見事な紅葉のグラデーション
恵庭渓谷は空沼岳を源流とし、えにわ湖へ流れるラルマナイ川が創りだした小さな渓谷。
僅か1kmほどの長さであるが、その間に白扇の滝、ラルマナイの滝、三段の滝があり、そこを中心とする渓谷の紅葉が素晴らしい。恵庭市では、この地域をラルマナイ自然公園と名付け観光の目玉としてトイレや休憩施設などを整備している。
今年は9月11日に支笏湖周辺で記録的大雨が降り、国道453号線が約1ヶ月に亘って通行止めになるなどの災害でどうなることかと思ったが、何とか復旧したので出かけてみた。
恵庭市から恵庭岳公園線を約15km、えにわ湖を過ぎると急に周囲の紅葉が目立つようになる。
ミズナラなど赤茶色に染まった木々の中に鮮やかな黄色や赤・緑が点在し、例年通りの美しさだ。
紅葉は例年通りの美しさだが・・・
だが目を河原に転ずると、大雨の後遺症が至る所に見て取れる。
大きな流木が積み重なりあい、土石流なのか岩がゴロゴロ河原に転がっている。ラルマナイ公園では、いつもは降りられる河原への道に立入禁止のロープが張られていた。
元通りになるには何年もかかるかもしれない、そんな思いにかられる現場だった。
ラルマナイの滝駐車場に車を停め、カメラ片手に散策。
平日の午前中だが三々五々、紅葉見物の人達が訪れている。まずは一番下流にある三段の滝。
災害の影響で河原に降りられないので全景を見ることは出来ないけれど、黄色や赤に染まった紅葉の中を流れ落ちる水流の白が一段と引き立つ。水音も紅葉を盛り上げるご馳走である。
紅葉の中を流れ落ちる三段の滝
河原は無残で言葉も無いが、周囲の紅葉はそれを忘れさせる見事さだ。
河原は無残でも、紅葉は例年通り
光をたっぷり受けた木々は色合いを競いあい、お月様が笑ってご覧になっている。
ラルマナイ自然公園の紅葉
三段の滝の上流約300mにあるのが、ラルマナイの滝。
この滝も下に降りて河原から見たほうが私は好きだが、今年は仕方ない。遊歩道の橋からの鑑賞だ。
ラルマナイの滝と紅葉
遊歩道の橋から下の本流側。
紅葉した楓の一枝、あまりの見事さに切り撮ってみた。
赤一色に見える楓の紅葉も良く見ると、色の変化が美しい
ラルマナイの滝の上流約500mにあるのが、白扇の滝。
滝としては公園内で一番雄大で落差も大きい。この滝は谷が深く日が当たらないことが多い。
そのため温度が低いのか、滝の周りの紅葉はすでに終わりの気配。
ちと残念だが、いつもは葉で邪魔され全体をスッキリ見れないのだが、この時期はよく見える。
紅葉は終わりを迎えていた
午前10時前、あと1時間も待てば滝に日が当たるかもしれない。
そうなれば滝の表情が生き生きとするだろうと分かっているのだが、待つことが出来ない。プロやハイアマチュアのカメラマンなら平然と待つのだろうが、私はずぶのシロート。
山でもそうなのだが、良い写真を撮れそうだと分かっていても待つのは嫌なのだ。
その瞬間の出会いを大切にといえば聞こえは良いが、忍耐力がなくて辛抱出来ない性分なのである。だからか、じっと立ち続け時間の証人のような巨木を見ると、尊敬してしまう。
こんな泰然自若とした生き方に憧れるけれど、出来ない
自分としては今回異例の時間待ったつもりだったが、僅か10分が限界だった。
光が回るのを待つつもりだったが・・・
少し角度を変えて
白扇の滝
今年は紅葉の当たり年だそうだ。
恵庭渓谷もその通りで、心癒され豊かな気分に浸ることが出来た。
近くにこのような素晴らしい所があることに、感謝。
これからも大いに楽しませてもらいたいと思う。