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平山
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登山口へ行くと以前の登山口の手前100mほどの所に一般用駐車場が作られていた。
そこから林越しに平山の稜線が望まれ、第一雪渓・第二雪渓と思しき雪渓も確認できた。
駐車場からみる平山の稜線
道は概ね沢沿いに付けられ、横切る枝沢には滝が落ちている。
まずは行雲の滝、右手から流れ落ちる美しい滝だ。
行雲の滝
道の両側にはズタヤクシュや小さな白いスミレと黄色のスミレ(多分キバナノコマノツメ)などが咲いていた。
さらにツバメオモトとサンカヨウが今が盛りと咲いている。
支笏湖周辺ではとっくに終わっているのにさすがは北に位置するだけあると感心していまう。
更に驚いたのはエゾエンゴサクがまだ咲いていたこと。
まだ早春の花が咲いているのか?
ツバメオモト
サンカヨウ
しばらくすると左手に冷涼の滝、なかなか見応えのある立派な滝。
上にも下にも雪を蓄えている。
冷涼の滝
「チョット変なの」とカミさん。
見ると汗を一杯かいている。
尋ねると、出かけに鼻炎気味になったので薬を飲んできたという。
それが効きだしたせいなのか、フワフワして空中を彷徨っているような感じがすると言う。ゆっくり行けば大丈夫そうと言うので、冷涼の滝で少し休むことに。
気分が悪いせいか、表情も暗いカミさん
意識してゆっくり歩を進める。
C1300m位で左に分岐する沢もまっすぐ稜線に突き上げていて、立派な滝がかかっている。
C1300mで左に突き上げる沢
流れる本流の沢には雪が詰まり、これを利用しても登れそうだ。
C1400mを過ぎて道は雪渓に吸収される。
標高差100m以上ある大きな雪渓、カミさんの体調を確かめアイゼンを履かせる。万一を考えカミさんを先に歩かせる。
足を滑らせた時、後ですぐに止めるためだ。
一歩一歩、慎重に確実に登っていく。
大きな第一雪渓を慎重に登る
急斜面を登り切ると雪渓は二股に別れ、夫々稜線方向に伸びている。
地図とGPSでC'Kして左手にトラバースしながら進む。
トラバース、慎重にね。
雪渓を登り終えると、標高はC1700m。
雪渓は標高差200m以上あったようだ。雪渓を越えてからは小さな沢地形のゴロゴロ石を乗り越えていけば、間もなく稜線に飛び出した。
C1737mの稜線分岐はまさに天上の楽園。
思わず歓声が上がり、カミさんの頑張りに拍手。「ヤッタネ!」大雪の展望台の名に恥じない、大展望だ。
稜線から眺める表大雪の山々
お隣のニセイカウシュッペ山(ニセカウ)の佇まいも素晴らしい。
ニセカウの大槍と小槍
しばし腰を下ろして展望を満喫。
昨年秋に歩いた、ニセカウとアンギラスの話に花が咲く。腰を下ろしている周りにも、イワウメやキンバイなどの花の姿。
さあ、気持ちのよい稜線歩きを楽しみながら花見物と洒落込もう。
イワウメ
コマクサの葉があちこちにみられるが、花はない。
花芽も伸びていない、まだ早かったか?
丹念に見ていくと、小さな蕾を伸ばしかけているのがある。
「頑張れ〜!」
小さな蕾を一所懸命伸ばしている。
キンバイが咲いている。
良く見ると明らかに葉の光沢やうぶ毛の様子が違っている。
どうやらこちらはメアカンキンバイのようだ。
メアカンキンバイ
そしてこちらがミヤマキンバイ。
ミヤマキンバイ
歩くこと僅か15分で平山の山頂、名の通りまっ平らな山頂だ。
背の低いハイマツ越しに表大雪、ニセカウ、反対側に武利岳や支湧別岳など、山また山の大展望だ。愛着なのか、どうしても昨秋登ったアンギラスに視線が固まりがち。
「どこから見ても格好良いね!」と自画自賛、登った達成感を再確認したのでした。
ニセカウ(左端)とアンギラス(その右側)から稜線で繋がっているのが比麻奈山
再び稜線を戻り、比麻奈山方面に足を伸ばす。
コケモモに混じって、似たような花が。
9月頃になると黒く熟した実が美味しい、クロマメノキである。
クロマメノキ
岩陰にイワヒゲがこの時期になっても咲いていた。
イワヒゲ
そして比麻奈山方向に進んだ所で足が止まった。
コマクサの群生地、そして花を付けている。
もう一息のコマクサ
そして咲き出した花が
探すと点々とピンクの花を付けて光り輝いている。
調子に乗って以前見たことある、白花を探したが見つからなかった。
これから訪れる人のお楽しみかな。
美しく咲いたコマクサ達
大雪に多いエゾタカネスミレも群落を作って咲きだしている。
エゾタカネスミレ
エゾオヤマノエンドウも咲いている。
この花も大雪に多い花である。
エゾオヤマノエンドウとイワウメの競演
そして友人へのメール添付の材料集めに夢中な誰かさん。
「う〜ん! ピント合わせが難しいのよ」
エゾノツガザクラやチングルマ、キバナシャクナゲも勿論咲いている。
エゾノツガザクラ
花巡りを満喫し視線を上げれば、表大雪の山々と雲が「どうよ!」とポーズをとっている。
残雪模様が美しい、表大雪の山々
二人共、大景観と花々に大満足。
比麻良山付近まで散策するつもりだったが、切り上げて下山することに。C1737m分岐まで戻り、表大雪の山々に別れの挨拶をして下山にかかる。
雪渓まで戻ったら、一気の尻滑りだ。
標高差200m以上を何回かに分けて滑り降りる。爽快感満点の気持ちよさ、ただお尻の冷たさは尋常ではない。
ウヒョ〜! 気持ち良い〜!
C1300m付近まで尻滑りで降り、夏道へ這い上がった。
注ぎ込む小沢にはエゾノリュウキンカが鮮やかな黄色で自己主張している。
群落を見て、カミさんは「美味しそう〜」とつぶやいた。
エゾノリュウキンカ
やはりエゾノリュウキンカは流れに咲いているのが似合っている。
清々しい表情が一段と冴えるようだ。
エゾノリュウキンカ
そしてミネザクラも残雪を背景に咲いていた。
なかなか絵になる光景ではある。
ミネザクラ
登山口近くまで戻った小沢で目に入った、何気ない苔むした石。
何故か惹かれて、その表情を写し撮る。今年は沢で遊べるかな〜?
濡れた苔むした石
富良野岳、平山と花を求めて歩いた二日間、充実した山行だった。
7月、8月と花の種類は変わるがまだまだ楽しめる。
そんな山旅を今年も更に楽しみたいと強く思った。
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