風不死岳 (1103m) 北尾根〜楓沢) (道央)  2005.11.1(火) 晴れ・曇り



11.1(火)
北尾根登山口 0835
6合目 0905
8合目 0950
風不死岳山頂 1015
1040
樽前山分岐 1125
楓沢源頭 1140
昼食 1215
1230
F2 1250
F1 1330
紋別橋 1420
北尾根登山口 1445
約四万年前に誕生した支笏湖、その後の火山活動により出現した風不死岳、恵庭岳、樽前山。
風不死岳はその中で、約二万年前と最も古くに誕生し、今では深い森林に覆われ火山のイメージはありません。

支笏湖とこの三つの山は私の住む千歳市にあり、千歳市のシンボルともなっています。
私にとっても心安らぐ山であり、毎年訪れている山々でもあります。

今回は北尾根から風不死岳に登り、帰りは樽前山の北東斜面を抉っている顕著な沢の一本である楓沢を下って周回してみようと訪れてみました。

樽前山と風不死岳の支笏湖側には何本もの沢が出来ています。その概要は、
モーラップ橋に出る、一の沢、
支笏小橋に出る、  二の沢、
樽前橋に出る、   三の沢、
紋別橋に出る、   楓沢、
大沢橋に出る、   大沢、
姫鱒橋に出る、   玉の沢、
虹鱒橋に出る、   大崎の沢、
洞門橋に出る、   苔の洞門、
支寒内橋に出る、  シシャモナイ沢 などです。

北尾根登山口で入山届を出し、準備を整えます。
今日、下る予定の楓沢は昨年の台風18号でかなり荒れているとの情報があり、万一に備えてロープやカラビナなども用意しました。

お天気は良いのですが、ロシアの森林火災の影響なのか、全般に白っぽく煙っているようです。
気温の例年より高めで、登山口で+7℃もありました。

10分も歩くと林道は終わり、山道に入って行きます。
約2.5km弱で850mを登って行くのですから、それなりの斜度です。
深い樹林帯をヒガラやハシブトカラなどの鳴き声が響いています。
何度か「キョ〜ン! ケーン!」と言うクマゲラの声も聞かれました。


北尾根四合目付近から支笏湖、紋別岳を振り返る

北尾根に沿って真面目に登って行く道をこんなにきつかったかなーと、黙々と歩きます。
汗が噴き出して、流れ落ちる汗がメガネを曇らせます。

7合目付近から尾根上に乗り、風が吹き通り、景色が広がり始めました。
左手を流れている大沢は木々に邪魔されて覗き見る事撫で来ません。


7合目付近からの恵庭岳

昨年より山道は良く整備されていて、危険防止のロープや急斜面に補助ロープなどが何ヶ所も設置されていました。
ありがたいと思う反面、山歩きは自己責任のスポーツ、こんなにまでしなくてもと言う気持になってしまいます。


8合目付近からの支笏湖、紋別岳

8合目過ぎで大沢ルートからの道を合わせ、岩場混じりの道を攀じ登って行きます。
右側に風不死岳の偽ピークが見え出すと、山頂はもうすぐです。

急に傾斜が緩んで笹混じりの道になると、今まで見えなかった樽前山が目の前に大きな姿を現しました。
風不死岳の山頂です。


風不死岳山頂からの樽前山

山頂には二組の人が樽前7合目ヒュッテから来ていて休んでいました。
気温は+6℃、思ったより暖かいのですがジッとしていると汗が引いてきて寒く感じます。
脱いでいたシャツを着て、温かいコーヒーを飲みながら至福の一時を過します。


山頂からの支笏湖と恵庭岳・漁岳など

視界が良くないのと曇ってきた為か、支笏湖特有の支笏湖ブルーが今日は冴えません。
それでも落ち着いた感じで心が洗われるようです。


風不死岳山頂から美笛方面

そんな安らいだ雰囲気も、強烈な爆音で吹き飛ばされてしまいました。
千歳に所在する航空自衛隊第二航空団のF-15戦闘機が次々と支笏湖上空で急降下して飛行場へ向かって行きます。
有視界飛行方式での降下ポイントになっているらしいのですが、何も国立公園の真ん中、しかも多くの観光客も来る所でわざわざ騒音をまき散らす必要は無いのではと思ってしまいます。
美しさと静けさを求めて国立公園支笏湖に集う人々と飛行運用の効率を求める航空自衛隊、お互いの幸せの為にも降下ポイントを樽前山南方の北大演習林上空に移すとか、何らかの是正案を考えて欲しい所です。

一休みして予定通り、楓沢経由で下山する事にして、樽前山7合目ヒュッテ方向へ下り始めます。
途中、一部笹が覆っている所では、笹刈りがなされていて感謝感謝でした。
風不死岳名物の岩場をやり過ごし、シラタマノキの実が白く目立つ道を歩いて、風不死岳と樽前山の分岐です。

ここから岩尾根を下って、ヒュッテへの道と別れ、楓沢へ下って行く事となります。


楓沢源頭部からの風不死岳

ヒュッテへの道を離れて楓沢へ向かおうとすると、後ろから「オーイ、道はそっちじゃないよー」の声。
「ありがとう。私は楓沢に降りますから〜」
それでも心配そうにしばらく私の方を見ていました、心配掛けてゴメンナサイね。


楓沢に向かって、特徴の無い高原を下る

しばらくは何の特徴も無い、砂と小石の混じった原を下って行きます。
この辺は初夏から夏にかけては美しい御花畑です。
全体に右傾斜の原ですので、どうしても右へ行き易く、楓沢より東の「三の沢」や「二の沢」に入り込み易いので、左を意識して進むと良いと思います。

やがてダケカンバやナナカマドなどの樹林帯に入って行き見通しも利かなくなり、沢地形もまだハッキリしてきませんので、地図とコンパスで方向をC'Kしながら進んで行きます。
昨年の台風によるものと思われる倒木も多く、除けたり避けたりしながらですから余計方向が判りにくくなってしまいそうです。

しばらく進むとやっと沢地形らしき所に出て来ました。
やれやれと沢地形の中を進みます。
浅かった沢地形は次第に深くなり始め、苔の洞門風になってきました。


次第に沢は深く、苔生してくる

沢は深く、狭くなり、岩は砂岩ですから脆く滑ります。
私はこの楓沢は三回目なのですが、どうもハッキリと思い出せません。
方向的には間違いなく楓沢に入っている筈ですが、となりの三の沢であっても、とにかく降りれば良いのだからと腹を括ります。


苔の洞門もどきの沢を下って行く

しばらく行くと行く手を涸れ滝に阻まれました。
そうですこれがいわゆるF2、ルートは間違いありませんでした。
少し戻って右岸に上がり、大きく右に巻いて支流の沢に降り、下の本流に戻ります。

この辺から記憶にある地点が次々に現れ始めました。
ロープ付きの岩、狭いチムニー状のすき間・・、思い出しました。
新たな崩壊場所も何ヶ所かあり、脆い砂岩で出来ている樽前の沢の危険さも再認識しました。


延々と苔の壁が続く

かってアルミの梯子と木の梯子を組み合わせて登れるようにしてあった所は、多分昨年の台風で壊れたのでしょう、半分倒れ掛かっていて何とも微妙な感じです。
仕方なくここは梯子に頼らず懸垂下降してクリアー、降りてから梯子を元の位置に掛け直しておきました。


壁の高さは高い所では10メートル以上にもなる

その後、枯れ滝のF1を大きく巻いて支笏湖めがけて降りますが、この辺から倒木が重なり合うように増え始め、沢は倒木に覆われ暗く陰湿な雰囲気です。
倒木を潜り除け渡り、難渋しながら沢を下って行きます。

次第に沢地形が浅くなってきました、もう支笏湖は近い筈です。
楓沢を下り始めて2時間半、やっと湖畔の国道に掛る紋別橋に出てやれやれです。
ここからは北尾根登山口まで約1.5キロメートルほど歩いて戻りました。

今日の風不死岳と楓沢、思っていたよりハードで充実した思いです。
楓沢は情報通り、昨年の台風18号で痛めつけられ、大変荒れていました。
新たな崩壊ヶ所もあり、危険な状態と言って良いと思います。
行かれる時は、十分な準備が必要ですし、単独行は避けた方が良いと感じました。

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