今日は鳥海山もしくは森吉山の登山を計画していた。
目覚めるとどんよりした曇り空、しかも先日から視程の悪い日が続いているが、それにも増して悪視程。鳥海山の裾野すら全く見えない。
どうしよう? 朝食を摂りながら、しばしカミさんと打ち合わせ。
結局山歩きは諦め、鳥海山の山麓に点在していると言う豊かな湧水群を見て回ることにした。
象潟 九十九島
かつて干潟に小島が沢山あって、「風情よし」と名所になっていたそうだ。
それが地震による地盤隆起で、干上がり陸地になった地形。
象潟の道の駅の6階にある温泉から見ると、なるほど島々が点在しているように見えた。その九十九島の中にある、蚶満寺を訪れてみた。
蚶満寺 山門境内から陸に浮かぶ小島が点在しているのがみてとれる。
陸に浮かぶ小島 これらが60もあるそうだ。
「う〜ん、なるほど」と納得して、湧水群へと出発だ。
奈曽の白滝
象潟駅から南東に約3kmにある滝。地図には白瀑谷と表記されている。
鳥海ブルーラインを通って駐車場まで行ってみると、付近は普通の田園地帯。
こんな所に滝なんてあるの?
半分騙された気分で、案内表示に沿って行ってみる。だんだん木立の中へ、水音も響き出した、岩肌に沿って沢へと降りていく。
「すげぇ〜!」
奈曽の白滝 (スローシャッター)
流れ出ている沢からは想像もできない水量、田園風景からは予想すらできなかった落差25m、幅10mの滝。
イメージした滝と現実の滝のギャップ、度肝を抜かれる思いすらする。
豊かな水量を表現できないかと、シャッタースピードを変化させ撮ってみる。
スローシャッターは優雅さを、ハイスピードシャッターは豪快さを。表現できているかしら?
奈曽の白滝 (ハイスピードシャッター)
滝壺から30mぐらい離れていても、水煙が流れてきて濡れてしまう。
暑いから濡れても気持ちが良いけれど、カメラは濡らしたくない。
それでも15分以上、飛沫を浴び、大騒ぎしながら楽しんだ。
奈曽の白滝で
少し離れた展望台からも一枚。
展望台から 奈曽の白滝
元滝伏流水
奈曽の白滝は予想していたより大迫力で感動した、次の元滝伏流水にも期待が高まる。
奈曽の白滝から鳥海ブルーラインをさらに登った所にあり、案内表示もしっかり出ている。駐車場からは、流れ出ている沢沿いに約10分歩く。
その沢沿いの道もなかなか雰囲気の良いところだ。
伏流水への道端で
気温が下がってきた感じになり、更に進んでいくと水面から霧状のモヤが発生している。
それだけ水温が低いのだ。水音が高くなってきた、モヤの中から苔むした岩肌のあちこちから流れ落ちている湧水があらわれた。
元滝伏流水の一部
この伏流水は鳥海山に降った雨や雪が80年以上の時を経て、苔むした岩から染み出し流れ落ちている。水量は1日、5万トン以上。
湧水群は約100mの長さに渡って流れ落ち、付近の深い森と相まって、神秘的な空間を演出している。
伏流水曇り空から時折日差しがこぼれ落ちてくる。
すると流れ落ちる伏流水の表情が一変して華やかになる、何とかその表情を写し取りたい。雲に隠れている太陽の位置を推測し、三脚を据え付けチャンスを待つ。
日差しが当たりすぎると白飛びしてしまう、光が弱ければ暗く陰気になってしまうのだ。
シャッターチャンスを、待ちに待っての一枚
この元滝伏流水、カメラ愛好家の絵心をくすぐる滝である。
何駄感駄、カミさんほったらかしで1時間近く夢中になってしまった。
伏流水
アングルを整えれば光線がいまいち、光線はバッチリなのに設定をミスっていたり、全く思うようにいかないものだ。
まぁ、それが出来ればプロだもの。
元滝伏流水の記念に
気に入った構図で10枚以上撮影したけれど、結局自己満足できたのは1枚だけだった。
これも光が少し足りないかな〜
それでも、奈曽の白滝と言い元滝伏流水と言い、とても素晴らしく、良い雰囲気を持った滝であった。
これらを生み出す鳥海山は、やはり偉大なお山なのだ。
胴腹の滝
胴腹の滝は、鳥海山の南西の中腹、山形県遊佐町にある滝。
お社の右と左から2本の滝が流れ、水源が違って味が微妙に違うと言う。
左のはコーヒーに、右のはお茶に適しているとか、本当かな?
胴腹の滝
名の由来は、鳥海山の真ん中辺りから湧き出しているので、胴体・お腹から湧きている。
それが胴・腹の滝 → → 「胴腹の滝」。
安産のお守りでもあるそうだ。
胴腹の滝
名水としても名高いそうで、ポリタンクを幾つも持ってきている人もおられた。
私達も持っていたペットボトルに少々頂いてきた。この胴腹の滝は、その由来からも信仰心から大切に守られてきた湧水なのだと感じた。
玉簾の滝
同腹の滝から車で約20分、落差63m・幅5mの山形県最大の直瀑だという。
道路標識に導かれて行った駐車場から概ね歩いて10分。
杉の林の中に突然のように流れ落ちる大滝があらわれた。
玉簾の滝
流石に大きい。見上げていると首が痛くなるほど。
見ていたら日差しの関係か、滝壺近くに虹が発生。
慌ててシャッターを切る、上手く写ったかな?
滝壺近くに、虹が・・・
鳥海山山麓湧水群は色々個性ある滝が連続し、とても楽しめた。
滝は山深い沢や峡谷にのみ存在するのではないことも教えられた。
玉簾の滝で
視程が極端に悪く、鳥海山登山を諦めざるを得なかったのはとても残念だったが、湧水群の素晴らしさはその残念さを補ってあまりあるものだったと納得した。
遅い昼食を食べ、一路北上。
秋田市をかすめ、男鹿半島の寒風山に立ち寄り、能代へ。寒風山は悪視程で海岸線の一部がぼんやり見えただけ、行っただけの所となった。
能代では、汚れ物の洗濯と温泉でのんびりして、英気を養った。
オジロワシ歌壇
・蚶満寺蝉時雨して人気なく芭蕉翁の句 口の端をいず
・山麓に湧き継ぐ水の冷たくて猛暑の街の娘らを思えり