祝福してくれているかのようだ。
朝日に輝く一条の雲
駒ケ岳も朝日を受けて東側を赤く染めながら凛々しく聳えている。
お天気は上々、登山日和に胸躍る気持ちだ。
朝の駒ケ岳
まず砂原岳の登山口である「望洋の森」へ向かう。
道の駅から僅か15分ほどだ。登山口へ着き準備を整え歩き出そうとして「アッ!」と驚いた。
何と「入山禁止」の看板が立っているではないか!山頂部が立ち入り規制されているのは知っていたが、今年に入って何件も砂原岳登山のレポートを見ていたのにどうなっているのか?
「望洋の森」登山口 左に入山禁止の立て看板が・・・
間違いかもしれないと、登山道まで行ってみる。
しかし、登山道入り口にはもっと大きな立て看板が道を塞ぐように立てられている。悪夢を見ているような気持、だけど逆立ちしたってダメなものはダメなのだ。
諦めて南側の駒ケ岳を訪れようと、すごすご引き返した。
駒ケ岳の登山口は6合目にあり、車で行くことが出来る。
樽前山の7合目ヒュッテが登山口なのと同じ感覚だ。途中にある別荘分譲地までは舗装だが、その後は未舗装。
登山口近くになると雨裂で道は荒れ始め、普通乗用車では厳しい道となる。
私達が下山してきた時、一台のレンタカーがフェンダーや下回りを激しく擦り、タイヤを空転させながら登ってきた。
とても自分の車ではチャレンジする気になれないと思う。登山口はトイレや休憩所があり、車も15台位は停められる。
登山道は細かい火山礫のザラザラ道で歩きにくく、おまけに雨裂が入り本来の道の外側に立派な踏み跡の道ができている。
屹立する鋭い剣ヶ峰が凛々しく格好良く、見とれてしまう。
右側に見える円山の頂上に標識のようなものが朝日を受けて光っている。
朝日を受けて屹立する剣ヶ峰
植林された若いカラマツの林には、キノコが沢山。
そしてシラタマノキの実が白い花の群落のようだ。振り返れば、大沼の眺めが素晴らしい。
その対岸には横津岳が伸びやかな姿を見せている。
横津岳と大沼
歩き始めて小1時間、馬の背に着いた。
まだ汗もかいていないが登山道からは見えなかった砂原岳が姿を現し、駒ケ岳の全容に触れることが出来る。
活火山らしく荒涼として迫力ある駒ケ岳山頂部だ。
馬の背から剣が峰と砂原岳(右)
荷物を下ろし、一休み。
近くで見る剣ヶ峰は堂々としていて迫力満点、素晴らしい。
登ってみたい誘惑に駆られる。
迫力満点の剣ヶ峰
一方の雄、砂原岳もドッシリとした存在感を見せている。
馬の背から火口を挟んで、砂原岳
一休みして円山に向かおうとすると、ロープが張ってあり「立入禁止」。
それでは隅田盛へと思うと、こちらも立入禁止。「あら〜、馬の背までしか入れないのか!」
円山や隅田盛には行けるという情報を信じていたが、間違いだった。
仕方ない、馬の背でもう少し楽しむとしよう。風が冷たく感じられ、雨着の上衣を着込む。
駒ケ岳の南には大沼や横津岳・袴腰岳などが広がり、函館市、函館山、当別丸山などが見え、更には青森の山並みが霞ながらも見えている。
大沼と横津岳、函館山と津軽海峡もよく見えた。
当別丸山の向こうには知内の山々、そして遠くには大千軒岳から白神岬へ続く山影も見えている。
函館山と函館市街、当別丸山と知内、はるか遠くに大千軒岳などが見える
お天気にも恵まれ、物凄い大展望を満喫でき嬉しい。
リンゴやゼリーが美味しいけれど、大して歩いてもいないからカロリーオーバーなのは間違いない。
「山に行くと太るのよ!」は、カミさんの口癖だ。
記念の1枚
馬の背までで若干消化不良気味だが、展望を満喫して下山に移る。
滑らないよう注意しながらも僅か30分、あっという間に登山口だ。そこからは、朝とは違う表情の剣が峰が凛々しい姿を見せていた。
時間を持て余すと、大沼で散策を楽しむことに。
蓴菜沼と小沼の間に、「日暮(ひぐらし)山」の標識を見つけ行ってみた。標高300mほどの小山だが、展望台にもなっていて見晴らしは中々のものだ。
日暮山からの大沼
大沼や横津岳はもちろん、駒ケ岳も良く見え格好良い。
日暮山から見る駒ケ岳
次いで銚子口にあるキャンプ場へ。
とてもよく整備されたキャンプ場、無料のようで長期滞在組の姿も。ここの水辺には睡蓮の花が咲いていたが、遠くてよく見ることは出来なかった。
大沼と駒ケ岳 水辺には睡蓮の花が咲いていた
キャンプ場の桟橋でぼんやり過ごしていると、元気な掛け声が聞こえてきた。
10艘近いカヌーがキャンプ場目掛けてやってくる。
小中学生のようだが、学校行事なのだろうか。
元気な掛け声とともに
のんびり日向ぼっこ
ちょっぴり消化不良気味だった初めての駒ケ岳。
火山活動が活発なのだから仕方ない。
訪れられただけでも良いとしよう。駒ケ岳は本当に何処から見ても素晴らしい姿・形をしている。
この山は登って楽しむと云うより、眺めて楽しむ山なのかも知れない。
・むらさきに駒ケ岳山容昏れゆきて
月の出待てば海が匂へり・立ち入りは拒むも蒼天の駒ケ岳
大沼公園余さず振る舞う