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噴火
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今年は全国的にも異常な気象が続いているが、北国を覆った梅雨空は7月末になっても続いている。
そんな中、7/31は久しぶりの晴れの予報である。
やれ嬉しやと、近場の山を歩いてみることにした。選んだのは洞爺湖の南に聳える、有珠山。
ロープウェイで行ったことはあるが、登ろうとは思ったことがなかった。
室蘭・伊達市方面から国道36号線を走り、JR有珠駅を過ぎると直ぐ右側に「有珠山登山口」の立て看板。
ここを右折、以後指示標識に従って道央高速道路にぶつかる所に、登山者用駐車場がある。
そこで登山準備をし、高速道路を超えてすぐに左手に遊歩道が続いている。
「有珠治山の森」の標識と、有珠山の案内看板が設置されている。
登山口
道央、道南ともに晴れの予報であるが、通ってきた支笏湖や大滝、壮瞥などは曇り空。
有珠も曇りで霧っぽい。
登山口でしばらく待ってみるが、眼に見える変化はない。
ラジオが札幌は晴れてきたと告げているのを聞いて、歩き出すことにした。北海道の太平洋岸は夏場、南風が吹くと霧に覆われる。
海に漂う霧が風に乗って押し寄せてくるのである。
そのため、シー・ホッグ(海霧)と呼ばれ交通関係、特に海上と航空関係の人達からは嫌われている代物である。道は遊歩道と名付けられているように、幅広く整備され歩き易く、明るい樹林の中を気持ちよく歩ける。
気持ちの良い登山道
30分も歩いただろうか、霧というか雲の中に入ってしまったようだ。
視界は2・30m程度、ぼんやり霞む木々の影も神秘的。
霧ながれる
道ばたの草もしっとりと濡れ、木々の葉からしずくが滴り落ちる。
空気も湿って呼吸が楽だ。
その代わり、ゆっくりのんびり歩いているのに、汗でびっしょりになる。
湿度がそれだけ高いのだろう。途中で車も通れる道路を横断し、少し山道らしくなった道を淡々と登って行く。
霧の静かな雰囲気も良いけれど、そろそろ見晴らしも良くなってほしいと思う。
ちょっと欲張り過ぎかな?
歩き始めて約1時間15分、外輪山の一角に出た。
出たと言っても深い霧で何も見えない、案内表示で確認しただけだ。
取りあえず、火口原展望台に行こうと右に進む。左へ行けば外輪山展望台だ。赤い実をつけた小木が目立つ。
スイカヅラ科のヒョウタンボクに似た実の付き方だが、はっきり分からない。
「きっと左側には火口や有珠山本体が見えているのだろうね」と話しながら進むと、間もなく火口原展望台。
広場になっていて建物が二つ、ぼんやり見えている。
立派なトイレと火山観測の為のGPS観測小屋であった。
火口原展望台
おにぎりで小腹を満たす。
冷たく冷やしてきた氷入りコーヒーより、暖かいものが欲しい気分になる霧の展望台である。何も見えない霧の中で、案内看板を見ながら大景観を夢想する。
本来なら、こんな風景が出迎えてくれるのだそうですよ。
大景観は見えないけれど、代わりにヤマグワの木を見つけた。
黒く食べごろの実も沢山付いている。
子供の頃、口の周りを紫にしながら食べて叱られたことなどを思い出しながら、少し頂いた。
結構甘く美味しく、懐かしかった。
懐かしいわ・・・
深い霧はあたりに漂ったまま動こうともしない、展望は諦めた。
ロープウェイ駅まで道は通じているらしいが、展望も利かず行っても仕方がない。
外輪山展望台へ寄って引き返すことにする。外輪山遊歩道と登山道の合流点を過ぎ少し行くと、お社のような建物が建っていて、そばには三体の野仏様がお座りになっている。
野仏様にお参り
三体の野仏様はお顔も持っておられる物も少しずつ違う、千手観音様なのだろうか、どの仏様もお優しい表情をしておられる。
お社は「大臼山 道場院 善光寺 奥の院」とあり、中にはご本尊が安置されていた。
善光寺奥の院
帰ってから調べてみると、有珠にある善光寺は、様似の等澍院、厚岸の国泰寺と共に蝦夷三官寺として江戸時代から栄えていた北海道を代表するお寺だそうだ。
今は花の名所として知られ、花見時期は大変にぎわうそうである。そんなこととはつゆ知らなかったが、静かにお参りさせて頂いた。
奥の院の直ぐそばにある外輪山展望台。
依然何も見えない、ミルクを流したような霧の中である。
こう見えるのか・・・
でも、案内看板などを見ているうちに霧が動き出すような気配が。
もしやとしばらく待っていると、霧が晴れ始め小有珠と銀沼火口が姿を現し始めた。
姿を見せてくれた小有珠と銀沼火口
すっかり諦めていただけに、凄く嬉しい。
もしかしたら、野仏様の御陰かしら・・・? 有り難うございます。さすが活火山、凄まじい迫力である。
大有珠は見えないけれど、有珠山を見たという気になった瞬間であった。
激しい噴気
霧の晴れ間は、僅かに10分ほど。
その後は再び、深く濃い霧に包まれてしまった。まさに天の恵み、感謝のひと時であった。
この日、有珠山で3組の人たちに出会った。
皆さん、晴れの予報を信じて来られたのかしら?
それとも、有珠山はそれほど人気の山なのかしら?いずれにしても、有珠山は手軽に楽しめる山であることは間違いない。
・身を裂きて怒る心を鎮めてか有珠の山肌わずかに緑
・実を結ぶ仲間もあるに森深く露忍ばせて姥百合は咲く
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