ニペソツ山(2013m) (東大雪)    2003.7.23(水)  晴れ



威風堂々のニペソツ山(前天狗から)

山岳写真などで、ドッシリとした鋭い姿を見るにつけ、何時かはと思っていたニペソツ山。

7月下旬の好天の一日、念願かなってチャレンジしてきました。



7.22(火)
千歳(自宅) 1300
糠平温泉 1800
7.23(水)
糠平温泉 0500
杉沢登山口 0545
稜線出合 0740
前天狗 0830
ニペソツ山頂 1000
ニペソツ山頂 1100
前天狗 1215
杉沢登山口 1435
糠平温泉 1530
あの雄姿をこの目でシッカリ見たいものだと、天気情報をじっくり検討しての出発です。

いつも感じるのですが、東大雪や北大雪への登山口までの遠いこと、遠いこと。行くだけで疲れてしまいます。
それだけ北海道は大きく、色々楽しめると言うことなのでしょう。

7.22(火)は、糠平温泉のキャンプ場で車中泊です。ここは水洗トイレもあり、街灯なども整備されていて、安心して泊まれるところだと思います。

7.23(水)0415起床、薄い霧と低い雲がかかっています。
晴れてくれることを信じて、朝食後0500にキャンプ場を出発。十勝三俣でニペソツ山登山口の標識に導かれ左折、すぐに入山届けのポストがあり記入しようとすると、ノートはすでに一杯。石狩岳・音更山などと共有のノートとは言えこの山の人気を示しているのでしょう。

手帳のページを切って必要事項を書き込み、ノートに挟み込みます。

杉沢の登山口まではここから約9km、未舗装の林道ですが比較的良く整備されていて走りやすく危険なところはありません。
杉沢登山口の手前500m程に駐車場があり、すでに5台ほどの車が停まっていました。準備を整え、さあ出発です。幸い、霧も晴れてきて青空も見え始めています。

登山口には大雪国立公園の説明や諸注意事項の看板と共に簡易トイレが設置されています。
沢にかけられた立派な丸木橋を渡るとすぐに尾根に取りついていきます。エゾマツやトドマツの暗い陰気な感じのする樹林帯の急な登りです。花もほとんど見当たりません、たまに出てくるギンリョウソウが暗い林の中で白く浮き上がり、ろう細工のようです。
ニペに登るための辛抱・辛抱と自分に言い聞かせつつひたすら我慢の時間でした。この間、先行の人達3グループを追い越しましたが皆さん同じ思いなのでしょう、辛そうです。


ひっそり咲くギンリョウソウ

やっと見えたのは、前天狗

単調さに耐え登っていくと、山の頂が見え始めました。前天狗です。空はすっかり晴れ渡ってきました。気持ちも晴れ晴れ、元気倍増です。
大きなロープ付きの岩を乗り越えると、木々の背がだんだん低くなってきて道も土からガレ場に変わってきます。
振り返ると、そこには石狩岳・音更山・ユニ石狩岳が谷を挟んで聳えていて、思わず休憩。周囲のガレ場にはイワブクロやチングルマが群生していてきれいです。


稜線出合付近から石狩岳・音更山

チングルマ

天狗岳・前天狗からの稜線に乗ると、小さなアップダウンはあるものの、快適なガレ場の尾根歩き。表大雪の山々や石狩連山、クマネシリ、遠く阿寒の山々などを楽しみつつ黙々と歩いて行きます。
すると、目の前に写真で何度も見ていたニペソツ山の天を衝くような雄姿がド、ドーンと・・・前天狗です。

その出現のドラマは本で読んでいて、予想していたにも関わらず圧倒的なもので、しばらく声もなく見入ってしまいました。


前天狗から

天狗岳とニペソツ山

ニペソツ山の弧峰ぶりを際立たせているのは、ここから延々と続く強烈とも言えるアップダウンです。
体力的にもですが、それより視覚的に・精神的に疲れる、見た目の高低差。
天狗岳を大きく下って、ニペソツへの最後の苦しい登り。ここをしのがなければ、あの頂は踏めないとガンバルのみです。


天狗岳からニペのコルとニペソツ山

頂上直下で切れ落ちている東側の斜面を巻くようにして北西側から詰めていきます。
着きました。山頂です。360度遮るものはありません。
今まで見えなかった十勝連峰や夕張連山、憧れの日高の山々も全山、雲から頭を出しています。

天気が良すぎて、少し霞んでいます。
見渡すかぎり、山・山・山で、北海道の大きさとか自然の豊かさを感じる思いがします。
切れ落ちている東側の崖を覗き込んでみました、高度感もさることながら崖にしがみついて咲いている花達が印象的でした。


ニペソツ山頂にて(遠くは表大雪の山々)

山頂から天狗岳・前天狗方面

次々に登ってくる人達も、やったぞ!と言う表情で皆さんニコニコして嬉しそう。写真を撮りあったり、食事を楽しみながら、会話が弾みます。
この日、入山していたのは11名。3日前にカクエク・昨日石狩岳・今日ニペソツと言う3人連れ、日高の神威岳から来たという埼玉のご夫婦、羅臼岳・斜里岳・阿寒を登ってきたと言う三重の男性、ほとんどが道外の人で、短い間に北海道の山を歩き回っている人達ばかりです。
話の内容も良く聞くと自慢話ばかりなのですが、同じ苦労をして登ってきた人達だと思うと、苦ではありません。

大展望を存分に満喫して下山です。下山と言っても、登り返しが何度もありますから新たに気合いを入れ直しての下山です。
稜線上では景色を眺めたり、可憐に咲いているイワブクロ・ウサギギク・エゾツツジなどの写真を撮ったり、岩の間をチョロチョロ走りながら顔を出すナキウサギを見つけたりで気を紛らわせられますが、樹林帯に入ってからはひたすら我慢、深く掘れて歩きにくくなっている道と体力と時間との勝負でした。


イワブクロ

チシマギキョウ

エゾツツジ

この日は晴れて暑くなると予想して、水4.5リットル持っていきました。さすがに多くて、使ったのは2.5リットルでした。多ければ良いってものじゃありませんね。でも、残り少ないという人に分けてあげ、喜ばれました。

下山後、糠平温泉に立ち寄り湯。ニペソツ山の感動と喉の誘惑に負け、気分良く飲んでしまい泊まる羽目に。
とんだ散財でしたが、ニペソツ山はそれに値するだけの素晴らしい山でした。

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