札幌岳 (1293m)

道央   2012.10.9(火)   快晴


 

紅葉

 

2012.10.9(火)
登山口 0745
冷水小屋 0915〜30
札幌岳山頂 1035〜1130
冷水小屋 1225〜30
登山口 1320

札幌岳

札幌岳は定山渓の南に位置する山で、札幌近郊の山の展望台とも言われる山である。
手稲山や烏帽子岳・定山渓天狗岳などの札幌の山、余市岳や無意根山、羊蹄山と尻別岳、恵庭岳や空沼岳・狭薄山などが手に取るように見渡せるし、遠く石狩湾や増毛山地、日高や夕張の山々、道南の山並みなども見ることが出来る。

登山路は冷水沢沿いに登る冷水コースと、盤の沢沿いに登る豊滝コースが一般的。
今回は色づく紅葉を期待しながら冷水コースを辿ってみた。

 

紅葉

今年はお盆明けから9月いっぱい、異常とも言える高温にみまわれた北海道。
大雪始め紅葉の名所と言われる所はいずれも大幅に遅れ、しかも綺麗に色づいていないようで今年の紅葉は期待はずれというのがもっぱらの噂である。
10月に入りやっと気温も例年並みに戻り、ここ数日は札幌周辺でも最低気温が5℃〜10℃になって急に秋らしく感じられるようになった。

少しは紅葉も期待できるかもしれない、そう思いつつ札幌岳へと車を走らせた。

 

山の香り

豊平峡温泉近くにある登山口、すでに3台の車が停まっていた。
登山届に記帳し、ストレッチをして出発だ。
冷水沢沿いの道は緩やかで深い樹林の中、涼しい朝の空気に包まれてしっとり清々しい。

どこからか甘い綿菓子のような香りが漂ってくる。
カツラの木が放つ秋の香り、山の香りだ。
香りを楽しみながら気がついた、何時もなら当然黄色になっているはずのカツラの葉がまだ真っ青なのだ。
日差しを浴びて黄緑に輝く葉はとても秋のものとは思えない。

山の香りといえば、この時期ヤチダモも香りを放つ。
こちらは柑橘系のスッキリした香りである。

カツラ
甘い香りを放つ、カツラの木。葉もハート型で綺麗だ。

標高の低い所の紅葉は一向に進んでいない、ツタウルシとオオカメノキの葉が多少色付いているぐらいで期待は諦めに変わっていく。

オオカメノキ
オオカメノキの紅葉

 

冷水小屋

しっとり涼しい気候が気持ちいい、それでも登るにつれて汗ばんできたのでシャツを1枚脱いで体温調整。
ついでにカミさんが焼いたマフィンを一つづつ平らげる。

冷水小屋は沢沿いに建つ、感じのよい小屋だ。
威勢よく吹き出す冷たい沢水が美味しく、顔を洗うと気持ちまでシャッキとする。

冷水小屋
冷水小屋

かなり前のことだがこの先の急坂で低血糖気味になりフラフラになったカミさん、その記憶はまだ新鮮なようでおにぎりを一個お腹に入れている。
少し前にマフィンを食べたばかりなのに食べ過ぎじゃないの?

 

胸突坂

冷水小屋からは標高差250mの急坂が待っている、人呼んで「胸突坂」。
霜で滑りやすくなっている急坂に慎重にゆっくりと取り付く。
汗が吹き出し、滴り落ち、メガネが曇る。

ナナカマドやダケカンバが僅かだが紅葉し始め、私達を励ましてくれているようだ。
道の端にはキノコが沢山生えている、絵本に出てくるような赤い笠に白い水玉のキノコは「食べたら死ぬぞ」と言っているよう。

記憶では急坂を過ぎればすぐに頂上だった筈なのだが、傾斜が緩んでも一向に山頂の気配がない。
おかしいな?と地図を取り出して見ると、結構な距離がある。
すっかり忘れているのだ、認知症の心配をしなくてはと苦笑いしながら足を進めた。

 

至福の大展望

山頂に到着した、出発から約3時間が経っている。
コースタイムと概ね同じである、年々歩くのが遅くなって、ついにガイドブックのコースタイムと同じ時間が必要になってきた。
時間に関係なく楽しめれば良いのだと頭では思うが、少々寂しい。

山頂からは先日の羊蹄山と同様、素晴らしい大展望が待っていてくれた。
グルリと360度、じっくりと楽しむ。

羊蹄山
山頂から望む羊蹄山(右)と尻別岳(左)、中央左は昆布岳

札幌岳北東支稜の1190mPが紅葉した姿を見せている。
他は緑一色なのにこの小ピークだけ、何故なのだろう?

1109mP
全山紅葉の1190mP、その向こうには札幌市街地が

もう少しUPで見てみよう。
ナナカマドの赤のみならず、ダケカンバの黄色も綺麗に色付いている。

紅葉
この小ピークだけが全山紅葉の気配

南には恵庭岳が独特の山頂部を見せ、屹立している。

恵庭岳
恵庭岳(左)

近くの無意根山、喜茂別岳が羊蹄山の前衛となって横たわっている。

無意根山
羊蹄山の前衛のように立ち並ぶ無意根山(右)〜中岳〜並河岳〜喜茂別岳(中央左)の山並み

先週の羊蹄山から2週連続の大展望に喜び見入りながら、温かい飲み物と新米のおにぎりを美味しく頂く。
風もなく暖かい陽溜りでの山座同定、日高や夕張の山々、道南の山々、増毛・樺戸の山々、みんな見えている。
山ばかりでなく、苫小牧の海、ウトナイ湖、千歳の飛行場、石狩湾、勿論札幌市街地、江別や北広島なども見下ろせる。
何とも嬉しい時間ではある。

山頂にて
大展望にご満悦で

草紅葉が美しかった先週の羊蹄山、今はどんな表情をしているのだろう。
ここ札幌岳から見る姿もスッキリしていて美しい。

羊蹄山
羊蹄山

そしてすぐ南には、狭薄山の堂々たる姿が。
登山路が無いため沢からかもしくは積雪期にしか登れない山だ。

狭薄山
狭薄山、右後方にはホロホロ山、徳舜瞥山、オロフレ山などが見える

写真を撮ったり、山座同定をしたり、お喋りをしたり、山頂での時間はあっという間に過ぎていく。
1時間が経ち、次々に登ってくる人達で山頂も混み合ってきた。
場所をあけ、下山することに。

下る北西の方向には、色付いた木々の間から無意根山や余市岳が静かに佇んでいるのが垣間見えた。

無意根山
紅葉する木々の合間から垣間見える無意根山など

 

節目

この日10月9日は、私の69歳の誕生日。
ついに、古希へのリーチ。

思えば68歳の前半は頚椎と膝の不調で、体を動かすこともままならなくなり苦しんだ。
幸い、適切な治療とリハビリ・薬のお陰で再び山を楽しむまでに回復した。
迎える69歳の一年、予防を第一に体調を気遣い元気に健やかに過ごせる一年にしたいものだ。

まだまだやりたいことは沢山ある。
来年は古希を記念して2度めの四国歩き遍路をカミさんと約束しているし、ヒメサユリを見に上州へ行くのも約束だ。
体力が衰えていくのは仕方がない、衰えを少しでも遅くするよう地道な努力を継続しつつ、気力を充実させて過ごせていけたらと思う。

 

オジロワシ歌壇

 

・お互いに平均寿命逆算し
       モザイクの秋写真に納まる

・桂の樹空覆うがに枝伸ばし
       幽(かさけ)し秋の陽透き通る

・歌まとまらず悩む間に
       烏帽子岳すっぽり雲の日陰に入る


 

 

 

 

2009.9の豊滝コースへ

 

 

 

Homeへ
Page Topへ
次に進む

 



 

inserted by FC2 system