滝野すずらん丘陵公園
滝野すずらん丘陵公園は北海道で唯一の国営公園。
目的別に幾つかのゾーンに分かれていて、私達は年に数回花や野草を見られるゾーンに訪れている。
国営だけあってしっかり手入れがなされた花園は実に素晴らしい。今回もお目当てであったヒマラヤの青いケシはもちろん、紅花ヤマボウシなどの樹の花やウスユキソウなどの山の花などを楽しむことが出来た。
ヒマラヤの青いケシ
「ヒマラヤの青いケシ」という何とも魅惑的な名前の花が知られるようになったのは何時の頃だっただろう。
ヒマラヤの山々に抱かれ、ひっそりと咲く青い花、見てみたいものだと憧れていた。
数年前ネパールのエベレスト街道を約1ヶ月間旅した時は、時期が遅くて出会うことは叶わなかった。
雨季の7月から8月に標高4500〜5000m付近に咲く花で、私が旅したのは乾季の11月だったのだ。「ヒマラヤの青いケシ」というのは俗称で、正しくは「メコノプシス」という種。
世界に約50種ほどあり、その内15種ほどが青い花を咲かせるらしい。ともあれ写真でしか見たことのなかったヒマラヤの青いケシ。
滝野すずらん丘陵公園の「花人の隠れ家」と言う所に咲いていた。
早速その姿をご紹介しよう。
ヒマラヤの青いケシ
草丈1mほど、花の大きさは直径約10cm、なるほど確かに青い花びらだ。
憧れの花と出会った喜びは大きく、嬉しさがこみ上げてくる。
ただ花の旬を少し過ぎかけたものが多かったのが少々残念だった。
咲き始めから開き切るまでの花の様子は。
咲き出して間もない花
影の部分の花びらは濃い青に見える
開きだした青いケシの花
木漏れ日を浴びて輝く花びらの繊細な縞模様も美しい
開花が進む青いケシ
葉に毛が密生していてケシらしい
開花しきった青いケシ
茎にも葉にも毛が密生しているのは、いかにもケシらしい。
綺麗なものには毒があると言うが、この花が麻薬になるのか? と思うと触るのも少し怖い。
でも本当はケシに似ている花で、麻薬成分は無いそうだ。一安心。見たがっていたカミさんも嬉しそう、話も弾む。
「ヒマラヤのどんな所に咲いていたの?」の問いかけには「見ていないんだよ」と答えるしか無いが、しばし荒涼とした氷の世界、雪と氷を纏って切立つ岩壁、轟く雪崩の音、氷河の青氷・・・などなどの思い出が頭に浮かんでは消えていく。
ヒマラヤの青いケシに囲まれて
樹の花
青いケシの花以外で樹の花数種が私の目を引いた。
その一つが紅花のヤマボウシ、一見ハナミズキによく似ている。
だけど花の柄が長いなどヤマボウシ独特の特徴があり、見分けは容易だ。
紅花ヤマボウシの樹
紅花ヤマボウシの花
見ればヤマボウシだとは分かるけれど、白のヤマボウシとは受ける印象が全く異なる。
艶やかな色気を感じさせる花である。
それからこちらも見るのは初めての紅花ニセアカシアが綺麗で驚いた。
白花は何処にでもあり珍しくも無いが、紅花はほのかな色香を漂わせ目にも美しい。
紅花ニセアカシアの花
ハチミツの花ぐらいにしか思っていなかった花だが、思わぬ色香に惑わされてしまった。
魅せられた花
花人の隠れ家から少し離れた所に山の花を集めたコーナーがあり、コマクサなど何種類かの高山植物の花が咲いていた。
その中で私の目を引いた花が、「エゾハナシノブ」
私はハナシノブに何故か心惹かれる、日高でも大雪でも出逢えばどんなに急いでいようとしばし鑑賞タイムなのである。
でも山以外で出会ったのは初めてかもしれないな。
エゾハナシノブ
そしてエーデルワイスの仲間、ウスユキソウ。
山では何度も見ているが、山以外では初めて見る。
群れ咲く様子がうまく表現できたかも・・・。
群れ咲くウスユキソウ
山の花コーナーの脇で見つけたのが、この花。
カミさんは栽培種のアルメニアの仲間では・・・というが、どうなのだろう。
確かに山では見たことのないような気がするが、気になったので写真に一枚。
純白で惹かれる花ではあった。
そして大きな花園地帯にはラベンダーの仲間たちが咲き始めていた。
間もなく大きな花園一面ラベンダーの紫一色に染まることだろう。
ラベンダー達が咲き出し始めた
良く手入れされた花園をゆっくり散策、大勢の職人さん職員さん達が広い園内に散らばり、次の花の植え付け準備や咲き終わった花殻取りをしている。
そんなご苦労が見る人達に感動を与えるのだ。感謝・感謝の一言である。その後、森林浴を楽しみ、鱒見の滝などを巡って帰路についた。
今回も滝野すずらん丘陵公園は期待通りの素晴らしさで期待を裏切ることはなかった。
素晴らしい花達に笑顔が絶えない
庭の花
滝野の広大かつ整備された庭とは比較のしようがないけれど、我が家の狭い庭にも夏の花達が次々に咲きだしている。
そのいくつかをついでにご紹介しよう。まずキスゲ、レモンイエローが清々しく清潔感漂う花だ。
キスゲ
そしてユリの仲間たち、これはクルマユリだ。
好きなヤマユリの蕾も膨らみ始めている。
クルマユリ
マツムシソウも咲き出した。
マツムシソウ
風に長い花茎を揺られながら咲く大輪のマツムシソウは優雅そのもの。
我が庭には西洋種のマツムシソウもあるが、こちらは小型で花茎も短く風に揺らぐことはない。
育て易いのかもしれないが風情が感じられなく、私は日本のマツムシソウが好きだ。
アルペンブルーも咲き出して石にへばり付きながら登っている。
この花の青も好きな色の一つである。
アルペンブルー
芍薬も大輪の花をつけている。
シャクヤクの花 (白花)
西洋オダマキは日本のオダマキとは雰囲気が大きく異る華やかさだ。
好きな方も多いようだが、あまりに凄すぎて私などは圧倒され尻込みしてしまう。
西洋オダマキ
そしてヤグルマギクも咲き出した。紫が印象に残る花である。
ヤグルマギク
庭の花たちは夏に向かって一直線。
早く種をつけ子孫を残さねばならないのだから夏の短い北海道では急がねばならない。
それは山の花も同様である。
7月には何とか山の美しい花園を見に行きたいものだ。
オジロワシ歌壇
・満開の記事に誘われ訪ねくる
滝野丘陵 緑風まぶし・はなびらに木洩れ陽のせて青いケシ
ヒマラヤの峰 偲びているや