気温の変動が大きかった2018年の5月も下旬となり、やっと気候も安定してきたようだ。
GW前に24℃にもなり夏の暑さが思いやられたのも束の間、その後は10℃に届かない寒い日が続いて朝晩はストーブを焚く始末だったのだ。
5/21(月)は目覚めると思いの外良い天気。
膝の回復を願って冬の間は山歩きを自粛していたのだが結果は思わしくない。思わしくないから歩かないのでは、何時まで経っても回復しない。
登れるかどうか覚束ないが、気持ちの良い新緑に浸るだけでも良いと支笏湖の紋別岳を訪れてみた。
春・真っ盛り
平日ということもあり今日の紋別岳は私たちだけ、と思いつつ登山口に着いて驚いた。
10台近くの車が停まっているではないか、 紋別岳ってこんなに人気の山だったの?ともあれ、のんびり舗装道路を歩き出す。時間は午前9時。
紋別岳の前半は見晴らしの少ない樹林の道、新緑や鳥の声に癒され、花を探しながら意識してゆっくり歩く。種類は少ないものの、咲いている花は結構ある。
スミレ、ニシキゴロモ、シラネアオイ、遅咲きの桜、オオカメノキなどなど、花たちを眺めながらのんびり歩けば疲れも感じない。今の時期、登山道全体を通じて最も多いのはスミレの仲間たち。
オオバキスミレの鮮やかな黄色は前半、タチツボスミレの淡い紫から濃い紫は全山通じて、斑入りスミレの赤紫色は上部に多かった。
色の変化も多い、タチツボスミレ
斑入りの葉が目立つ、フイリスミレ
目立たない花だけど、登山道わきにシソ科のニシキゴロモが点々と花をつけている。
目立たないクルマバソウやハコベ、フスマなどの花たちも、じっくり観察すれば思いのほかの美しさや可愛らしさを見つけることができるように感じる。
目立たないけれどかわいい、ニシキゴロモ
咲き始めのシラネアオイが全山通じてポツンポツンと咲いている。
紋別岳のシラネアオイは群生するほど多くはない、でも麓から山頂まで通して花を咲かせて登山者を励ましてくれる。
残念なのは年々少なくなっている印象なのだ、清楚な花だけに大事に見守りたい。
優しい色合いの、シラネアオイ
外来種のセイヨウタンポポが他を圧倒する勢いで増えている。
早めに駆除しないと、登山道一面が覆われてしまうかもしれない。
一人一本運動などを、始められないものかな?タンポポの仲間であるセンボンヤリは、時期が早くまだ咲いていなかった。
樹木の花で目立つのは桜とオオカメノキ。
桜はさすがに遅咲きでも散り際で、桜吹雪となって道を覆っている。
オオカメノキの花は、まさに旬で大きな綺麗な花を咲かせている。
オオカメノキの花
やがて樹林の間から支笏湖や樽前山などが、かい間見えるようになってきた。
湖面に映る山影も春らしい優しい印象で癒される思いがする。
春らしい優しさを感じさせる、樽前山と風不死岳
山裾に広がる樹林帯の、ほのぼのとした新緑のグラデーションも春の装いだ。
「綺麗だね〜!」思わず足を止めて見入ってしまうほどである。
山裾に広がる、新緑のグラデーション
支笏湖を囲む、大景観
登山道が標高600mを過ぎると、支笏湖とそれを取り巻く景観が目に入ってくる。
何度見ても、その素晴らしさに心癒される大景観である。
支笏湖と樽前山・風不死岳 水鏡も美しい
風不死岳のさらに右手には、徳舜瞥山とホロホロ山、白老三山の姿も見えている。
支笏湖を挟んだ南西には、ホロホロ山や白老三山の姿が
木々が作る額縁が、支笏湖と取り巻く山々の表情を刻々と描き出し飽きることもない。
しばらく行くと恵庭岳も姿を現し、支笏湖を取り巻く山々が揃い踏み。
恵庭岳、左に丹鳴山 右に漁岳
山頂直下で登山道は、山体をグルリ一周しながら登っていく。
北側は6月中旬まで雪が残る場所、今回も道路の大半が雪に覆われていて久しぶりの雪の感覚を楽しんだ。
道に残る雪の感覚を味わいながら
三々五々下山してくる人たちとすれ違う、皆さん展望を堪能し満足げな表情をされている。
中にはマウンテンバイクの方もおられた。そして誰も居ない、山頂へ。
巨大な通信アンテナが立つ紋別岳山頂は味気なさが漂うが、ぐるり360度の景観に気持ちは晴れ晴れ。何と言っても、樽前山と風不死岳が支笏湖と織りなす景観は随一だろう。
樽前山
風不死岳
樽前山 山頂にて
時間は10:30、景観を楽しみ写真を撮って日陰で大休憩。
持参のパンやドライフルーツ、コーヒーなどでお腹を満たし、5月の紋別岳を存分に味わい尽くす。約1時間後、10人ほどの人たちが到着。
中には私たちと同年輩の方や外国人ご夫婦の姿もあり、皆さん嬉しそう。
入れ替わりに、私たちは下山。下山する私たちを恵庭岳が「また来いよ」と見送ってくれていた。
恵庭岳
今年初めての登山であった、紋別岳。
久しぶりに気持ちの良い汗をかけたし、景観や花も楽しめた。山頂に立つことを目的にするのではなく、山の空気を味わい心身を癒すことを目的に体力に合った山々を訪れて楽しんでいこうと話し合った。