春の妖精 その2 (Spring Ekphemeral #2)

道央  2016.4.24(日)  晴れ


 

 

ヒメイチゲ

 

春の花達がキラキラ輝く季節。

前回も記したが、春の妖精(Spring Ephemeral)と呼ばれる花は春の到来を待ちかねたように花を咲かせ、子孫を残すと早々に姿を消して初夏の花達へバトンタッチするものらしい。
だが実際は細かいことは気にもされず、春に咲く可憐な花のことを総称して春の妖精と呼んでいるのが実態だろう。

我が家や近所のお庭、近くの公園・林にもそのような花達が咲きだし、私たちの目を楽しませている。
今回はそのような花を含めて第2弾としてご紹介したいと思う。

 

庭の妖精達

我が家の庭でこの数年急速に勢力を伸ばしているのが、チヨノドクサ。
園芸種だが群生すると高山植物のような雰囲気を持つ花で、ギリシャ語で「雪の輝き」という意味なのもよく解る。

チヨノドクサ
チヨノドクサ

カミさんが友人から数株分けて頂いたものが、今では数か所で群落を作るほど勢力を伸ばした。可憐で美しいから勢いに任せ、楽しんでいる。

春の妖精の中でも比較的早い時期から花を付けるのが、プスキリア。
我が家ではフクジュソウ、クロッカスに続いて花を付けた。

プスキリア
プスキリア

 

青いラインが清楚な感じを高めている。寒さに強く北国では植えっ放しで十分育つ。
今年も咲いたね! 待っていた我が家の人気の花ランキング上位の花でもある。

プスキリア
プスキリア

 

お馴染みのカタクリ。正真正銘の春の妖精である。
今年は一株が超早咲きをして驚かされたが、他の株は例年並み。
群落で咲くカタクリも良いが、数輪づつ艶やかながらも清楚に咲く姿が好ましく感じられる。

カタクリ
カタクリ

 

クリスマスローズも園芸種で、近頃は何処のお庭にもあるポピュラーなものになった。
庭の白花は先日の寒波による雪の際、「雪ひつじ」と化して心配したが、今は元気に花を見せている。


「雪うさぎ」ならぬ「雪ひつじ」と化して心配した、クリスマスローズ

先日岩見沢の色彩館で見たクリスマスローズには、とても難しい名前が記されていた。
クリスマスローズというのは愛称なのかもしれない。
日本でも「雪起こし」という略称があるそうだから、我が家の「雪ひつじ」も当たり前の姿だったのかも・・・。

クリスマスローズ
黒百合と勘違いしそう、濃いチョコ色のクリスマスローズ

 

昨年から我が家の仲間に加わったのが、ザンギナリア。
この花は花が咲き終わると地上部は枯れて休眠するので、生粋の春の妖精。
おくるみのような葉に抱かれて咲く白い花はなんとも可愛らしく、我が家の人気絶頂の花でもある。

ザンギナリア
お包みに包まれて咲くザンキナリア

北米大陸東部の山地が原産だけあって、寒さに強く高山植物として扱うべきとの記述もある。
北海道では気楽に扱える宿根草だ。

ザンギナリア
ザンギナリア

タツタソウも春の妖精らしい美しい花。
紅色の葉と藤色の花がとても印象的。
糸巻きのような葉の形から「糸巻き草」とも呼ばれている。

タツタソウ
タツタソウ

中国北東部原産で、日露戦争の時に軍艦「竜田」の乗組員が持ち帰ったのだと言う。
なかなか風流で粋な軍人さん・船員さんが居たものだ。


タツタソウ
タツタソウ

白い産毛に包まれたオキナグサも花を咲かせている。
今年は紫の花が遅れているが、白花が元気一杯だ。

オキナグサ
産毛に包まれた優しげな表情が好きな オキナグサ。

高山植物のツクモグサに似ている、それが改良されたのかツクモグサの野性味は失われ、優しさを感じさせるオキナグサである。

 

林の中の妖精達

近くの林を歩いてみる。
ハンノキやシラカバの林の中に小さな流れと湿地があり、良い雰囲気なのだ。

林の外れの日当たりの良い場所にキタコブシの姿の良い木がある。
ちょうど花を咲かせ始めた。

キタコブシ
キタコブシ

白樺〜♪、青空〜♬、南風〜♪
こぶし咲く♪ あの丘 北国の♪ ああ〜 北国の春〜♪

名歌「北国の春」ではないが、青空をバックに白いコブシの花が映えている。

キタコブシの花は咲き始めは一斉に上を向いているが、咲くとテンデンバラバラになり、あっちゃこっちゃ勝手気ままに咲く性格、ヤンチャで自由なのだな。

 

キタコブシ
キタコブシ

一番下の枝を引っ張り下ろして、咲き出した花をアップで撮ってみる。
真っ白ではなく、淡く薄いクリーム色の肌が艶かしくぞくりとさせられる。

湿地まで入っていくと、ヒメイチゲが咲いていた。
まだ早いと思っていただけに、見られて嬉しい。
水辺に咲く水芭蕉の近くにも咲いているが、ハンノキの根元が盛り上がって水から離れた所にたくさん咲いている。

ヒメイチゲ
水辺近くで咲く、ヒメイチゲ

こんなに小さな花に惹かれるのは何故なのだろう。
小さなものに対する慈しみか? 

ヒメイチゲ
ヒメイチゲ

水辺の草地に咲いていた、ヒメイチゲ。
花は可愛く好きなのだが、写真にする構図が決まらない。
主役と脇役が判然としないからか・・・。

ヒメイチゲ
ヒメイチゲ

こちらはハンノキの根元に寄り添うように咲いていたヒメイチゲ。
背景をもっとぼかさないとハンノキの幹が汚く映ってしまう。
花も、場所によって葉の色や形が若干違うように感じられた。

 

ヒメイチゲ
ヒメイチゲとミズバショウ

草地からニョッキリ花を咲かせたミズバショウとのコラボ。
構図的にはなかなか見られないものだと思うが、これまたイマイチ。

 

湿地の岸際に痛みの少ない綺麗なミズバショウ。
思わず一枚、初々しさを狙ってみる。

ミズバショウ
ミズバショウ

 

さらに散策していると座禅草が何輪か。
ただ既に旬の時期は過ぎ、座禅草らしい雰囲気は失われている。

やっと比較的遅咲きの一輪を見つけて撮るが、手ぶれしてしまった。残念!

ザゼンソウ
ザゼンソウ

 

今年はナニワズの花を見かけなかった。
幾らでもある花なのに何故だろうと不思議に思っていたら、この林には咲いていた。

ナニワズ
ナニワズ

しっかり観察している内、なんとなく沈丁花に似た葉の付き方と花ではないかと気が付いた。

別名を「夏坊主」とも言い、それが訛ってナニワズになったとという説もある。
さらに調べてみると、古今和歌集に
「難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花」という歌があり、本来この和歌の花は梅を意味しているが、北国の人々が雪残る早春に咲く花に春到来の感激をこの和歌に重ね合わせて、この花をナニワズと呼んだと言う説もあるそうだ。

ナニワズ
沈丁花の葉の付き方、花の付き方が似ている ナニワズ

 

小さな流れの側で、エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)が咲き出しているのを見つけた。

とても綺麗な花だが、この花は雪渓から流れ落ちる清らかな清流の脇で咲いているのが似合っている。今年はぜひ山で見てみたいものだ。

エゾノリュウキンカ
エゾノリュウキンカ(ヤチブキ)

 

しばらく林内をウロウロ歩いていると、小さな白い点が所々に・・・。
よく見ると、ヒナスミレではないか。

昨年か一昨年、そう言えばこの付近で見た記憶が戻ってきた。


ヒナスミレヒナスミレ

薄い淡紅色と言うのだろうか、淡いピンクをまとった小さな花。
気が付かず、見逃してしまいそうな小さなスミレ。

ヒナスミレ
ヒナスミレ

目を凝らして付近を探すと、5つの花の群れを発見。
一目でこの花の細かな表情を観察できる。

ヒナスミレ、この日一番の春の妖精であったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

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