尻別岳 (1107m)

道央   2013.10.5(土)   薄曇り

 


 

羊蹄山
尻別岳から見た羊蹄山

 

2013.10.5(土)
登山口 0815
C723mコル 0905
尻別岳山頂 0945〜1015
C723mコル 1045
登山口 1125

・尻別岳

羊蹄山のすぐ南東側にある標高1100mほどの山、端正な姿で羊蹄山と親子または夫婦のように見える山でもある。
アイヌの人たちは羊蹄山をマチネシリ(女山)、尻別岳をピンネシリ(男山)と呼んでいたそうだ。
大きく秀麗で立派な方を女山とし小さく控えめな方を男山とは、アイヌの人も良く観察していたのだな・・・。

山頂からの景観やシラネアオイなどの花も多いし、交通の便も良いことから比較的手軽に楽しめ、訪れる事ができる山である。

 

・10年ぶり

10月に入り大雪山系などでは紅葉も盛りを過ぎようとしているが、道央では紅葉にはまだ早く花にはもう遅いと云う中途半端な時期である。
お天気はここ数週間ほど週末に晴れる傾向が続き、お勤めの人たちはラッキーと喜んでいると思うけれど紅葉の綺麗な所は何処も混みあうことになる。
押し合い圧し合い行列を作っての紅葉見物は遠慮したい、そんな思いで近場の静かで景観を楽しめる山を探していて思いついたのが、尻別岳。

羊蹄山とセットで多くの山からその姿を何時も目にしているのだが、前回訪れてから10年が経っている。
久々に訪れる尻別山、どんな表情で迎えてくれるか楽しみである。

支笏湖を越え喜茂別に入ると車窓から尻別岳が見えてきた、今日も羊蹄山と一緒である。
珍しく羊蹄山はスッキリ頭を出しているのに、尻別岳は頭を雲に隠している。
「何を恥ずかしがっているんだい?」

尻別山
喜茂別側からの尻別岳(左)と羊蹄山

 

・散策路

尻別岳には喜茂別側と留寿都側から2本の登山道があったが、現在喜茂別側は閉鎖されている。
留寿都側の登山口はルスツリゾートのウエストマウンテン・ゴンドラ橇負山の裏手にあり、道道257号線にある馬鈴薯原種農場から林道に入る。
林道入口には「農場内立入禁止」の看板があり躊躇させられるが、林道を走る分には大丈夫だ。

道なりに走れば登山口、駐車スペースも十分だ。
準備をして歩き出すとすぐにスキーリフト下り口でスキー場が右手に見え始める、なだらかな尾根道で気持ち良い散策路だ。
まだ紅葉の気配は感じられないが、ツタウルシだけは赤く色づきチョット異質な感じ。


ツタウルシだけが赤く色付いている

 

右手にはルスツリゾートのスキー場やホテル、遊園地などが広がり、有珠山方面の景観も広がりだす。
スキーコースやゴルフ場など、切り刻まれた山肌がチョッピリ可哀想。

リゾート
尾根道からルスツリゾートが良く見える

 

まだ朝でリゾートの駐車場はガラ空き、これから子どもたちの賑やかな歓声が響き渡るのだろう。

ホテル
ホテルや園地もまだ空いている


やがて樹林の陰から明るい稜線が山頂まで続いている尻別岳の姿が現れた。
なかなか大きく立派な山容である。
先ほどまで山頂を覆っていた雲も少なくなり、山頂に着くまでには晴れそうな気配で嬉しい。

尻別岳
尻別岳 右奥が山頂

 

・急登!

尻別岳を正面に見ながら、道は一旦下りコルへ。
そしてコルからは尻別岳名物、肩までの一直線の急登が待っている。

急登
尻別名物、肩までの急登尾根

 

標高差約350mを一直線に登っていく、かなりの斜度だが短いので頑張れる。
大概の人は35分〜50分もみれば、登りきれる一本道だ。

汗をあまりかかないようゆっくりペースで登っていると、後ろから軽快な足音、単独男性が軽やかに追い付いてきたので道を譲る。
若さは力だと痛感させられる時、徐々に徐々に引き離されていく。

ロープ場を2ヶ所ほど過ぎ、肩から延びる平坦な山頂稜線が近づいてくるのが楽しみだ。

山頂稜線
草紅葉の山頂稜線は近い

 

 肩まで登りきり振り返ると、急坂の向こうにルスツリゾートや有珠山、洞爺湖などが広がっていた。


登ってきた道(右下)とルスツリゾートや有珠山、洞爺湖など

 

コルから肩までの登り、横から見るとその斜度がよく分かる。
30度を越える傾斜だろう。

急登
コルから一気に登る急登の道

 

・流れ雲

尻別岳の肩から山頂までは平坦な稜線を僅かな距離だ。
春にはシラネアオイやミネザクラなどが咲き乱れる場所だ。

背の高い笹が生い茂っているが、山頂は手が入れられ360度の見晴らしが利く。

山頂
山頂への平坦な稜線

 

ただこの日は大気が淀み、どんよりして見通しは良くない。
おまけに高度1100m〜1300m付近に逆転層があるのか、雲が漂い流れ見通しを更に悪くしている。

景観を楽しみに来たのに、残念!

近い羊蹄山だけが美しい姿をクッキリと見せている。
まさに富士と見間違う秀麗さだ。
その羊蹄も雲の上と下では空気の色合いが明らかに違う、大気の汚れというか淀みは普段気づかないけれど色々影響しているのだろう。

羊蹄山
山頂からの羊蹄山

 

遠望は諦め、羊蹄山を眺めながらおやつを口にしコーヒーを楽しむ。
風もなく気温も高めで、至って気持ち良く昼寝でもしたい気分だ。

山頂で確認すると喜茂別側に道が付いている。
廃道と言われているが、見た限りしっかりした道である。
取り付きだけだから何とも言えないが、若干の藪漕ぎを覚悟すればまだ使えるのかもしれない。

 

・さすが土曜日

羊蹄山の威容のほかは楽しむものも無く、山頂滞在30分ほどで下山に。

コルまでの急坂を滑らぬよう注意しながら下る。
さすがに土曜日だけあって、尻別岳を登ってくる人も多い。
20人近い人達とすれ違い、道を譲りながら降りてきた。

岳樺の太い幹に絡みついている蔦の葉が少しづつ色づきだしている。
ツタウルシ、ツルアジサイ、イワガラミなど、蔦系の葉。
決して派手でも綺麗でもないが、それぞれの葉が精一杯生きてきた年輪のようなものを感じさせる。
それらの色の違いやコントラストの違いがなかなか面白く絵になっていた。

蔦の葉
いろいろな形、色合いが年輪を感じさせる。

 

・60歳 最後の山

来週の初め、私はとうとう60歳とさよならすることになる。
10/9が誕生日で今年70歳、古希を迎えるのだ。

ということで今回の尻別岳が60歳代、最後の山となった。

昔は70歳と言えば、確かに古く稀なことだったのだろうが、今は何処にでも居るただの老人。
老人世界ではまだ鼻垂れなのだ。

「若い世代に迷惑をかけず、お金は気前よく使い果たし、早くあの世へ行ってくれ」と云う、政治や世間の声が耳に大きい。

確かに自分自身でも、不惑とか耳順と云う心境には程遠く物欲や妄想に苛まれている毎日なのに、心の浴する所に従ったら世間にどんなに迷惑をかける事になるか空恐ろしい。

せめて謙虚さを忘れず言いたいことは半分に抑え、人様のご意見にはなるほど・ごもっともと逆らわず生きていこうと思う。
そして体力気力と健康の維持に努め、唯一の趣味である山歩きを楽しんでいこう。

しぼんでいくだけの人生をだらだら送る気持はない、体や気持ちが萎えたら延命など望まない。
経験や知見を活かして、時には卑怯者やマナー違反者を怒鳴りつける気迫を持ち続けたい。

こんな気持を新たにすることが出来た、60歳代最後の山「尻別岳」ありがとう!

 

 

 

 

 

 

 





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