フレ岳 (1046m) 丹鳴岳 (1040m) (道央) 2005.4.4(月) 晴れ
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フレ岳、丹鳴岳は支笏湖の西側に位置する山で、夏道はありませんし、冬もアプローチが長い為、なかなか訪れることの出来ない山の一つだと思います。
私はこの山々に登りたくて、今年2月にも丹鳴岳を目指したのですが途中で引き返すべき事態が発生・撤退した為、チャンスがあれば再びと思っていました。 ちなみに4月4日は私達の結婚記念日、今年で34回目の記念日で、昨年は二人で多峰古峰山へ登りました。 そこで念願だった、フレ岳・丹鳴岳に一人で再チャレンジすることにしたのです。 多分8時間から9時間の行動になるだろうと、早めに家を出て登山口にあたる美笛パーキングエリアに向かいます。 山名の由来はフレ岳がフレナイ沢と言うゴロゴロ石だらけの急流の沢の上流にある山。 |
準備を整え、アプローチの長い林道を歩き出します。
林道の雪は硬く締まっていて、ツボ足で問題なく歩くことが出来ました。
雪の上に新しい何人かの足跡が付いています。
一人きりの山行だと覚悟していたのに、予想もしなかった先行者が居るようです。
林道の両側に迫る急斜面には、大きく横に亀裂が入っていて、今にも雪崩れそうな所が何ヶ所もありました。
当然、山もそのような状態でしょうから注意しなければと気を引き締めます。
歩くこと約1時間半、いよいよ尾根に取り付いていきます。
雪が深くなってきて、スノーシューを履いて歩を進めます。
2月に来た時には目印の赤テープなどが殆ど無く、人の訪れない山と言う印象だったのですが、今回は至る所に赤テープが吊るされています。
2ヶ月ほどの間に、多くのパーティが入ったのでしょう。
朝のうちは曇って時々みぞれも混じっていたのですが、どんどん回復しているようで青空が広がり、日差しも強くなってきました。
「頼むぞ〜 !!」
青空も広がって、元気が出てきます。 |
2月に引き返した、859mPを過ぎたコルから丹鳴岳への稜線に向かおうとすると、先行者のトレースは丹鳴岳を巻いてフレ岳に向かっています。
フレ岳を先に登ると、丹鳴岳への登り返しの急斜面がキツイかなと思いましたが、トレースを利用させてもらう手軽さを選択し、私もまずフレ岳を目指すことに。
丹鳴岳とフレ岳のコルの手前で、先行していた6名のグループに追い付きました。
トレースのお礼を言って、先に出ます。
このグループの先にさらに一人の先行者が登っているようです。
丹鳴岳とフレ岳のコル付近からの無意根山 |
フレ岳が独特なフラットな姿を見せ始めました。
木々の生えていない雪の大斜面をしっかりスノーシューの刃を食い込ませながら登って行きます。
近くに見えてきた先行者はジグを切りながら登っていますが、私は横滑りするのが嫌なので一気に直登、真っ向勝負です。
フレ岳の大斜面、先行者のトレースが見える。 |
フレ岳の山頂に着きました。だだっ広く何処が山頂だか判らない広場のような所です。
春とは思えない澄んだ青空に支笏湖がブルーに輝いて居ます。
恵庭岳が指呼の間で佇んでします。
札幌オリンピック時に造られた、スキー滑降コースが未だにその傷跡を痛々しく見せていました。
フレ岳からの恵庭岳 |
漁岳と小漁岳がドッシリと座っています。
小漁岳がとても大きく立派に見え、主客転倒したような感じです。
昨年、漁岳から小漁岳を越えてオコタンペ湖へ降りた時のことが頭を過ります。
フレ岳からの小漁岳(左)と漁岳(右) |
中山峠方面に続く北側の稜線ジャンクションの向こうには漁岳が端正な姿を見せています。ジャンクションの東側にはフレ沼が白く凍りついていました。
端正な姿を見せる漁岳 |
フレ岳山頂は風が強く吹き荒れているのでしょう、雪も吹き飛ばされていて、木々は殆どありません。ハイマツがなぎ倒されたように頭だけを出していました。
支笏湖を挟んで風不死岳と樽前山が並んでいます。
フレ岳山頂からの風不死岳と樽前山 |
支笏湖と反対側にはゆったりとした山容の無意根山が春霞の中に浮かんでいました。
無意根山方面 |
オニギリを一つお腹に入れ丹鳴岳に向かうことにしました。
丁度、追い抜いたグループの人達が山頂に到着し出しました。
丹鳴岳へのコルまでは時々尻滑りを楽しみながら降りていきます。
コルから丹鳴岳へは、かなりの急斜面を登らなくてはならないようです。
先行していた男性はフレ岳からそのまま引き返したようで、トレースはありません。
概ねのルートを見定め、心に刻んで登り始めます。
890mコルからの丹鳴岳 |
出来る限り直登していきますが、スノーシューでも堪らずジグを切らざるを得ないほどの急傾斜です。
頑張ること約30分、頂上の50mほどの稜線に飛び出ました。
稜線を東端まで行くとそこが丹鳴岳の山頂でした。
フレ岳と隣り合っているのに、丹鳴岳から見える景色は明らかに違います。
丹鳴岳からの恵庭岳、滑降コースの跡が良く判る |
フレ岳からは恵庭岳の陰になって見えなかった紋別岳が見えるようになっています。
支笏湖の奥深さも丹鳴岳からの方がはっきり判るようです。
恵庭岳と紋別岳 |
春の陽光を浴びて、支笏湖が色々な色の青のグラデーション彩られ、佇んでいます。
丹鳴岳山頂から支笏湖と紋別岳、風不死岳、樽前山 |
暖かく、風も無い、丹鳴岳の山頂にドッカと腰を据え、素晴らしい支笏湖の景観を堪能しながらラーメンを啜りました。
何とも幸せなホンワカした気分です。
振り返ると登ってきたフレ岳の向こうに漁岳と小漁岳が格好良く並んでいます。
漁岳(右)と小漁岳(左) |
目を南西に転ずると、徳舜瞥山そしてホロホロ山、オロフレ山、白老三山、太平洋などが望まれました。
丹鳴岳山頂から徳舜瞥山、ホロホロ山、白老三山など |
本当に堪能しました。幸せを感じつつ下山することにしました。
山頂尾根を稜線伝いに西に降り、859mPのコルに出て、行きのトレースの出会って後は来たルートを引き返します。
下る稜線から春霞に煙った羊蹄山と尻別山が並んでいるのが目に入りました。
煙る羊蹄山と尻別山 |
尾根を下り、再び長い林道歩きです。
来る時は雪も締まっていましたが、帰り時には気温も上がって雪は緩みズブズブ状態、仕方なくスノーシューを履いたまま美笛まで帰りました。
林道沿いの美笛川も雪解けが進み、岩を噛む水音が春の気配を感じさせてくれていました。
それにしても、この林道は長いです。
話し相手もいない一人では、結構辛いものがありました。
それでも、フレ岳と丹鳴岳はその辛さを上回る素晴らしさで、私の心の中に何時までも住み着くのではないでしょうか。
疲れて帰った我が家では、一風呂浴びるとカミさんの心尽くしの小さな宴が待っていてくれました。