遍路28日目

(久万高原、44番大宝寺、45番岩屋寺、久万町、三坂峠)

子安地蔵

 

遍路28日目
2008.4.1(火) 晴れ

0700 やすらぎの里 
0720〜0750 44番 大宝寺
0820〜0830 河合休憩所
0940〜0955 八丁坂
1020〜1055 45番 岩屋寺
1135〜1205 古岩屋荘
1355〜1400 久万町
1520 民宿 桃李庵
   
今日の歩行距離

45,760歩
27.8km

総歩行距離
1265,282歩
803.7km

大宝寺

今日は山坂が若干あるが、距離も短く宿に荷物を置いて空身で大宝寺、岩屋寺と回るので、朝はゆっくり朝食を摂って出発である。

宿近くのコンビニに昼食用のパンなどを買おうと寄る。
ニコニコしながら近づいてくる若い女性、何と「鹿児島のバイク姉ちゃん」である。
17番井戸寺以来、何日ぶりの再会であろうか、これまでの事を手短に話し再会を喜び合う。
彼女は昨日大宝寺と岩屋寺をお参りしていて、今日は松山市へ出ると言う。
お互いの健闘を祈ってお別れした。

バイク姉ちゃん
鹿児島のバイク姉ちゃんと

まずは大宝寺へ、空身で2km弱だからお散歩ムードである。

境内に入ると深い鬱蒼とした杉林、雰囲気が一変する。
緩やかに登って行くと威風堂々たる山門、これまた大きな草鞋が吊り下げられている。

山門の大草鞋大宝寺山門

山門から一直線の階段の上に本堂が見え荘厳な印象を受ける。
このような荘厳な感じがありがたさを倍増する大事な仕掛けなのかも知れない。

本堂へ階段と上がって本堂へ

山の傾斜の関係か、本堂や大師堂まえのスペースが少なくやや狭い。
10人程のグループがお参りされていたが、狭いスペース一杯に広がっているのでお灯明もお線香も納経も出来ない。
熱心なだけに自分たちが他人に迷惑をかけている事に気付かないのだ。

大宝寺にて大宝寺

大宝寺で困ったのはトイレ、新しい古いの問題ではなく極めて汚いのだ。
大勢の方達がお参りするお寺のトイレとしてどうなのであろうか。
大多数のお寺のトイレはきれいに維持され、これまでトイレが汚くて入れないと言う経験がなかっただけに驚いた。

 

パイプの煙

大宝寺から河合の遍路道をたどる。
大宝寺裏の小山を乗り越えると御堂トンネルの出口に出て、そこから遍路道へ入って行く。
河合の休憩所はトイレもあり、とても奇麗にされている。
多分、ご近所の方々が清掃して下さっているのだろう、有り難い事だ。

八丁坂遍路道に入り、緩やかなアップダウンをくり返しながら落ち葉の積もった土の足に優しい道を歩く。
咲いている草花を愛でながら歩いていたら、道に突き出た枯れ枝に気付かず目の下を刺してしまった。
血が出て痛む、大したことなければ良いが・・・。

八丁坂八丁坂付近

一人の男性に追いつき先に行かせてもらうが、この方一生懸命ついてくる。
結局、岩屋寺までご一緒しながら歩く事となった。
それは良いのだが、この方すごい愛煙家。休憩中は勿論、歩きながらもタバコが手放せない。
道には乾いた落ち葉が積もっている、危ないな〜。
愛煙家の皆さん、どうぞ山火事にはご注意をお願いします。
そして自然の中でのパイプの煙は美味しいのでしょうが、新鮮な清浄な空気を愛している人がいる事も理解して欲しいと思います。

 

岩屋寺

八丁坂から岩屋寺までは稜線上の道。
とても気持ちの良い道だが、杉林のため展望は余り利かない。
遠く石鎚山なのだろうか、雪を被った形良い山が見えた。

稜線から急激に下り始めて間もなく、不動明王像と迫割禅定。

迫割禅定の岩場迫割禅定

迫割禅定には鍵が掛かっていた、覗くとチムニー状になった岩の割れ目を攀じるのではなく、岩の基部を鎖で登るようになっていた。
チョッピリ、チャレンジ意欲が湧く所だが、鍵が掛かっていては仕方ない諦めた。

岩屋寺のある山全体が岩、それもやや柔らかい岩で出来ているようで絶壁に幾つも穴があいている。

岩屋寺岩屋寺の大杉

境内に入ったのだろう、過ぎが急に太く立派になって来た。
一本一本がご神木と言われても納得の立派さだ。
下からはゴォ〜ンと鐘の音が聞こえ始めた。

さらに下ると、山から下って来る者の為の山門があり入ればすぐに大師堂、本堂が大岩盤の真下に作られていた。

岩屋寺岩屋寺

なんとも現実離れした、ありがたくも神聖な圧倒されるような所に建てられたお寺である。
弘法大師はこのような場所で修行されたのかと感じ入ってしまう。

岩屋寺見上げれば大岩盤

そういえば、太龍寺の捨身ヶ嶽も肝が据わっていなければとても修行などしておれない場所だったと思う。
山中の険しい場所、御蔵洞のような荒海に面した所、そうゆう場所が弘法大師をして最適の修行の場所として選ばせたのであろうか。

岩屋寺本堂

お参りを済ませ山門へと下るが、これがかなり長い下りで石段もある。
車で来られても足腰が弱い方はかなり辛い思いをされるのではないだろうか。

岩屋寺の石仏岩屋寺のお地蔵様

神聖で清々しい境内に感動しつつ山門に一礼、駐車場まで来るとそこにはお土産屋が何件か、娑婆の商売顔が並んでいた。

 

雪割一華(ユキワリイチゲ)

岩屋寺を後にし遍路道を国民宿舎「古岩屋荘」へ。
川と平行する遍路道は既に春、シュンランが咲き、菊咲きイチゲに似た花も可憐に咲いていた。
この花、あとでNEさんに訊ねたらユキワリイチゲと言うのだそうだ。

雪割りイチゲユキワリイチゲ

国民宿舎で昼食、とても景色の良い所にあり人気があると言うのも頷ける所だ。
特に紅葉の時季は素晴らしいようで美しい写真が沢山飾ってあった。

ここからは12号線を通って久万町へ戻る。
戻る途中、岩屋寺へ向かうお遍路さんから「岩屋寺まで後どのくらいですか、遠いのですか」と疲れた顔で訊ねられた。
何と言えば元気に歩いてもらえるか困って「お気持ち次第ですよ」と答えておいた。

 

遍路宿

昨日の宿「やすらぎの里 でんこ」で荷物を受け取り、三坂峠手前まで約1時間。
緩やかに登って行くと今日の宿「桃李庵」はあった。

この宿、まだ若いご主人が自身で何回も歩き遍路をし、遍路の為の特化した宿をと始めた所。
お遍路に必要なものは十分に、不必要なものは徹底して省くとの方針が明確だ。
例えば、お風呂、トイレ、布団、シーツなどはとても清潔で奇麗、洗濯機は3台、室内に収納が多く、濡れたザックや靴が置けるブースや干し台なども用意されている。
玄関を開くと土間に薪ストーブが柔らかい暖かさを放っている。
その反面、TVや調度品の類いは何も無い。
「後でわかる、これで良いのだと」とは、ご主人の言である。

私もカミさんも、とても気に入った。共感した。優しさを感じた。また行きたい宿だ。

 

夕方、松山のNEさんがわざわざ来てくれ石鎚山登山の打ち合わせを行う。
私達に少しでの多くの詳細な情報をの姿勢がひしひしと感じられる。
会社の役員をされながら、季節を問わず石鎚山に800回も登っている方だ。
初対面の私達の為に本当に献身的な支援をして下さり、頭が上がらない。
カミさんもその素晴らしい行動力と人柄に「ああゆう方が本当にいらっしゃるのね」と感嘆の表情である。

明晩、松山市内で再びお会いする事になった。楽しみだ。

 

 

愛媛は果物の宝庫。
歩いて来た道の両側には、キュウイ、ぶどう、梨、桃、柿、枇杷、みかん類、いちご等さまざまな果樹園が広がっていた。
花を目で味わい、実を舌で味わう、夢のような所である。
そして久万高原にはりんごが採れると言う。
昨日はあられが降ったし、遠くの山々には未だ雪が残っているので不思議ではない。

ヒメサユリ団地の文字が目に飛び込んで来た。
「え〜、なんだ。本当の住宅団地か・・・」
一度で良いから自然の中に咲いている姿を見てみたい。

 

山ひだを 縫って急坂 登り次ぎ
     眼下にやさし 岩屋寺の桜

 

幸いは 人それぞれの 内にあり
    遍路に優し 三坂の宿は

 

 

 

 

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