小漁山(1235m) (道央)     2004.4.10(土) 晴れ



小漁山(奥正面、漁岳1000m付近から)
4.10(土)
漁川林道入り口 0655
稜線出合い 0805
P1175 0850
漁岳山頂 0935
小漁山山頂 1035
小漁沼(昼食) 1105
小漁沼 1145
オコタンペ湖 1235
オコタンペ湖展望台 1310
オコタン分岐 1345
小漁山はオコタンペ湖展望台からオコタンペ湖を挟んで正面に見えている余り目立たない山です。
隣の漁岳が冬季登山の対象として人気なのに対して、小漁山は札幌近郊では夏冬通じて最も訪れる人の少ない山の一つなのだそうです。

今回は漁川林道から漁岳に登り、小漁山、小漁沼、オコタンペ湖と廻り、オコタン分岐に帰る一周コースを歩いてみました。

漁岳までは踏み跡やトレースが至る所にありましたが、漁岳からはほとんど見られず、小漁山からは全く見当たりませんでした。
早春の静かな山旅でしたが、稜線では強風に曝され冬の厳しさも併せて味わった一日でもありました。

今回の計画したコースを歩くには8時間位必要だろうと6時前には千歳の自宅を出て、オコタン分岐へ向かいます。
天気予報では千歳は晴れですが、札幌と倶知安が午前中曇りだったのが気になりますし、風が強そうなのも心配です。

帰りに便利なオコタン分岐の駐車帯に車を停めて出発準備を整えます。少し下の漁川林道入り口にはすでに車が3台停っていて、6〜7人ほどのグループが登山準備をしていました。朝の挨拶を交わして、林道に入っていきます。

林道にはスキーのトレースや踏み跡が至る所に付いていて、漁岳の人気の程を示していますが、この日は私で二人目でした。
約30分ほど歩いて、林道から左手の緩い尾根を登っていくとオコタンペ湖からの稜線に出合います。急に展望が開け気持ちの良い稜線歩きです。
風も無く、暖かい中、汗を余りかかないペースで周囲の景色を楽しみながら徐々に高度を上げていきます。
漁岳の頂上直下の大斜面が朝日を浴びて輝いています。


P1175付近から見た漁岳

振り返ると優しそうな柔らかい支笏湖ブルーを湛えた支笏湖と手前にオコタンペ湖が恵庭岳を挟んで見えています。オコタンペ湖は真っ白な冬の佇まいを終え、薄茶色がかった色になっていて水が浮いているようにも見え、下山時湖上を渡れるだろうかと気掛かりです。

2時間40分で漁岳頂上です、3時間の予定でしたから概ね計画通りです。
次第に強くなっていた風が稜線に出ると吹き飛ばされそうになるほどの北西の風、ゆっくり休もうという気にもなれません。マウンテンパーカーを着てフードを被り、写真を撮って、小漁山へ足を進めます。


漁岳からの恵庭岳、樽前山、支笏湖とオコタンペ湖

漁岳からは風下側の雪庇に注意しつつ、広い稜線を高度差200mほど下り、100mほどを緩やかに登っていきます。風が強く冷たく、風から顔を背けるようにしながらで景色を楽しむ余裕もありません。ポケットのチョコやチーズのおやつを噛りながら風の負けないようしっかり足許を固め歩を進めました。
点在するハイマツ帯はまだ雪の中ですが、所々落とし穴のように足を取られます。
風の当たる稜線上はガリガリ氷も予想されたので、アイゼンを持ってきましたが、さすが4月でその必要はありませんでした。

小漁山からオコタンペ湖に降りる下山ルート辺りが見えています。強風の中、地図を引っ張り出ししっかり確かめ目標を確認します。


小漁山、遠くは徳舜瞥山とホロホロ山
左手にオコタンペ湖に落ちる3本の尾根、
真ん中の尾根を下りる

小漁山の手前のP1224を過ぎた所で、先行していた若い男性が戻ってくるのに出合いました。小漁山から来たルートを引き返すそうです。
私が小漁山からオコタンペ湖に降りるというと、そんなルートがあるのですかと驚いた様子。一緒に行きますか?と誘ったら、あっさり断られてしました。

1035、小漁山に到着、風も心持ち弱くなってきた感じです。


小漁山から振り返った漁岳

お天気は良いのですが、全体にやや霞んでいて、羊蹄山やニセコ連山がうっすら見えています。無意根山や余市岳には雲が掛かっていました。
夕張岳や日高山脈は残念ながら見ることは出来ません。


小漁山からの恵庭岳と支笏湖

恵庭岳の西沢がとても良く見えます、樽前山と風不死岳が重なって一体化して見え、こちらからの姿はとても新鮮に感じました。
先週、カミさんと遊んだ多峰古峰山が白老台地の出臍のように盛り上がっています。普通は見逃してしまうのでしょうが、一度登った山は印象が違ってきます。


風不死岳と樽前山

美笛の方に目を転じれば、フレ岳が独特の姿を見せていました。
フレ岳と丹鳴岳は私にとって未踏峰です。ぜひ次のシーズンには訪れて見たいと思います。


フレ岳

風は弱まってきたとは言え、とても小漁山山頂で食事をする気にはなれず、風を避けられる所まで降りることに。
直ぐ南のP1128までは緩やかな広い斜面を降りていきます。P1128を越えて小漁沼付近の窪地に来ると、風は嘘のように無くなりました。
ここで待望のお昼ご飯にします。お腹も空きました。


小漁沼付近からP1128、小漁山方向

ホッカイロで暖めていたおにぎりとラーメンが風で熱を奪われた体を芯から暖めてくれるようです。熱いコーヒーを飲み、オレンジも食べて元気回復です。

下山は小漁沼からオコタンペ湖へ延びる最も傾斜の緩い尾根を選んだのですが、それでもかなりの急斜面でしかも細尾根です。
風下の北斜面だからでしょうか雪も深いままです、スノーシューに履き替えて慎重に降りていきますが、下が受けて平らになって安全な所では尻滑りで降りてみると何とも気持ち良く、癖になりそうです。4・50メートルほどの距離を5本位滑ったと思います、振り返ると2本の筋が微妙なカーブを描いていて思わず笑ってしまいます。

そうこうしている内に、オコタンペ湖も近くなり恵庭岳が高く見えるようになってきます。


オコタンペ湖と恵庭岳

オコタンペ湖に注ぐ小沢は雪から顔を出し、清らかな流れが小さな春の音を立てています。
こんなにオコタンペ湖の森と湿原は大きかったかなと思うほど歩いて、やっと湖に出ました。

上から見たように、湖面は明らかに緩んでいて水が浮かんでいます。
渡れるだろうか?
ダメだったら、湖岸を伝って展望台まで行けば良い。でも、C'Kはしなくちゃ!

恐る恐る足を踏み出してみます。体重を分散する為スノーシューを履いたままです。
一歩、二歩、まずは大丈夫です。
ストックで確かめつつ、湖面の白く凍った所を伝って慎重に、でも素早く渡っていきます。
緊張の時間は10分も無かったでしょう。何とか無事対岸に渡り切りました。

振り返ると、恐々渡ったオコタンペ湖の向こうに小漁山が見守って居てくれたかのように佇んでいました。
でも、こんな無謀さはやるものではありません、急がば回れですし安全第一です。


オコタンペ湖と小漁山

ここまで来れば、後はオコタンとオコタン分岐を結ぶ冬季閉鎖中の道路を歩くだけです。

今日一日を回想しつつ、小1時間歩くとオコタン分岐に着いて早春の山旅を終えました。

車に荷物を積み込んでいる時、何かの気配を感じ振り向くと、何と一匹の老キツネ(キツネの年は分かりませんが、そんな感じがした)が直ぐ側の雪壁に座ってこちらを見ています。食べ物を得られなくて人間を頼りにしているのでしょう。
餌をやったりしてはいけないと思いつつも、その切ない様子に負けてポケットにあったチョコとチーズを与えると、あっという間に食べてしまいました。


放っておけなかったキタキツネ君

年齢を重ねると言うことは、素晴らしいことも多いのですが、辛く苦しいことも多いと言うことを改めて感じさせられた出来事でもありました。

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