徳舜瞥山(1309m) ホロホロ山(1322m)

道央 2008.11.12(水) 晴れ


徳舜瞥山

2008.11.12(水)
登山口 0800
7合目 0835
9合目 0900
徳舜瞥山山頂 0915〜0930
ホロホロ山山頂 1005〜1035
徳舜瞥山山頂 1105〜1120
登山口 1215

徳舜瞥山、ホロホロ山

伊達市大滝に並び立つように聳えているのが徳舜瞥山とホロホロ山である。

西側の徳舜瞥山は三角錐型が美しい鋭峰、東側のホロホロ山はドッシリとした穏やかな山容と対照的な二山である。
一見すると徳舜瞥山の方が高く見えるが実際はホロホロ山の方がわずかに高い。

周囲にはのどかな田園風景や森林が広がり、支笏湖や洞爺湖は勿論、札幌周辺の山々なども望め、展望にも優れている。
また、二山を結ぶ稜線には縦走路が整備され30分程で行くことができるので歩かれることをお勧めしたい。

 

 

プロローグ

11月初旬、そろそろ北国の山々は雪で閉ざされる。
その前に白く凛々しい日高の山の勇姿を眺め、その片鱗に少し触れて来たいと思っていた。
ピセナイ山から日高の眺めを存分に楽しんで楽古岳山荘に泊まり、翌日は楽古岳と言う計画を立てた。
計画当日の11月11日目覚めるとカミさんが腰に違和感があると言う。
この数ヶ月腰痛に苦しめられ、やっと治ったばかりなのに又痛めては元も子もない。
1日様子を見たが状況は変わらず、計画を延期することにした。

そこで私一人で近場の山を楽しんで来ようと徳舜瞥山、ホロホロ山を訪れることにした。
晩秋の一日を一人静かに歩くのも良いものだ。

 

雪道

徳舜瞥山への道路はガタガタ道だったが、今は奇麗に舗装され駐車場も広くなって見違えるようだ。
登山口から見上げる徳舜瞥山はうっすら白くなっているものの、まだ夏の面影を残している。

徳舜瞥山登山口から見る徳舜瞥山

そこで足回りはスパイク長靴とし、持って来たスノーシューは車に残して行くことにした。

登山届けに記帳し、歩き出す道にはうっすら雪が積もっている。
小沢沿いに少し歩き、深い樹林帯へと入って行く。
振り返ると羊蹄山が見守ってくれているかのように見えていた。

振り返ると羊蹄山が・・・羊蹄山

積もっている雪は僅か4〜5cm程だが石などの凹凸が見えにくく、かえって注意が必要だ。
水場を過ぎ、ジグを切りながら見晴らしの利かない単調な急斜面を耐えると7合目の標識で尾根に乗る。

葉を落とした岳樺の林が続きうら寂しい雰囲気が漂うが、木々の切れた所から見える景観は美しく元気をくれるようだ。

羊蹄山
左から留寿都スキー場、ニセコ連山、羊蹄山、手前に尻別山

岳樺が次第にハイマツへと変り、麓の田園風景がのどかに広がり出す。
山麓は唐松の紅葉で赤茶色だが、山頂部はハイマツに付いたエビの尻尾で真っ白だ。

 

透明!

ホロホロ山の北尾根で遮られていた支笏湖や恵庭岳が見え出せば、徳舜瞥山の頂上はすぐそこだ。

ホロホロ山
ホロホロ山北尾根の向こうに恵庭岳、支笏湖が見えて来た。

久しぶりの徳舜瞥山山頂、そこに待ってくれていたものは・・・

「何もかもが青く透き通って透明!」、まさにそんな感じの世界が広がっていたのである。

山頂
徳舜瞥山山頂からオロフレ山方面

微風快晴の小春日和、そして限りなく澄み切った空気。
どこまでも見通せる、おそらく年に何日も無いクリヤーなお天気なのである。
気持ちまで透明に透き通ってゆくような感じがする。

有珠岳
噴火湾の向こうには道南の山々が、手前右は有珠山

西から南西には、噴火湾を挟んで狩場山から遊楽部山塊、駒ヶ岳そして恵山へと連なり津軽海峡へ落ち込んでいる。
北西には、羊蹄山、ニセコ連山、尻別岳や昆布岳、そして積丹の山々。
北東には無意根山を始めとした札幌周辺の山々と支笏湖の山々。
東には支笏湖の向こうに夕張岳、芦別岳、そして大雪や十勝の山々が真っ白に輝いている。
南東遥か彼方にはホロホロ山に隠れて見えないが、日高の白き女神達がズラリと並んでいるのだろう。
そして南には、苫小牧から白老、室蘭へ繋がる海岸線と茫洋と広がる太平洋。

ホロホロ山徳舜瞥山からのホロホロ山

徳舜瞥山からの展望は素晴らしいと評判であるが、これほどの大展望は初めてだ。
誰も居ない山頂でしばし呆然と立ち尽くし、凄すぎる景観を黙って眺めていた。
余りの素晴らしさに喉が乾く、温かいコーヒーが体に沁みる。

このお天気、この透明感、何と言う幸福感、でもここまで来て日高の山々を見ないで下山するわけにはいかない。
その勇姿を見る為にホロホロ山へと足を進める。

 

先輩、安らかに・・・

登山口から徳舜瞥山までは昨日のものと思われる足跡が幾つもついていたが、ホロホロ山への稜線に足跡は無い。
僅か10cm程だが、トレースを付けながら歩む稜線は何とも気持ちが良い。
右手に太平洋、左手に大滝の山里を見ながら白い稜線を歩いていると、兎の足跡がまるで道案内をするかのように付いている。
その足跡に従って歩いている内に、とある先輩のことを思い出していた。

兎
道案内するかの如く付いていた兎の足跡

実は数日前、一通の訃報を受け取っていた。
癌と闘っておられた大学のクラブの大先輩が、闘病むなしくお亡くなりになられたのだ。
10年も違う大先輩であったが、個人的にも色々お世話になりご指導も頂いた。
先輩を思いながら歩いていると、一緒に歩いているような感覚に陥った。
遠地故、葬儀には参列できない私にとって、せめてもの先輩の慰霊登山だと思うことにした。

「虎田先輩、どうぞ安らかにお休み下さい」

 

白き女神達

山頂直下の大きなゴロゴロ岩を登れば、2年振りのホロホロ山山頂、懐かしい思いだ。

恵庭岳
ホロホロ山から見る、東側の景観

眼を惹くのは何と言っても支笏湖と恵庭岳、風不死岳、樽前山である。
そしてその遥か彼方には、白き峯峯が屹立している。
大雪、十勝の山々、芦別岳、夕張岳である。

支笏湖支笏湖

ザックを降ろし大景観を満喫しながら小腹を満たす。
コーヒーと果物が何とも美味しい。

ホロホロ山頂ホロホロ山頂

歩いて来た稜線と徳舜瞥山、羊蹄山が優雅な姿を見せている。

徳舜瞥山と羊蹄山徳舜瞥山

しかし、ホロホロ山での最大の楽しみは日高の白き女神達の姿である。
それは樽前山の右手遥かに、たおやかに横たわっていた。
北日高の山は白く輝いて見えるが中日高、南日高の山々はまだ夏の姿に近い。
北から南へ長々と横たわり、幾つものピークを見せながら襟裳岬へと落ち込んでゆく荘厳な景観だ。

日高
長々と横たわる日高の山々

南北80kmにも及ぶ日高の山々を全部歩くのは私にはもう無理だが、可能な限り訪れその厳しさに触れたいと思っている。

30分程、一人山座同定を楽しみ、徳舜瞥山へと引き返す。
コル付近から見上げる徳舜瞥山は鋭く格好いい。(ページトップの写真)

 

大ご馳走!

ホロホロ山から徳舜瞥山への道からはオロフレ山の姿が眼を惹く。
緩やかな稜線が続いているが、歩けば長く大変そう。
天気のよい日に気のあった仲間とスキーツアーなら、歩けそうかな?

オロフレ山オロフレ山

戻った徳舜瞥山には数人の人が。挨拶を交わし、一員に加えてもらう。
サミットで大騒ぎした洞爺湖や有珠山付近も今は静かに元の姿を見せている。

有珠山と洞爺湖の一部洞爺湖

カミさんへ大景観堪能のメールを送ると、「丁度お誕生日の次女が帰って来たのでオックステールシチューとタルタルステーキ、手作りパンを作っている。気をつけて早く帰っていらっしゃい」との返信。
即ザックを担ぎ、スパイクを効かせて駆け下った。

山頂にて徳舜瞥山山頂にて

 

エピローグ

今年最後の日高行きの予定が計画倒れとなり、急遽変更して訪れた徳舜瞥山とホロホロ山。
年に何度かのような透き通ったような晴天に恵まれ、大展望を満喫することができた。
また、個人的には図らずも大先輩を慰霊しお送りする山行ともなり、忘れがたいものになることだろう。

いよいよ雪山シーズンの到来、年を取り寒さの中を出かけるのは億劫になって来ているが、新たな楽しさ、新たな出合いを求めて出来る限り雪の中へ出かけてみようと思う。

 

 

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