稀府岳 (702m)

室蘭   2017.8.31(木)   晴れ


 

稀府岳

 

 

伊達市の伊達紋別岳と室蘭市の室蘭岳(鷲別岳)に挟まれるように立つ山が、稀府岳である。
標高700mほどの低山ながらなかなか姿の良い山で、雪庇張り出す冬の山頂稜線は特に美しい。

数年前に夏道が開かれたと聞いていた、夏はどんな景観を見せてくれるのか楽しみに訪れてみた。

 

我慢!

国道37号線から稀府駅と山側を結ぶ道に入り、高速道路をくぐり200mほどで左折。
300mぐらい進んだ右側に登山口がある。

登山届けを見ると平日は数名が訪れている程度で、この日は私たちが最初の登山者だ。

準備を整え、刈り分けられた道を歩き始める。
季節は夏の終わりだがダニに備えてスパッツもしっかり着用した。
かつて住居があったことを連想させる庭木や門、廃屋の基礎、打ち捨てられた廃車などを見ながら、道は植林された針葉樹林の笹原を登っていく。

単調で薄暗く見るものも無い道を歩くのは一人では辛い。ひたすら我慢である。
幸い、今日はお目付役のカミさんと一緒。たわいない話が単調さを救ってくれる。

針葉樹林が広葉樹林に変わり始めると、周囲は明るくなり気持ちも晴れる。
「お尻愛の木」と言う笑いを誘う木も、現れた。


お知り合いの木
お尻愛の木で一休み

 

爽快!

広葉樹林を少し登ると、樹林が切れ笹原の稜線に飛び出す。
青空と笹原、そして風が吹き通る稜線、誠に気持ちが良い。

稜線
笹の稜線 見えるピークは前稀府岳

 

冬に開けた雪原を登った記憶がある、多分この稜線だったのだろう。
冬は、夏道の少し左側の小さな谷筋から登り尾根に取り付いて、この付近で夏道に合流したように思う。

稀府岳の山頂はまだ見えない、室蘭岳が右手にどっしりした姿を見せている。

室蘭岳
室蘭岳 (鷲別岳)

 

振り返ると室蘭の街並みと海が見え、清々しい。

室蘭
室蘭の半島と海が見えていた

 

笹の稜線には数少ないけれど、アザミやヤナギタンポポ、背の低い萩などが咲いていて目を楽しませてくれる。

少し登ると岩が幾つか出てくる、その都度足を止め景観を楽しむ。
有珠山や昭和新山、伊達市の市街地などもよく見えている。

有珠山
登る左手に、有珠山が

 

道南の駒ケ岳もなんとか見えている。
日高などの山また山の景観も素晴らしいけれど、海と山が織りなす景観も良いものだ。

駒ケ岳
駒ケ岳

 

少し登ると、「ガマ岩展望台」の標識。
伊達市をバックに、こちらを向いて座っている姿に見えなくも無い。
道を開いてくださった人たちの優しさが伝わってくるようだ。

ガマ岩
ガマ岩

 

気持ち良く歩いていると、稀府岳の山頂が見え出した。
待ってました、真打登場! の趣である。

山頂
稀府岳山頂 (左奥)  前稀府岳から

 

降参!

稀府岳山頂に到着。
膝の調子が思わしく無く庇いながらの私でも、1時間40分の楽々登山。

低山ながら、気持ちの良い稜線、素晴らしい景観を十分楽しめる。
カミさんも、こんなに良い山だったかしらとご機嫌だ。

ゆっくり休憩する前に、一回り写真を撮る。

まずは室蘭岳

室蘭岳
室蘭岳

風力発電の風車が十数台も立ち並んでいる、山の景観も時代と共に変わっていくのだな。

 

次いで、北東方向のオロフレ山と徳舜瞥山・ホロホロ山

オロフレ山
右にオロフレ山から来馬山、中央奥に徳舜瞥山とホロホロ山

 

そして肝心の稀府岳の山頂だ

稀府岳 山頂
稀府岳山頂と海

 

北西から西にかけては樹林に阻まれて、残念ながら視界は効かない。

ゆっくり休みながらお昼にしようと思って、座り込み食べ物をザックから出していると、急に周りが煩くなり、目がチカチカし出した。
虫の大群、湧き出したように私たちの周りを飛び回っている。
刺したりしないが、体に纏わりつくは、目や口に飛び込んでくるは、食べ物に集るはで、とても居た堪れない。

虫除け剤程度では、如何ともしがたい。
「降参!」 前稀府岳付近の風が吹き通る所まで、撤退だ。

風の吹き通る稜線まで戻り、ゆっくり昼食。
最近のお気に入り、ドライフツーツ入り堅焼きパンにトマトなどの野菜のドレッシング和え。
景観を眺めながら、たわいの無い世間話、風が涼しくなんとも天国だ。

 

悲鳴!

虫の襲来を避け、柔らかい日差しと軽やかな風を受け、伊達や室蘭の景観を愛でながらの昼食を楽しんでから、のんびり写真を撮りながら下山しようと立ち上がる。

伊達市
伊達の市街地

 

カミさんのズボンにふと目が行く、小さな赤茶色の斑点。
「ちょっと待って、動かないで!」

間違いない。活動期の艶やかな赤黒さは枯葉色に変化しているが、間違いなくダニである。
ズボンから剥ぎ取り、爪の上で押し潰す。
やはりこの山にも居るんだ。
登山道に鹿の足跡がかなり見られた。「鹿あるところに、ダニあり」なのだ。

急遽、カミさんと入念な相互点検だ。
私のシャツにも一匹発見。

室蘭岳
室蘭岳

 

愛でる!

気を取り直し、室蘭岳に見送られて下山に移る。
山肌を走る送電線の保守点検道がやけに立派、山頂に至る道では無いがこの付近の山地を巡る山旅として楽しめそうな雰囲気だ。

点々と咲く花々を愛でつつ、のんびり下山。
ツリガネニンジンの均整のとれた姿と青紫の花が美しく愛おしい。

 

ツリガネニンジン
ツリガネニンジン
 

 


 
ツリガネニンジン
ツリガネニンジン

 

 

ヨツバヒヨドリも群れを作って咲いている。

ヨツバヒヨドリ
ヨツバヒヨドリ

 

 

ヤナギタンポポの鮮やかな黄色が目立つ。
長い茎を風に任せて揺れている風情は実に可愛い。

ヤナギタンポポ
ヤナギタンポポ
 

 


 
ヤナギタンポポ
ヤナギタンポポ

 

 

黄緑のハナイカリが控えめに咲いている。
確かに錨を思わせる形である。

ハナイカリ
ハナイカリ

 

感謝!

稀府岳の気持ち良い笹原の稜線を下り、樹林帯が近づいてきた。
もう一度南から南西に広がる景観を見納めだ。

有珠山、昭和新山、洞爺湖が描く平和で穏やかな景観。
昆布岳やニセコの山々も霞ながら見えている。

有珠山
有珠山と昭和新山 

 

室蘭の測量山や地球岬、白鳥大橋、工業地帯、市街地なども独特の景観だ。
噴火湾を挟んで、道南の山々もかろうじて見えている。

室蘭
室蘭と噴火湾、そして道南の山々

 

この日稀府岳は私たちの貸切かと思っていたら、単独の女性と出会った。
挨拶がてら立ち話、伊達の方で稀府岳の夏道保守をされていると言う。
この日も笹の伸び具合を点検に来たのだそうだ。

故郷の自然を愛するこのような方達のおかげで、私たちは山歩きを楽しむことができる。
心からの感謝を申し上げると、笑顔と弾むような足音を残して立ち去られた。
感謝、感謝! である。

 

久しぶりに訪れた稀府岳、夏道は初めてであったが十分楽しめた。
どんなにゆっくり歩いても、4・5時間もあれば堪能できる。
足腰に多少不安があっても大丈夫。
家族や友人と歩いても良い、皆様も一度歩いてみては如何でしょうか?

下山後、登山口でもう一度ダニのC’K。
首に巻いていたタオルに一匹発見。さらに帰宅後入浴時に胸に噛み付かれているのを発見。
ダニ取り器で綺麗に除去できたが、三日経っても赤く腫れ痒くて仕方ない。

ダニのC'Kはお忘れなく。

 

 

 

 


 

 

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