芽室岳 (1753m) 芽室岳西峰(パンケヌーシ岳) (1745m) 日高 2004.6.13(日) 曇り、晴れ
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芽室岳は北日高を代表する山、芽室岳本峰と西峰を総称して芽室岳と呼ばれており、清水や御影方面から眺めると姿形の大変美しい山だと思います。
私が所属しているHYML(北海道、山、メーリングリスト)のSGさんから同じメンバーのGKさんが日高に初チャレンジしたいと言っている、定年退職平日登山隊の一員として一緒に行きませんかと言うお誘いを受け、喜んで御一緒することにしました。 定年退職組ですから日程に制約はありません。ひたすら天気予報とにらめっこ。 6.12(土)の昼過ぎ千歳の自宅を出て、芽室岳登山口にある「山小屋芽室岳」に向かいます。 小屋に着いたのが1800、山小屋には先着者が8名ほど居て満杯でした。 |
夜中目を覚まして外を見ると満天の星空、期待が高まり余り寝つけませんでした。
0400に起床するとGKさんもすでに起きていて天気が良いことを喜び合いながら身支度や朝食です。
奇麗に整備されている「山小屋芽室岳」 |
0500頃小屋泊りしていた人達が出発するのを見送って、しばらくするとSGさんが到着。
すると早朝車で到着し登山準備をしていた御夫婦が私達に挨拶してきました、聞くと私達が今日芽室岳に登るのをメーリングリスト上で知ったHYML会員のODさんとのこと。メーリングリストの力は思わぬ所にもあるものだと感心してしまいました。さらに地元のTSさんからも後から追いかけるとのメールも入っています。
今日は賑やかになりそうだと挨拶もそこそこに身支度を整えて、我々も出発しました。
道は始めのうち樹林の中の笹原を緩やかに辿っていきます。道の両側にはクルマバソウ、ズタヤクシュが沢山咲いています。
その後、道は芽室岳本峰と西峰とのコルに向かって突き上げる尾根の急登に変わります。
日高を実感させる一直線の急登その上樹林が濃く見晴らしも利きません、たちまち汗が滴り落ち息が切れます。
気を紛らしてくれるのは比較的多い草花達です。退職平日登山隊のモットーは「チンタラ」ですから花が出てくれば休憩兼カメラタイムです。
1000m辺りからツバメオモト、ミツバオウレンが多くなってきてモデルを探しながらの一歩一歩です。
プロカメラマンのGKさんから撮影や構図のポイントなどを教わりながら真似をしてみます。
NO.1モデルだった、ツバメオモト |
1100mを過ぎても、キツイ登りは続き、見通しもきかず辛い時間が延々と続きます。
寝不足のせいなのか風邪気味なのか、鼻がズルズルして口呼吸になってしまい、口の中がカラカラ状態、そして水を飲む、汗をかく、と悪循環に陥ってしまったようです。
1300m付近で木々の間からやっと西峰(パンケヌーシ岳)が姿を見せてくれるようになりました。沢筋に雪を残した山容は凛々しく登行意欲がそそられます。
ですが、西から西峰を越えて黒い雲が流れてきているのが気になります。主稜線の向こうはどうなっているのでしょうか?
雪渓が溶けたのを待っていたように咲きだしているミヤマエンレイソウやコケモモが頑張れとエールを送ってくれているようです。
姿を見せた芽室岳西峰 |
それからも真面目な急登はしっかりと続き、登り始めて3時間近く経ってどうやら芽室岳と西峰とのコルに飛び出しました。
芽室岳が間近に見え、十勝平野が圧倒的な広さで広がっています。
トラバースする雪渓の上には、一人の足跡しかありません。小屋に泊まったグループは西峰に行ったようです。
西峰とのコルから十勝方面 |
主稜線で期待してきた日高の山並みは雲底1600m位の雲に覆われ全体にモヤ〜としていて見ることが出来ません。
三人で「太陽、頑張れ! 雲よ飛んでけ!」と合唱しつつキバナシャクナゲやウラシマツツジの咲く稜線を進み、山頂へ到着です。
風が冷たく強い中記念写真を撮り、雲が吹き飛ぶのを信じて岩陰で風をよけ紅茶やトマトなどを食べ、各自のこれまでの山行などの話しを弾ませながらじっと待ったのでした。
芽室岳山頂にて。左からSGさん、GKさん、私 |
願いが通じたのか雲が切れ始め、雲底も高くなってきました。
明日登る予定の伏美岳がすぐ南に見え、その向こうには札内岳やエサオマン、さらにその向こうにカムエクの姿も見えてきました。
姿を見せてくれた日高の雄大な山並み |
盟主、幌尻岳付近は雲の中です。でもお天気は明らかに回復傾向、西峰に着く頃には晴れ渡るに違いないと期待して芽室岳本峰を後にしました。
西峰が鋭い三角形の姿を見せています。SGさんによると西峰への登りは源頭部までいったん下り滑りやすい笹を漕ぎながらの急登だったとのことですが、この時期は雪を繋いで行けそうです。
西峰(パンケヌーシ岳)を目指して |
西峰の雪渓の脇には紫に近い色をしたショウジョウバカマが可憐に咲いていてカメラのモデルを勤めてくれました。
雪のお陰で途中まで楽に登れましたが、尾根に取り付いてからは本当に物凄い急登です。先が見えているので何とか頑張れたような感じでした。
やっとのことで西峰に到着、そこには後から追いかけると連絡のあったTSさんが私達を待っていました。
期待通りお天気は回復していて、素晴らしい展望が広がっています。
西峰山頂にて |
風があるものの日差しが暖かい中、食事や暖かい飲み物を摂りながら山座同定を楽しみ、山の話題で盛り上がります。
北海道300山の登頂を目指しているSGさんに説明してもらいます。研究されているだけにガイドブックなどではお目にかかれない情報を色々聞かせて頂きました。
西峰からの芽室岳本峰 |
お天気はどんどん良くなり、中日高の山々もハッキリ見えてきました。
初めてその姿を見る1967峰もピパイロの横に顔を出しています。でも幌尻岳や戸蔦別岳は依然雲の中、GKさんに明日の楽しみが出来ましたねと今日は諦めることに。
西峰からの展望 |
山頂で1時間以上ゆっくり、満足してTSさんと一緒に4人で下山することに。
西峰分岐まで戻り、その後は苦労しながら登ってきた急坂を転げるように降りてきました。
下山してから麓の「千年の森」から見る芽室岳は一際気高く見えました。
芽室岳本峰(左)と西峰(パンケヌーシ岳) |
今回訪れた芽室岳は日高の中では登りやすいと言われているそうですが、どうしてどうしてなかなかタフな山でした。
そして思ったより花の多い山という印象を受けました。
私達は明日登る伏美岳の避難小屋に向かう前に、芽室町の温泉でゆっくりしながら山の余韻を楽しむ至福の一時を過ごしたのでした。