伏美岳(1792m)(日高) 2003.9.20(土)(晴れ)
伏美岳からピパイロ岳・戸蔦別岳方面 |
北日高山脈の展望台とも言われる、伏美岳。
秋晴れの一日、大展望と紅葉を期待して訪ねました。
|
9.19.金曜日、雨の一日でした。 夕食を摂りながら天気予報を見ていると、明日は晴天の予報です。頭をよぎったのが、雨上がりの晴天=大展望。 何処に行こうか、急きょ、カミさんと相談です。 すでに晩酌を嗜んでいたため、この日の移動は無理。早く寝て、早朝出発することにしました。 |
9.20(土)0315に起床して出発準備です。目覚ましが鳴る前に目が覚めるのですから、遠足の日の小学生と同じ精神状態です(誰です、そんなに若くはないだろうとは)。
早朝というのに、日勝峠方面に向かう車・特にトラックの多いこと、流通の要なのだと再認識です。
日勝峠を越えると明るくなってきた黎明の青みがかった光の中、ウペペサンケ・ニペソツ・トムラウシなどの大雪の山々と広々と広がる十勝平野、そしてその向こうには阿寒の連山が青黒く浮かんでいます。
今日は期待できそうだと気分はルンルン、目もパッチリです。
伏美岳へは芽室町から中札内方面に向かう317号線に乗ると、要所要所に電柱に取り付けられている案内看板があり、それに従って行けば迷うことはありません、所要時間は約40分程です。
途中の道路からは正面に妙敷山・伏美岳・ピパイロ岳が並んで見えていますし、北側には剣山・芽室岳も見えています。
芽室町からの妙敷山と伏美岳・ピパイロ岳 |
イタヤカエデの黄色とナナカマドの赤 |
伏美岳避難小屋を過ぎて直ぐに大きな駐車場がある登山口です。はやる気持ちを抑えながら、入山届を記入して出発です。
取り付きから結構な急勾配の道で、身体が順応できず悲鳴を上げています。周りの木々は紅葉し始めていてイタヤカエデと岳樺は黄色に、ナナカマドやオオカメノキは赤く変わっています。
5合目までは急坂が続き周りを見る余裕もありません。時折息を入れながら、やっぱり日高の山は厳しいなーと6月の神威岳を思い出しました。
5合目付近で大休止、ここからももっとすごい登りが続くのだろうと、ひたすらエネルギー補給に努めます。
フ〜、キツイ。少し、休ませて・・・ |
ナナカマドの実と岳樺 |
よく見ると、登山道の周りにシャクナゲが沢山生えています。すでに花芽も付けていて花の時期は素晴らしいだろうと思います。その他にもツツジが多く、ツバメオモトも沢山ありました。すでに姿を消している花も多いでしょう、来年の花の時期に再び訪れ、その時にはピパイロ岳まで足を伸ばしたいなどと思いました。
登山道はしっかり整備され、掘れてもいません。芽室山の会が付けてくれた登山標識が要所にありますし、ゴミも目に付きません。落ち着いた感じのしっとりとした山で、好きになりそうな感じです。
5合目からも続くだろうと思っていた急坂は、一旦緩くなり、その後もそれほどではありません。上に見えていた妙敷山が目の高さになり、やがて下に見えるようになってきます。
木々の下を覆っていた笹がハイマツに変わりだし、ナナカマドの葉は全て落ちて実の赤さだけがひときわ鮮やかです。
ハイマツの道を少し行くと頂上標識の先端が目に飛び込んできました。ヤッター!! 頂上です。
そこには、期待してきた大展望がド・ド・ド〜ンと。
幌尻岳(左)と戸蔦別岳 |
遠く、中日高の山々が |
ウォ〜!! すっげぇ〜・すっごーい。
ザックを下ろすのも忘れて見入ってしまいます。言葉を失う、とか、息をのむとはこんなときに使う言葉なのですね。
近くには、妙敷山・十勝幌尻岳・札内岳、ピパイロ岳、芽室岳と西峰、剣山が本当に指呼の間にありますし、ピパイロからつづく1967峰、北戸蔦別岳、戸蔦別岳、そして幌尻岳の山々と稜線がくっきりと横たわっています。
遠くには、中日高の山々が、そしてはるか彼方に南日高と思われる山々も、垣間見られます。
何という雄大さ、重畳と繋がる山々の個性溢れる姿、そして今、山々はその姿を黄色や赤の秋色に染めようとしています。
ずっと、ここに居たい。見ていたい。そんな思いがよぎります。
フムフム、あれはドコ? |
プロカメラマンの方に取っていただいた |
伏美岳山頂で至福の一時を過ごし・楽しんでいると、一人の男性が近づいてきました。
先日のトイレデーの時、楽古岳でHYML(北海道・山メーリングリスト)のganさんや熊岡さん達に取材し、その時勧められてHYMLに入会したという十勝毎日新聞の浅井記者でした。
HYMLの人と山で偶然一緒になったのは始めてで、一緒に山座同定したり、話をしたり、これまた愉快な時間を過ごすことが出来ました。さらに、彼はプロカメラマンを同行していたので、ちゃっかりプロに記念写真を撮ってもらいました。(もうけ!)
なんだかんだ、1時間以上も伏美岳山頂で楽しみました。いくら楽しいといっても、いつまで居る訳にもいきません。
後ろ髪を引かれる思いで、もう一度、山々を眺め渡し、浅井さんにもご挨拶して、下山です。
下山時は登りと違って、余裕をもって辺りを見ながら歩けます。
真っ赤に色づいたコケモモの葉や実を見つけたり、グニャリと曲がった岳樺の木で遊んだりしながら降りていくと、沢音が聞こえ始め、登山口にたどり着きました。
真っ赤に色づいたコケモモの葉 |
曲がりくねった巨大な岳樺 |
急きょ、思いついたように訪ねた伏美岳でしたが、訪れる人の少ない静かな雰囲気と美しい紅葉、そして何と言っても期待を上回る素晴らしい大展望。
長い間、深く印象に残る山になると思います。
帰り道、鳥に関するハプニングが。
それは、日勝峠を過ぎて日高の町へ向かっているときです。
カミさんの「アッ!!」と言う声、同時に私の視界の左端に、顔の丸い白っぽいベージュ色の鳥が飛び込んできました。高さは私の視線より僅かに高いぐらいです。
思わず、首をすくめたときに「バーン」と言う音とショック・・・。
フクロウに間違いないと思います。カミさんは薄いベージュ色の羽の周りが茶色で縁取られていて、顔もフクロウだったと言っていました。
貴重な鳥を・・・と思うと、後味の悪い思いです。ですが、直ぐにバックミラーで後ろを見ても鳥が落ちるのは確認できませんでした。カミさんも後ろを確認していましたが何も見えなかったと。
日高の道の駅で確認すると、屋根に微かに擦ったような跡があり、この程度なら無事で飛び去ったのかも知れないと一安心したのでした。
それにしては、大きな音とショックだったな〜。