C840mコル付近からのオコタンペ山
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オコタンペ山
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クリスマス寒波とそれに伴う大雪で日本列島は何処も冷え込み四国や名古屋でも雪が降ったそうだ。
北海道も一級の寒波に覆われ、千歳も連日-20℃前後の冷え込みと1日2〜3回の雪かきに追われ温泉通いの毎日であった。28日は久しぶりに晴れの予報である。これを逃す手は無いと手近な山行きを計画する。
オコタンペ山からオコタンペ湖へ降り湖上散歩を楽しみながら周囲の山々を眺めようと言うものだ。
登山ルートはすでに経験済みなので現地に行ってからの気分で決める事にし、オコタンペ湖へ降りるルートを幾つか調べ頭に入れた。支笏湖へ向いながら温度計をC'Kすると寒波の影響が残っているのか-15℃を示している、山はもっと冷えていて厳しいかも知れないと気を引き締めた。
支笏湖からは朝日に輝く山々が美しい。
支笏湖と朝日に輝く山々
支笏湖畔でC'Kすると気温は-4℃、何故か知らないが千歳市内より10℃も高い。
通常であれば標高が高い分、支笏湖の方が気温が低いのに不思議な事もあるものだ。
寒さと戦わなくてはならないと緊張していた気持ちが急速に溶けていく。
オコタン分岐横の駐車帯に車を停め、準備を整え歩き出す。
通行止めのオコタンペ湖へ通じる道路は除雪がしてあり歩き易そう、オコタンペ山へはこの道路を利用してC650m付近からC880mPへの急斜面を登る事にする。
取り付き予定地点の少し手前の恵庭岳寄りに雪崩防止の工事でもするのか、100m近い工事用階段が作られている。どうやらこの工事の為に除雪がなされたらしい。
C650m地点には工事の飯場かプレハブ小屋が設置されていた。
この横から急斜面に取り付いていく。雪はスノーシューを履いて膝位、大した事はないのだがかなりの急斜面でとても直登は出来ずジグを切りながら高度を稼ぐ。
確か2年前カミさんが足を滑らせ数十m滑落した斜面だ、ジグを切る山側の足が雪に邪魔され前に出せない。
膝で一旦雪を押し込みそこにスノーシューを置いて前へ、これでやっと一歩なのだ。
汗をかかないようペースを刻むが時間ばかり経ってなかなか進めないのがもどかしい。苦戦の末、ようやく斜度が緩みだした。稜線は近い。
斜度も緩みだし一息だ
頭上には真っ青な空が広がって岳樺と白し雪原が映えている。
斜度が緩んだ台上をC880mPを通っている稜線に合流すべく斜上してゆくとやがて右前方に目指すオコタンペ山が見えだした。
まだ真冬より雪はずっと少なく雪庇も発達していない若々しい姿、1年振りの対面である。
一年振りのオコタンペ山
今年は全般に雪が多く、先日の紋別岳もたっぷりあったのに近くのオコタンペ山はさして多くない。
笹がかなり出ているし雪も締っていない。それでも青空に白い山が映えて美しい。
すぐ南の恵庭岳には薄い雲が掛かっているが、間もなくとれそうな気配である。
気持ちの良い景観を楽しみつつコルを越えてオコタンペ山に進んでいく。所が・・・!
オコタンペ山への最後の斜面を柔らかい雪と格闘しつつ登っていると、空が暗くなって来た。
何だと見ると、北の漁岳方向から低い雲の塊が流れて来ている。
北〜北西方向は真っ黒で山も雲に隠れ見る事は出来ない。
恵庭岳にもその雲が近づきつつある。せっかく青空に映える漁岳や恵庭岳を見れると喜んでいたのに、これは大変だと足を速める。
懐かしい山頂へ着いた、前方の漁岳〜小漁山はすでに雲に覆い隠されている。
振り向くと恵庭岳は何とか間に合って姿を見せている。
ザックを降ろすのももどかしくカメラを取り出し勇姿をおさめる。
冬の登山ルートである北東尾根が良く見えている。
オコタンペ山山頂から恵庭岳を見る
見えている内にと恵庭岳の山頂岩峰をアップで狙ってみる。
雲で全体がモノトーン風になり、青空の映える岩峰のイメージは望めそうにない。
狙いを変えてカメラのドラマティックシーンと言う機能を使って切り取ってみた。
恵庭岳山頂岩峰
時間は午前11時を回っている、ラッセルが利いたのか何時もより大分時間がかかっている。
お疲れさまと腰を下ろし熱い紅茶を飲み菓子パンをかじる。
小雪が舞い始め風も出て来た。気温も下がっているようだ。
リンゴが凍りついたように冷たく歯にしみる。
パーカーを羽織りフェースマスクを引き上げ風を背にして小さな窪地に入り小さくなった。しばらく待っていたが、お天気は回復しそうにもない。
時折小雪が舞い、雲は厚みを増していて全体に薄暗くなってきた。
これではオコタンペ湖に降りても楽しめない、しばし逡巡したが今回は止めて往路を戻る事に。帰路オコタンペ湖方向に少し行ってみると真っ白な雪原と化したオコタンペ湖の姿を見ることができた。
小雪で霞むオコタンペ湖
往路を戻っていると私のトレースを辿って登ってくる男性に出会う。
今日初めて出合う登山者、挨拶を交わしすれ違う。小雪が止んだ一瞬、平和そうな景観である支笏湖や紋別岳を見ることができた。
恵庭岳 左に支笏湖の一部と紋別岳
冬の初めのオコタンペ山、厳冬の厳しさは無く美しさも今一歩だった。
多分もう一度くらい訪れる事になるだろう、その時は冬らしい厳しい美しさを見せて欲しい。
そんな事を思いつつ車を走らせた支笏湖畔にはしぶきが凍りつき冬の美しさの一端を見せてくれていた。
細枝にしぶきが凍りついて