七条大滝

道央   2017.1.17(火)   晴れ


 

七条大滝

 

プロローグ

道央地方は年末から穏やかな日が続き、のんびりした清々しい気持ちでお正月を過ごした方が多かったのではなかろうか?
私達夫婦も清々しく迎えた新たなこの年を、健康第一決して無理せず穏やかに過ごしていきたいと念じた。
山や自然への情熱は変わらないつもりだが、体との兼ね合いを考えつつ安全第一で怪我などしないよう注意しながら楽しめたら嬉しいと思っている。

一月中旬の晴れた一日、近所の散歩ばかりでは少々物足りないと出かけることにしたが、さりとて凍ったツルツル路面を走るのはできるだけ遠慮したい。
考えた挙句、近場で比較的安全でしかも楽しめる所として候補に上がったのが、七条大滝。

気温の低い日が続き雪も少なかったから、綺麗な氷の芸術が見られるかもと期待して気温の上がるお昼前に訪れてみた。

 

氷七変化

七条大滝への林道入口付近の駐車帯に車を停め、林道を歩く。
支笏湖周辺でも雪は少なかったらしく、雪を漕ぐこともなく散策気分で歩くことができた。

きっと同じ思いで訪れた人たちだろう、数組のパーティとすれ違う。
皆さん笑顔なのを見ると、滝の凍り具合は良さそうだ。
お天気は少し雲があるのが気になるが、よく晴れた青空だ。

七条大滝の入口から滝へ向かって降りていく。
凍った急斜面、唯一注意を払い慎重になる場所だ。

大滝の全景が見え始める、ただ記憶にある七条大滝の景観とは何かが違うように感じる。
全体がくすんでいるように感じたのだ。

なぜだろう? と立ち止まってしばらく眺めていたら、雲間からの陽射しが滝を照らし出した。
途端に滝を囲む氷が輝きだし、記憶にあるいつもの七条大滝の絶景が蘇ってきた。


七条大滝全景

 

歓声を上げながら滝の全景を満喫し、滝壺が見える所へ移動する。
雲が多くなってきたらしく、しばしば陽光が遮られる。
すると途端に氷の色味と発色が薄れ、くすんだ冴えない感じになってしまう。

光によって見え方が大きく異なってくる、人工的な照明によるライトアップが多用され人気を集めているのが分かるような気がする。

大滝
七条大滝の滝と滝壺

 

冬の七条大滝は滝を取り囲む土壁に出来た氷柱の景観が見所。
冬の滝自身は主役の美しい氷柱らの影役となって目立たず、滝音だけが響いていると言って過言ではない。

慎重に川面まで降りていく。
見上げる氷柱が迫力をもって迫ってくる。
しばしば氷柱が落下するから、くれぐれも慎重にだ。すでに直径1m以上もある氷柱が何本も落下して残骸が横たわっている。
上を見上げ、足元にも注意して、安全な所に辿り着くまで滝の鑑賞はお預けだ。

氷柱
川面からの眺め

 

精緻な氷模様

土壁から滲み出た水や滴り落ちる水滴が凍りついた氷柱は、一つ一つ表情が違い、描き出される模様は極めて精緻。
それに光が当たると、氷に潜んでいた淡い青色が浮き出し輝きだしてくる。
実に美しい。

輝く氷
輝く氷柱

 

今年は雪が少ないので、氷に雪が被っていない。
そのせいもあって、いつもより氷の青さが目立つような気がする。

氷模様
自然が創り出した精緻な模様

 

このような景観を見ていると、自然のなせる技の凄さ・素晴らしさを感じざるをえない。
どんな優秀な職人さんも脱帽なのではなかろうか?

そんな素晴らしい芸術の前で、平凡な人間が記念撮影と洒落込む。

記念写真
氷柱の前で

 

うすらい (薄氷)

流れのほとりまで戻って、もう一度大滝を取り巻く美しい氷柱群をゆっくり眺める。
場所を変えたり、日が傾き光の当たる角度が変わると、表情まで変わってきて飽きない。
いつの間にか1時間以上が経過している。

氷柱群
自然の造形を存分に楽しむ

 

午後2時を過ぎて氷柱が日陰に入り始める、それに伴い氷柱の色や表情が徐々に変ってくる。
輝きが失われ始め、色の青みが強くなる。ちょうどデジカメで色温度を下げたような感じかな。
そろそろ切り上げ時のようだ。

大滝全景
日が陰りそろそろ見納め

 

小さな流れを渡り対岸へ移る。
その流れの中に「うすらい」(薄氷)が、水の流れと戯れている。
独特の模様を刻んだ薄い氷が水の流れにもてあそばれ流れに抗している姿は、儚さとか侘び寂びを感じさせる風情がある。
昔の人が「うすらい」と呼び、季語としてしばしば歌われたというのがわかるような気がする。

うすらい
うすらい (薄氷)

 

新年早々訪れた七条大滝、雪に覆われていない「氷の滝」の美しさを惜しげも無く見せてくれ、その神々しい神秘さを満喫することができた。

今年も自分たちの歩ける範囲内で、自然を堪能し味わっていきたいと改めて思った一日でした。

 

 



 


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