2018.6.15(金)7合目ヒュッテ 0715風不死岳分岐 0810西山分岐 0845西山 0930樽前神社奥宮 1000東山 10307合目ヒュッテ 1100歳と共に、適応力や感受性と言う能力は衰えていくもののようだ。
何故かと言うと、毎年のように天候が殊の外不順だと感じるのは適応力などが低下したせいなのではと思うのだ。
今年は五月下旬には夏日近くなるほど気温が高くなり衣類を夏バージョンに変更した、ところが六月に入ると一転して気温は2ヶ月も前に逆戻り。
数日はジッと辛抱していたが、耐えきれず片付けた冬物を引っ張り出し、朝晩はおろか日中でもストーブを焚く始末。
この状態が六月中旬を過ぎても続いている。
私たちは寒さに震えるだけなのだが、農家の方々はさぞ作物の生育具合にハラハラされていることだろう。
6/15(金)、目覚めると久しぶりの澄み切った快晴。
気温は相変わらず低いものの、たいそう気持ちが良い。
そこで近くの樽前山を訪れてみることに。
実は6/9(土)にも訪れたのだが、土曜日だというのをすっかり忘れていて駐車場は朝から満車。
あえなく諦め、退散していたのだった。
花は遅れ気味
0630に樽前山7合目駐車場に着き、準備を整え早速歩き出す。
予定ルートは、ヒュッテ〜樽前ガーデン〜風不死岳分岐〜932m峰〜西山分岐〜西山〜樽前神社奥宮〜東峰〜ヒュッテである。歩き出す樹林帯にはマイズルソウが群生。白い花が薄暗い樹林で映えている。
樹林帯を過ぎれば支笏湖を見ながらの快適なお花畑の散歩道。
例年なら六月中旬であればイソツツジやマルバシモツケが満開なのに、今年はイソツツジが咲き始めでマルバシモツケの蕾は硬いまま。
やはり気温の関係で花の咲きだしが遅れているようだ。
イソツツジが咲く樽前ガーデン
丹念に花々を眺めながら進んでいく。
地形なのか風の具合なのか、花が満開状態の所も所々あり楽しめる。マルバシモツケが満開の窪地を見つけ、ご挨拶。
マルバシモツケ
薄いピンクをまとったシモツケも可愛いが、純白のイソツツジも負けずに存在感を見せつけている。
どちらも初夏の樽前山を飾る花たちだ。
イソツツジ
風不死岳分岐へ続く石尾根、そろそろタルマイソウが姿を見せる筈。
探すが蕾はまだ硬いままで草丈も小さい、花を付けるまで2週間近く掛かるのでは・・・。その代わり例年なら今頃は終わっている筈のイワヒゲがまだ見られた。
さすがに盛りは過ぎているものの、まだ十分に鑑賞に耐えられる花たちだ。
崖に咲くイワヒゲ崖にしがみ付くように咲くイワヒゲの可憐な白い花。なんとも可愛らしい。
すでに咲き終わったコメバツガザクラの赤い花柄がイワヒゲの白に混在している。
登山道脇に咲く、イワヒゲ登山道の脇や点在する岩にもイワヒゲの白い花がびっしり。
まさに記憶にある、五月中旬から下旬の光景である。
風不死岳への分岐付近で一息入れて、外輪山の西山方向のにのんびり登っていく。
樽前山の姿が大きくなり、932m峰の左に羊蹄山が見え始めた。
932m峰、右に風不死岳、左に羊蹄山と尻別岳
景観はこれまでのお花畑から一転、雄大な山岳風景に変わっていく。
伸びやかな稜線、見下ろす支笏湖、取り巻く山々などが織り成す大景観が視界一杯に広がる。
ブルーに輝く支笏湖と紋別岳
雨後の晴天とあって、視界はすこぶる良好。
日高山脈方向に低い雲があるものの、周辺の山々のほとんどを視認できる素晴らしさだ。
左から来馬山・オロオフレ山、中央にホロホロ山・徳舜瞥山、右端は白老三山
溶岩ドーム
東山への道を左に分け、西山へ外輪山の稜線を軽快に歩く。
なんとも気持ちの良い散歩道、ハミングでも出てきそうな気分でもある。岩陰の陽だまりに、タルマイソウが一株咲いているのを見つけた。
さして珍しくもなく、モデル顔の花でもなかったが、今季初お目見えと言う事で・・・
タルマイソウ(イワブクロ)
歩く稜線の右手には、羊蹄山の姿がくっきり。
さすが蝦夷富士と呼ばれるだけのことはある、凛々しい姿である。
外輪山の稜線から見る、羊蹄山
ここから真っ直ぐ降りれば「苔の洞門」とシシャモナイへ通じているが、現在は通行禁止となっている。
そして左側には真っ黒な溶岩ドームが堂々とした姿を見せている。
今回は溶岩ドームをじっくり観察しながら歩いてみようと思う。
外輪山の北西側から見た、溶岩ドーム
山体とは異なる真っ黒な色の溶岩ドーム。
遠くからはお皿の上にプリンを乗せたように見える樽前山山頂部、そのプリンに当たる盛り上がりが溶岩ドームである。
直径約450m、高さ約130mと言われるとおり、かなり大きく、溶岩のゴツゴツした姿は異様で圧倒される。西側へと回り込んで行くにつれ、噴気が凄まじく感じられ、恐ろしいほどだ。
溶岩ドームからは、噴気が凄まじい勢いで
そして南西側の西山からは、噴気孔を見ることができる。
西山から見る、溶岩ドーム
樽前山では大噴火で過去何度もこの大きな溶岩ドームが吹き飛んだり、形成されたりしていると言う。
こんな巨大なものを一瞬で吹き飛ばし、一夜で形成する火山の力というか自然のパワーには驚くばかりだ。
西山からは凄まじい様相の溶岩ドームばかりではなく、牧歌的なおおらかな景観も堪能できる。
北側にはこれまで風不死岳に遮られていた、恵庭岳がその一部を見せ始めた。
支笏湖を挟んで、恵庭岳の姿が見え始めたまた、南東には苫小牧市街地もよく見えている。
残念ながら襟裳岬や日高山脈方面は、低い雲に覆われて見ることは出来なかった。
苫小牧市街地と太平洋
西山山頂でゆっくり休憩し外輪山をさらに進むと、樽前山神社奥宮。
汚い格好をしているのだが、気持ちだけは威儀を整えお参りする。奥宮(南側)から眺めた溶岩ドームも、なかなかの迫力だ。
奥宮(南側)からの溶岩ドーム
樽前山 山頂
さらに進むとヒュッテから登ってくる登山道と合流し、東山の山頂である。
本来、樽前山の標高は1041mである。
これは溶岩ドームの標高で、東山は1022m、西山は994mなのだが、とりあえず東山山頂を樽前山山頂と標している。
東山山頂からの溶岩ドームと西山
山頂には訪れた人たちが10名ほど、皆さん嬉しそうに大景観を堪能している。
いつもは虫が煩いのだが、この日は適度に風があり虫がいないのも幸運だ。北側には羊蹄山と支笏湖の一部が見え、美しい。
雲が少々増えつつあるような印象だが、上天気に変わりはない。
溶岩ドームの右側に、羊蹄山と支笏湖の一部が。中央右手前は932m峰
山頂からの景観を存分に楽しみ、下山にかかる。
膝を痛めている私は、登りより下りが辛い。
ストックを最大限に活用しながら、慎重に降っていく。
支笏湖に向かって降りていく。
お花畑の快適なプロムナード、外輪稜線の気持ちの良い山岳景観、溶岩ドームの独特の雰囲気、樽前神社奥宮での敬虔な祈り、支笏湖へ飛び込むように降りていく道、いずれも樽前山特有の魅力だと思う。
多分そんなに遠くない将来、樽前山は、私が登る最後の山になる予感がしている山でもある。
その時は、よろしくね。