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プロローグ
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オロフレ峠に向かう途中、支笏湖からの恵庭岳がとても良い感じ。
大雨のせいか、空気は澄み清涼感いっぱい。
雲が多いが、次第に晴れてくる気配である。
6月にオロフレ山を訪れているので、約1ヶ月振りの峠である。
連休の最終日とあって峠を訪れる人も多く、写真を取り合ったり景色を眺めたりしている。
勿論、オロフレ山を目指す人たちもいる。腰痛ベルトと膝サポーターを付けたカミさん、物々しい出で立ちだ。
荷物は持たなくていいと言うのだが、バランスがとれると雨着だけ入れたザックを背負っている。オロフレ峠の駐車場からオロフレ山とは反対側の斜面をゆっくり登りだす。
振り返ると峠とオロフレ山が始めて見る角度で見え、新鮮な感じである。
オロフレ峠を見下ろす
50mほど登れば早くも稜線、なだらかな道をのんびり進む。
予想した通り、道は極めてなだらかなのだが木が混んでいて見晴らしは利かない。
朝露を纏ったオトギリソウがキラキラ輝いて眼を引く。
オトギリソウ
稜線上の道は笹被りの道、2年も放置しておけば笹に覆われてしまうだろう。
あまり利用者もいないだろう道なのだが、きちんと笹刈りがされている。
地元の山岳会や有志の方々が行って下さっているのだと思う。
有り難いことだと感謝しつつ、気持ちよく歩かせてもらう。木の少ないところでは風も通り、見晴らしも良くなる。
振り返ると、オロフレ山がどっしりとした姿を見せている。
オロフレ山
花は終わっているが、ツバメオモトやサンカヨウがとても多い。6月初め頃はさぞかし見事なことだろう。
湿度の高いところなのか木々の幹に苔が付いていて、そのしっとりした緑が美しい。
単調な稜線を歩いて行くと、大きく育ったヨツガシオガマの群れが一斉に花をつけていて思わず歓声が上がる。
ヨツバシオガマに迎えられて
笹の刈り分け道が二手に分かれている。左は平坦、真っ直ぐは登り。
ほんの少し登るとそこがカルルス山の山頂であった。
見通しはない山頂、立派な山頂標識が立てられていた。
カルルス山
カルルス山からは緩やかなアップダウンを繰り返しつつ、笹かぶりの道を進んで行く。
しばらく行くと六畳敷ほどの大きな石があり、上がってみた。
これまで見え隠れしていた来馬岳と稜線がはっきりと見え、来馬岳の右手には室蘭の山々が姿を現していた。
来馬岳(左)とそれに続く稜線
稜線上には良く見ると、目立たない花々が結構咲いている。
ランの仲間、コケイラン、アオチドリ、キソチドリなども多い。
エゾタヌキソウやヨツバムグラ、ミミコウモリ、アザミ、ヨツバヒヨドリなども笹に混じって咲いている。「あら! きれいよ」カミさんが笹に隠れるように咲いていたピンクの花を見つけた。
オオタカネイバラである。咲き終わっているものが多かったが、最後の花が美しい姿を見せてくれていた。
オオタカネイバラ
久しぶりに見る、美しく華麗な姿。
しばらくその姿を堪能し、写真を何枚も撮った。稜線上には、その他にもオニシモツケも花をつけていたし、早くもアキノキリンソウがつぼみを大きく膨らませていて驚かされた。
オニシモツケ
来馬岳に近づくにつれ、笹が道を塞ぐようになった。
わずかな距離だが、所々は薮漕ぎ状態。
そんな道を進んで行くと、笹が刈り払われた小さな広場に出た。
山頂標識と鐘が吊るされている来馬岳山頂である。冬にスキーで来たことがあるが、忘れていて良く思い出さない。
木々に囲まれ、視界がないせいか寂しく感じられる。
山頂にて
笹を漕いて来たので念のためダニC'Kをしてから腰を下ろし、食事にする。
見晴らしはないが、虫が少ないのが有り難い。
グレープフルーツや手作りの水ようかんが元気をくれるかのようだ。晴れるのではと思っていたお天気は、低い雲が出てきて周囲を覆い始めた。
視界は閉ざされるけれど、涼しくて気持ちいい。
山頂でゆっくり過ごし、来た道を引き返す。
笹の濃いところを過ぎれば、後は花を見ながらのんびりゆったり稜線を歩く。
木々の間から洞爺湖や内浦湾が、かいま見られる。
少し開けた場所からは、羊蹄山と尻別山を眺めることが出来た。
戻ってくると、オロフレ山の山頂は低い雲で覆われていた。
「あんな所から人が降りて来るよ」の声に迎えられて、オロフレ峠の駐車場へ戻った。
エゾカンゾウと
来馬岳、見晴らしはあまり利かない山だが、道は良く整備され気持ちよく歩けた。
花も比較的多く、楽しませてくれる。
なにより厳しい上り下りがなく、楽に歩くことが出来る山である。
家に帰ってからカミさんが、「何か付いていない?」。
見ると、首の少し下にダニが食い付いていた。
「ダニだよ!」 「ひえ〜、取って〜!」取ろうとしたが、すでに頭をしっかり食い込ませていて下手に取ると頭が残ってしまいそう。
皮膚科へ直行。
下山した時にC'Kをし忘れたのだ。ごめん、ごめん。
・紅の高嶺のバラの色冴えて今日一日を誇らしく咲く
・朽ち葉敷くやわらな道に木漏れ日は一歩一歩と踊りつ誘う