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清滝寺
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山門からは長い石段を上って本堂前の境内に出る。
清滝寺
境内には高さ15m近い大きな薬師如来像があり、胎内巡りが出来るようになっている。
カミさんが巡ってくると入って行く。外で待っているが、なかなか出てこない。
5分位して「怖かった〜」と出て来た、聞くと中は真っ暗で、入り口から一旦胎内を下がった真後ろ辺りに小さな薬師如来様がおられ、そこからまた真っ暗な中を上がって来たそうだ。
清滝寺ゆっくりお参りし、境内を散策する。
お天気も回復し雨上がりで視界も良い。
仁淀川と土佐市の町並み、そして海も見えていた。
清滝寺からの展望
9時頃宿に戻り、雨着を脱いで荷物をまとめ、出発。
国道39号線に出て間もなく、初老の男性に呼び止められブンタンをお接待して頂いた。
お話を聞くと最近車で四国88カ所をお参りしたそうだ、それ以降歩き遍路の人には出来る限りお接待をするようにしているとの事。
どのような心境の変化があったのかは定かではないが、これもいわゆる「お大師様のお力」なのであろうか。1時間程歩き、塚地トンネル手前の休憩所で休憩。
小屋や水場もあり休憩には良い所なのだが、この日は小屋の中にテントが張られ、回りは雑然としていてタオルや食べ物が散乱状態。
近づくのも嫌な感じなので少し離れた所の石に座って頂いたブンタンを食べる。宿のおかみさんから、大雨が降って滑り易くなっているので塚地峠は危ない、国道を通りなさいと言われていた。
でも、遍路道の入り口に流れ出ている小沢を見ると、水は少し濁っているが水量は大した事無く、これなら大丈夫と判断して、峠越えする事にした。
予想した通り、問題なく歩け約30分で峠へ。
塚地峠
雨に洗われた空気は清涼で、林からはうぐいすの声、日差しも柔らかく気持ち良い事この上ない。
この付近は温かいのか、ここ数日の温かさのせいか、ツツジが咲き始めていた。
峠からはこれから通る「宇佐大橋」を望む事が出来た。
峠から宇佐大橋を望む
峠を降りてしばらく歩き、町並みが出てきたら海岸沿いに出た、宇佐大橋はすぐであった。
宇佐大橋を渡り、少し歩けば青龍寺。
宇佐大橋からの浦ノ内湾
弘法大師が学んだ中国の青龍寺と同じ名前をつけたと聞いていたので、どんなお寺か興味津々であったが、以外にこじんまりしたお寺であった。
山門は重厚で、周りは深い木々に覆われている。
青龍寺
本堂の前に立つ、不動明王の立像はとても印象的で思わず頭を下げた。
青龍寺本堂
船の安全や大漁を願う絵馬が沢山奉納されていて、漁業関係者からの信仰が厚いお寺でもあるようだ。
青龍寺
青龍寺をお参りした後、出来れば浦ノ内湾を船で渡り海からの景色を楽しんでみたいと思っていた。
しかし残念な事に適当な場所の宿が予約できず、宿の関係から横波スカイラインを歩く事に変更せざるを得なかった。
青龍寺奥の院の不動堂をお参りして横波スカイラインを歩き出した。
横波スカイラインは標高150m付近をアップダウンを繰り返しながら歩く。
予想に反して見晴らしの利く場所は少なく、単調な歩きは精神的にやや辛いものがあった。
スカイラインからの眺め
典型的なリアス式海岸、正直言って四国にこのように入り組んだ海岸があるとは全く知らなかった。
目と鼻の先にある所へもグル〜と回り込んで行かなくてはならない。
車であれば何とも思わないかも知れないが、歩くには辛い道だ。
スカイラインからの眺め
ただ丁度、彼岸桜が咲き始め、美しい色と姿を愛でさせてくれたのが救いであった。
美しく咲き出した彼岸桜
今日の宿はそのスカイラインの途中から海へ降りた所にある民宿「旭」、明日朝は車で送ってくれるそうだが歩いて登るのを想像しただけでげんなりする急坂を降りて行く。
宿はいかにも漁師のかあちゃんと言った陽気で気さく、おしゃべりの奥さんが切り盛りしている。
おしゃれとか格式とか伝統とかは関係ない、実質本意の漁師宿だ。
そのように割り切れば、トイレやお風呂、食堂が外にあるなどは気にならない。この宿の圧巻は何と行っても夕食だ。
おとなしそうな漁師のお父さんが獲って来た伊勢エビ、それも正味30cm以上の大物が1人一匹、お鍋に刺身にシャブシャブに、そして仕上げは雑炊だ。
おかみさんの大きな声のおしゃべりも、伊勢エビにしゃぶりつくのに忙しくて聞こえない。
とにかく美味い、最高だ。食事後、おかみさんから大相撲の朝青龍はこの近くの高校に留学し卒業したのだと言う話を聞いた。
地元の有力者が十分な支援をして経済的な面倒などを見てあげたそうだ。
しかるに横綱となり少しは恩返しがあるかと地元は期待したが、全く何もないどころか挨拶にも来ないと言う。
色々問題を起こしている朝青龍の本質はこういう所にあるのかと思った。
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