第二日目  (晴れ)


幌尻岳から北東方向の重畳と連なる深い山並み
8.11(木)
七つ沼 0500
カール縁 0525
幌尻岳の肩 0620
2010mP 0635
幌尻岳山頂 0650
0730
デポ地点 0850
戸蔦別岳 0925
0950
北戸蔦別岳 1100
1130
ヌカビラ岳 1200
トッタの泉 1355
北電取水ダム 1455
二岐沢出合 1545
明け方の怖い思いからそのまま眠られず4時前には起床、テントから覗くと外は快晴です。

途端に元気が出てきて、外に出て朝食にしました。
ラーメンとコーヒーだけの簡単な食事ですが、朝焼けの景色が贅沢なおかずです。

例の足音の主は誰か、テントの側の草地を見てみましたが、砂地や踏み跡に足跡のようなものは見つかりませんでした。
夢だったのか、まさかそんな筈は無い、と自問自答の一瞬でした。

花々や雪渓で美しい七つ沼を汚したくない、そんな思いで持ってきた携帯トイレを使います。
初めて使った時は戸惑いもありましたが、今回はそうでもありません。
きちんと縛り、脱臭袋に入れ、さらにゴミ袋に入れてザックに収納です。
ザックの外に吊るして行こうかとも思いましたが、普段も使ったティッシュはゴミと一緒にザックに入れているのだからと思い直して、ザックに入れました。


朝焼けの幌尻岳の肩とカールバンド

荷物をまとめ、出発です。
カール壁を登りカールの縁まで約30分、そこに荷物をデポして水とおやつだけを持って幌尻岳を目指します。

カールの縁の岩場を辿り明瞭な道を肩目指して歩いていると、カール底から叫び声が。
昨日出合った三人組が朝の挨拶をしてくれています。
手を振って答えながら、気をつけてと声を掛けました。


七つ沼カールと戸蔦別岳

肩に登ると、山頂の手前にある2010mPがすっきりした姿で聳えていて、山頂かと戸惑うばかりです。
これまで見えなかった、南の主稜線の山々も逆光にそのシルエットを浮かび上がらせています。


2010mP

肩からは快晴の気持ち良い空気の下、稜線を進みます。
2010mPから幌尻岳山頂が姿をしっかり現しました。
山頂部だけでこれだけの大きさがあるのですから、幌尻岳の大きさを改めて認識しました。


幌尻岳山頂 (2010mPから)

山頂に着きました。
この日の一番乗り、まだ誰も居ない山頂からまさに360度の大展望を独り占めです。
北カールの縁を幌尻山荘から登ってきている人達が豆粒のように見えていました。


山頂から戸蔦別岳、北戸蔦別岳、1967峰、ピパイロ岳、奥にはチロロ岳など

北側には昨日歩いてきた、ヌカビラ岳から北戸蔦別岳、戸蔦別岳がスッキリと見え、北戸蔦別岳から東へ1967峰、ピパイロ岳、伏美岳、妙敷山へと連なっています。
そしてさらに北側には先日登ったのにガスで何も見えなかったチロロ岳からルベシベ山が、さらに遠くには十勝連峰や大雪、東大雪の山並みがうっすらと見えていました。
北西方向には夕張岳と芦別岳が存在を主張しているようです。


左から十勝幌尻岳、札内岳とエサオマンから延びる主稜線の山々

おやつを食べながら大景観を満喫していると、幌尻山荘から最初の人が到着しました。
愛知県の人で8.1から北海道の山を訪ね歩いているそうです。
訪ねられるまま、見える山々を説明して差し上げました。

昨年、夫々に沢から登って感激した札内岳エサオマントッタベツ岳、その姿を見ているとあの時の感激がよみがえってくるようです。


南側のカムエク、1839峰などの主稜線の山々

南側にはエサオマンから続くナメワッカ、イドンナップ、カムエク、1839峰などの重畳たる山並み。
日高山脈の真ん中に立っていると言う思いが迫ってきます。

久し振りの大展望に感激し、大満足して、幌尻岳山頂を後にする事に。
今日はこれから昨日の道を戻らなくてはなりません。

東カールを眺め、咲いている花々を見ながら、七つ沼カール縁のデポ地点まで戻ります。
陽が昇ってきて直射日光が厳しく、暑くなってきました。
暑さに慣れていない私にとっては、荷物の重さ以上に厳しい試練です。
真上からの避けようの無い、ギラギラした陽射しを受けながらを登り返して行きます。


戸蔦別岳から七つ沼カールと幌尻岳の肩を見る

戸蔦別岳山頂で取って置きのトマトとゼリーで元気・気力を回復です。
ここまで来ると、北側の北戸蔦別岳からピパイロ岳、伏美岳へと続く稜線が間近に見え今年の六月に歩いた事が脳裏をかすめます。


1967峰(中央)とピパイロ岳(右)

又、これから戻るヌカビラ岳方面も今日はクッキリと見えていました。


戻る1881峰、北戸蔦別岳(右)、ヌカビラ岳(稜線の左端)

1881峰で六の沢経由で幌尻山荘へ戻るルートを左に分け、右側に広がる三の沢源頭のお花畑を愛でながら北戸蔦別岳に戻ります。

暑さは変わらずで参ります。熱中症ならないようスポーツドリンクを入れた水を頻繁にとるようにしながら意識してゆっくり歩きました。


北戸蔦別岳からの戸蔦別岳(左)と幌尻岳

北戸蔦別岳の直ぐ北側には双耳峰のチロロ岳がどっしりした姿を見せています。

北戸蔦別岳山頂で男女三人の学生さんと出合いました。
私と同じルートを歩くと言う事で、必要な情報を提供しました。
女子学生さんは羆が気になるらしく盛んに訪ねてきましたが、七つ沼での怖い思いを話す訳にも行かず「君たちのように血気盛んな諸君には怖れを為して、熊の方が逃げるよ」と気休めを言っておきました。


チロロ岳

北戸蔦別岳からは僅かな稜線歩きでヌカビラ岳、往路でも見たミヤマアケボノソウをゆっくり愛でて二の沢めがけて降り始めました。
登りも凄いと感じましたが、下りも凄く、樹林帯で風が通らないので蒸し暑く稜線歩きの時より汗をかいたぐらいでした。

いい加減嫌になり、気力を失いかけた頃トッタの泉で元気を貰い、後は二の沢へ降り、疲れでバランスを崩しそうになりながら二岐沢出合へ戻ってきました。

今回の幌尻岳、天候にも恵まれ素晴らしい山行でした。
特に七つ沼はチョッピリ怖い思いもしましたが、噂通りとても素敵な所でした。
眺望もさすがに日高の最高峰、周囲を見下ろしながらの展望は何とも気分の良いものでした。
そして北日高の中核部でもある北戸蔦別岳周辺の静かで奥深い雰囲気、多くの花にも出会えました。

ただ、残念と言うか悲しくなった事もありました。
それは、幌尻岳山頂付近や戸蔦別山頂、登山道のあちこちでティッシュやブツが散らばっていた事です。
訪れた人の誰しもが日高の大自然の素晴らしさに感動した筈なのに、なぜ平気で汚すのでしょうか?
「出物腫れ物、所嫌わず」と言われますが、せっぱ詰まっても場所を選ぶぐらいの時間的余裕はある筈です。
そしてせめてティッシュだけは持ち帰りたいものです。慣れれば何ともないのですから。
一人一人のほんの少しの気働きが、自然を美しく保つ原動力なのではないでしょうか。

なお、2006年から幌尻山荘は完全予約制になりました。
細部は平取町のHPをご覧ください。

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