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深夜の雷なかなか寝付かれずウトウトしていると突然閃光が走り目が覚めた。 山の雷は恐い、まして深夜それも一人である。 雷雨が続いた午前1時頃から3時頃まで、そんな馬鹿な事を考えながら寝袋にくるまってじっと身を細めていた。 |
明るくなってテントから首を突き出すと、雷雲はすっかり去り雲は多いものの青空も見えている。
食事をしてテントから這い出すと、10mばかり離れた所に泊まっていた私と同年輩位の男性が出発準備をしている。
「凄い雷でしたね」と挨拶しながら話しかけると、この方ツェルトで泊まっていたそうで全てビショビショ。
それでも予定通り1839峰へ行くと言う、その気力たるや大したものである。
昨日経験した事が参考になればと幾つか情報を話していると、この方水戸の人で熊野古道を全て歩き、北海道の山も好きで良く訪れていると言う。
私もこの春に四国を歩いたことなどを話すと、大いに盛り上がった。
世の中には凄い人が多い、私など足下にも及ばない。
いつまでも自立し自分で自分を律していく、姥捨て山に捨てられたらそこを耕して生きて行くような人なのだろうな〜。
朝のコイカクとヤオロマップ岳
雨上がりの光景を楽しみながらテントを撤収し下山準備。
雨を吸ったテントはグショグショで始末に悪く、適当に丸めてザックに押し込む。
1823峰とカムエク
たっぷりと担ぎ上げて来た水は簡単な食事ばかりにした事もあって、4ℓ近くも余ってしまった。
水戸の男性に必要ないか聞くが、彼も大丈夫と言う。
お花畑へ楽しませてもらったお礼にと撒いてきた。
遠くに十勝幌尻岳と札内岳
水戸の男性に「お気をつけて」と声をかけ、1839峰にも「さよなら」を言い夏尾根を下り始める。
正面には雲海が降りてくるのを待っているかのように埋め尽くしている。
雲海目指して
登りもきつかったがこの夏尾根、下りも辛い。
雨で濡れている岩に滑りでもしたら転げ落ちる事になる、慎重に慎重に下りる。
C1300mで一休み。
そこからは笹被りの道が雨でヌルヌル状態、さらに下がって雲海に突入すると霧雨で益々滑る。
2度程滑って大転倒、体もザックも泥まみれになってしまった。
上二股に着くと幸い心配した増水は全く無く、沢水で汚れを落とし沢靴に履き替えのんびりと札内ヒュッテに戻った。
難しい思っていた中日高の厳しい山、思い切って出かけて本当に良かった。
幸い、全ての条件に恵まれ遥かな遠い山と感じていた1839峰を訪れることができ嬉しい。
調子に乗ってまだまだ何でも出来るのだ等、自惚れてはいけないが、引っ込み思案になっても仕方ない。
楽しみたい事は沢山ある。
周到に準備し安全を確保しつつ、楽しんで行こうと思う。
一人で無理な所は友人達にお願いしよう、迷惑がられたらその時が潮時なのだと思えば良い。
皆さん、一つよろしくお願い致します。